プロレベルの力があり、本人もプロになりたいのにならない人
- gakky88NSR
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携帯の販売員時代、同じ販売員でピアノをやっているという人が来た。 聞けばアメリカの有名な楽団にいた事があり、日本に帰って来たけど音楽の仕事では食えないから販売員をやっていると言う。
2018-03-25 11:32:26ゲームが好きで、ゲームにインスパイアされたオリジナルの曲を聴かせてもらったけど凄く良かった。 というか今まで聴いた人達とレベルが違う。 プロ、という感じだった。 「なんで販売員なんかやってるの?」 「コネもないし、音楽で食べていくやり方がわからない」と言う。
2018-03-25 11:37:18販売員の前はJazzBar等で演奏していたそうだけど、お金は良くないそうだ。 「勿体無い」と僕は思った。 これ程の腕があるなら、所属する場所次第で十分食べていけるハズだと思った。
2018-03-25 11:43:17とある知り合いから、ミュージシャンや芸能人の集まるパーティーに呼ばれた。 そこでピアノがあるから弾ける人も募集していた。 僕は販売員の彼を呼んだ。
2018-03-25 11:44:53こういうパーティーは、新人とか売り出したい人達の横の繋がりを作るためにある。 知り合いを増やせば可能性も仕事も増える。 こういう場で仕事が決まることも多い。
2018-03-25 11:48:45ピアノの彼は『いっ君』としよう。 いっ君はこういう場でどうすれば良いか分からず、ソワソワしていた。 主催者に紹介する。 どうやら誕生日の人がいるらしく、Happy Birthdayを弾いて欲しいと言う。 でも譜面は無い。 いっ君は「あー、全然良いですよ」とニコニコしていた。
2018-03-25 11:53:59演奏を始めるいっ君。 でもみんなの知ってるHappy Birthdayでは無く、聞いた事の無い軽快なジャスが流れ出した。 みんなが、「あれ?」と戸惑っていると、曲は徐々にHappy Birthdayになっていった。 わあっと盛り上がる会場。
2018-03-25 11:58:30ジャズアレンジされたHappy Birthdayは盛り上がり、無事に演奏を終えると、拍手に包まれた。 いっ君はそれから数十分、雰囲気に合う演奏を引き続けた。 演奏が終わった時、沢山の音楽関係者が彼の周りに集まった。
2018-03-25 12:00:50演奏中から「彼は何者なの?」とか「うちにあのレベルはいない」とか「凄い」とか言われまくっていた。 囲まれた彼はビックリしていた。 「こういうイベントがあるんだけど頼みたい」とか、スタジオミュージシャンとしてどうか、という話がいくつか来たという。
2018-03-25 12:05:33僕は連れてきて良かった、と思った。 これで音楽の道が出来たと思った。 あとはいっ君次第… が、いつまで経ってもいっ君は相変わらず販売員のままである。 あれから何も進展が無いのかと言うと、「無い」と言う。
2018-03-25 12:08:52沢山貰った連絡先にはどこにも連絡していないと言う。 「僕なんかには無理なんですよ」「きっと社交辞令ですよ」 と悲しそうに笑う。 そう、いっ君は自己評価が滅茶苦茶低いのだ。
2018-03-25 12:11:03「いやいや!そんなこと無いから!あの人もあの社長もみんないっ君の演奏にビックリしてたから!」 必死に説得するも、結局どこにも連絡しなかった。 いっ君は音楽と英語以外はポンコツな人で、毎日怒鳴られている。 それが自己評価を下げているのかもしれない。
2018-03-25 12:14:32十分な才能や実力がありながら、自己評価の低さで、その世界に飛び込まないという人は、かなりいるという。 いっ君もまたその一人なんだろう。 僕は勿体無いなぁ、と残念に思うのだった。
2018-03-25 12:16:38ああいう場で連絡先貰ったら、3日以内には連絡して話しないと風化しちゃうんだよね。 ガツガツしてると思われるくらいじゃないと中々仕事には繋がらないと思う。 僕は普段はのんびりしてるけど、「ここがポイントだな」と思ったらガツガツ行動するからね。 そういう繋がりはずっと残ってる。
2018-03-25 12:38:02後日、別の音楽関係者にその話をすると、そういう人は多いという。 実力がありながら「俺なんかまだまだ」と思って挑戦しない人、野心が無い人、気が小さい人、人格に問題があって使うに使えない人が沢山いるそうだ。 結局使うのは実力派そこそこでも常識があってやる気のある人になりやすいと言う。
2018-04-01 11:43:42何より、中々食べていけないという業界に戻るのは、いっ君にとってはハードルが高いのかもしれない。 過去に食べていけなくてJAZZ BARを辞めているワケだし。 販売員をしながら音楽をやるというのは、生活に疲れ切った彼にはキツかったのかもしれない。
2018-04-01 11:55:52