不知火に落ち度はない５7（海防艦）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、ではかる～く再び更新を行うとしよう。 見切りはっしゃーごー。 #落ちぬい

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葉山という、提督が居る。 提督勢の中では新参者であり、なんと数ヶ月前に提督に就任した男だ。 元々は研究機関の技術屋出身。 戦績は── #不知火に落ち度はない

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「不知火。戦歴非公開ってのはホントか？」 「事実です。様々なメディアから情報が遮断されており、葉山提督の情報自体も元来は公開されてません」 助手席で、不知火はスマホを片手にそう言った。 実際名前自体は知っていたが、会議にすら出席していない。 #不知火に落ち度はない

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葉山はそんな、謎の多い提督であった。 そして今、俺はそんな葉山提督の元へと向かっている。 「階級は大尉か。本来なら俺ん所に来るのが常識なんだろうけどな」 「研究所上がりならそういった慣習に詳しくないのでしょう。ただ──」 #不知火に落ち度はない

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「先程から少々綱渡りな手段で探っていますが、相当厳重なガードがあるのかアクセスできません」 いや、そういう手段までやれって俺言ってないよな！？ 何冷静な顔でガンガン探り入れてンですかきみ！！！ 「相手の術中にハマらないようにするための予防策です」 #不知火に落ち度はない

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一ミリグラムも悪いと思ってない顔で、さっくり答えるプチドーベルマン。 煙草が欲しくなる一時である。だが、不知火の言ってることも正しかった。 「そんなんと組め、と言われてもなあ」 「上層部からの命令では？」 「だから頭痛いんだ。龍田の提案じゃねえな絶対」 #不知火に落ち度はない

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そう。そんなミスターXと組めと言われたのが、つい先日のこと。 作戦内容に通達はあったし、実際メールでもやり取りはした。 そこまでは問題なかった。作戦自体はほとんど演習じみたものだったしな。 だが、そこから問題があったのだ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

実際ツラ合わせて会議をすると提案してもそれは難しいと言う。 ビデオ通信ならどうだと言っても、それも無理。 しまいにゃ電話ですらNGであり。 最終的に誤送信してきたものと思わしき、家庭向けのような内容のメールが届いた始末だ。 内容は「よお、げんき」である。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

何が元気だこの野郎と思ったが、不知火がそれを止めた。 曰く── 「相手の落ち度を即使う必要はありません。いざというときのためにまで不知火がデータ送信履歴を保存しておきます」 とのことである。うちのドーベルマンますます怖くなってねえ？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

ならばと言うことで、逆転の発送で俺達から向かうって話にしたわけである。 すると相手からはOKが帰ってきたわけで。 現在車を飛ばして拠点に向かってるわけである。 なんとも読めない野郎なこった。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「なあ、どんな艦娘がいると思う？」 「現状データ公開されてない艦娘でしょう。紐づけを確認しましたが全艦別の提督の所属となっていました。一部を除き」 「一部つーと、アウターヘブン？」 「いえ。『行方不明』になっている艦娘です」 あー。聞かなきゃよかったな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「それより司令。この先のインターチェンジに寄りましょう」 「なんかあんのか不知火？」 「季節限定桜ジェラート」 「お前な」 最近そのへんの抜け目までなくなってきておる。 よかろう、不知火くん。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「オッケー。さすがは俺の秘書艦であると褒め称えておこう」 「当然です。以前までの不知火だと思って侮らないように」 そんな言葉を交わしながら車は高速を走る。 本日深海棲艦指数３４。 ラジオから聞こえるBGMは宇多田ヒカルのtravelingであった。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

車を飛ばすこと２時間。 葉山提督の基地はと言うと── 「不知火。ほんっとにここなんだよな」 「相手の指定はここでした。なので間違いなくここだと思います」 俺の目の前にあるのはどっからどう見ても、小規模な陸軍の中継基地のようなものだったのである。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

資材があちこちに積まれ、歩哨こそいるものの俺んとこみたいな２４時間体勢ではなさそうで。 海からも遠く、輸送用トラックが数台にヘリポートのようなものがある程度。 「さて不知火。コレなんだと思う？」 「概ね罠ではないでしょうか。奥にあるものは陸軍の装甲車ですし」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「いや、陸軍だから罠ってわけじゃないだろ」 「司令がレアケースなだけです。実際陸軍と海軍の衝突がある現場は、存在します」 「まーそうだけどな。俺はなるべく仲良くする方針なのですよ」 「その御蔭で窮地を脱した経験はいくつもありますし。了解です」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

では早速、ご対面と行きましょうか。 早速車を基地の中に移動しようとし── 「不知火」 「はい」 「ここらに妖怪出てたっけ？」 「不知火的には現実を認めるのをお勧めします」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

いや無理。 ごめんいや絶対無理。 俺にはこれ現実だと思いたくない。 これが正当化される世界ってどう考えても狂ってるって思うんですよ俺。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

だってさ。そのさ。 ムリムリムリ。これ無理だって。 ぜってー無理だって。 「不知火。せーので言おう。お前には何が見えてるか教えてくれ。いいな、せーのだぞ」 「はい、せーの」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「幼稚園児と思しき女児に首輪がついてて」 「提督とおぼしき男性がリードを握ってこっちに手を振ってる」 アウトぉー！！！！！！！！！！！！ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

おい児童相談所はよこい！ どう見ても一大事だぞコレ！！ 頭のイカれた提督が首輪つけて幼女飼育に走ってるぞ！！ あーだめだめいけません。 これは絶対いけません。 「不知火、スマホ向けてなにやってんの」 「証拠を撮影しています」 かしゃり。かしゃり。かしゃり。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

超クールな撮影サウンドで撮影されていく、目の前の異常な光景。 どんどん画像データで残っていくそれは、今置かれた状況が現実だと教えてくれた。 だというのにだ。 #不知火に落ち度はない