±非対称な波形と位相操作の話

生楽器やデューティー比の大きい矩形波などでは、しばしば波形のピークが±のいずれかに偏る現象が見られます。その原因や対応についての四方山話
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位相が揃いすぎる不都合。体感音量は同じなのに、RMSメータは4dB以上差が出るし、コンプの挙動も変わる pic.twitter.com/XnptV5wx9P

2018-04-02 12:45:32
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とりあえずAllPassFilterのみで体感音量を変えずにピークを5dBほど軽減させることに成功したが pic.twitter.com/yEkTrLDCvD

2018-04-02 13:06:44
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ソースは440Hzのサイン波に、同一ピークの2~5倍音を積み上げたもの。 1)位相が全一致した設定 と、 2)ピークメータ目測で5dBほどピークが下がる設定 の切り替えは、上のボタンで pic.twitter.com/zOpjhcHJX1

2018-04-02 13:11:41
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この方法でピークだけ削ってもラウドネスメータはダマせないので、音圧稼ぎ()には無効だろうけど、コンプの動作が安定して不自然な凹凸が軽減される場面はあるかもね

2018-04-02 13:16:41
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±が非対称な波形の話。 今回は特定記事の意訳というより、波形の上下非対称性について関連サイトから集めた情報を整理してみました。 主な出典は以下の3つ soundonsound.com/sound-advice/q… producenewmedia.com/asymmetric-wav… audiomisc.co.uk/asymmetry/asym…

2018-04-02 21:43:09
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非対称な波形がどんなものを指すのかはリンク先をご覧いただくとして、これがどういうとき問題になる、あるいはならないかのまとめを箇条書きで。

2018-04-02 21:43:47
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・±(上下)非対称の波形は、声やブラス、近接収録した弦楽器ではよくあること。 ・アナログ録音時代から存在は知られていた。放送分野では以前から重要視されていたが、音楽分野で取り上げられるようになったのはDAW時代に突入して波形を目視できるようになってから。

2018-04-02 21:45:03
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・放送分野で問題にされたのは、おそらく非対称な波形に伴いがちな突発ピークが送出アンプにとってよくなかったから。これを抑制するため、送出前に通す32バンドの位相調整器なるものもがその分野には存在するらしい。

2018-04-02 21:45:03
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・非対称な波形が生じる原因は主に2つ。 1)複雑な倍音構成を持つ音声は、倍音の重なり具合により非対称になるため。ちなみに基音と倍音の位相差(ひいては非対称の度合い)は時間とともに変化することもある。 2)先に挙げた楽器の特性上、マイクのダイアフラムに対して正の方向に空気圧がかかるため。

2018-04-02 21:45:50
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・非対称な波形の原因、あるいは現象自体は「DCオフセット」と結び付けられがちがだがこれは誤りで、なんの関係もない。というよりデジタル機器も初期はいろいろあったが改善して久しく、今日DCオフセットが問題になることはそう滅多にない。

2018-04-02 21:46:34
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・非対称な波形は、聴いて問題にならなければ特に対処する必要があるものではない。が、対処するべき状況が生じた場合に投入すべきツールはPhase rotator、もしくはAll Pass Filter。

2018-04-02 21:47:07
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「対処すべき状況」の具体例は、たとえば倍音同士の山が重なったとき。一方のピークはまだまだマージンがあるのに、他方が上限近くに振れているためにゲインを稼げない、あるいはコンプが変に振る舞うときなど。これは先の自然音のほか、HPFを通したり、低域を激しく処理したときなどに生じやすい。

2018-04-02 21:47:55
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たまたま先日受け取ったボーカル素材で、1音だけなぜかコンプが過剰に反応してしまう箇所があって、ひょっとして…と思って調べた結果がここまで。(結局、位相が原因であったかどうかは未確認) それで本日昼間に投稿した実験動画に至ったわけです twitter.com/VocalEdit_com/…

2018-04-02 21:48:37
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で、ここからは経験と憶測に基づく半ばデタラメな話なんだけど、位相シフトでラウドネス変わらず&ピーク低減した結果、本当に音が変わらないかというと、実はちょっと痩せた気はする。エネルギーの総和が変わらずとも、スピーカコーンの物理的な振幅が狭くなるためだろうか?

2018-04-02 22:10:47
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でも差はわずかなので、問題になるかどうかはケースバイケースだと思う。少なくとも問題のある周波数をEQで削ったりリミッタで叩くのとは異なる味わい。まぁ積極的に使える場面は限られそう。おそらくLittleLabs IBPが目的とする、教科書どおりのシチュエーションぐらいか

2018-04-02 22:10:48
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で、一旦この位相変化による味わいの変化がわかると、なんとなくキック、ベースの基音~3倍音あたりまでをEQする危険性が理屈でわかった気がして、やはり録り音、大事。という当たり前の結論に。

2018-04-02 22:22:23
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リニアフェイズでないEQは本質的に対象周波数の位相をずらすものなので。というか、「音をにじませる目的で」かますEQって、つまりそういうことよね…あるいはEQにより過度に失われた押し出し感を、AllPassFilterのノードを追加することで取り戻せるかもしれない。次の課題。

2018-04-02 22:22:24