日向倶楽部世界旅行編第42話「悪魔の兄妹」

本格的な怪物退治に乗り出した私たち、しかし森には何もない、ワニしかいない。 それで、夜になりそうだから村に戻ったら、様子がおかしくて…
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三隈グループ @Mikuma_company

「戦果のために囮を使うなど正義に反する」 「…様子がおかしい」 「こんな回りくどい真似をせずに済むものを…」 「あそこにね、人がいるのよ~?」 「ここの人間は一人残らず始末するのが任務だ」 「この子供、一体何者だ…!?」 「お兄~ちゃん、だーい好き!」 日向倶楽部、この後21:00! pic.twitter.com/EvnksuaFQJ

2018-04-10 20:46:32
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【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 前回は私達のお話ではありませんでした…なので、これは私の日記です。 以前お話しした通り航海中は映画をよく見ているのですが、最近はまんがも見始めました。今は「セイジンガーA」というのを見ています、主人公の鎧乙女という少女が、お父さんの作ったセイジ

2018-04-10 21:00:34
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【前回の日向倶楽部その2】 長門と共に旅を始めた野分は、タウイタウイの街にて追い剥ぎの少年達に襲われてしまうが、そこをローズハルトという騎士に救われる。 故あって彼と行動を共にする事となった野分は、その夜の彼との会話を経て、広い世界を体験し、自分を知る事を決意するのだった。

2018-04-10 21:02:27
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第42話「悪魔の兄妹」

2018-04-10 21:03:38
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〜〜 ローズハルトさんと話した翌日、私は鳥のさえずりで目を覚ます健康的な朝を迎えた。 「ふあーぁ…ん…」 大あくびをし、伸びをし、私は朝のストレッチをする。 腕をぐるぐる回したり、腰をひねったり、前屈したり、艦娘を目指すようになってから、これを毎日やってるのだ。

2018-04-10 21:04:46
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昔は身体が硬かったけれど、今は床に手のひらの…ここなんて言うのかな、とにかくすごく付く。 全ての過程を終えると、ちょうどよく身体が温まるし、軽くなる、私は健康的な朝を迎え、顔を洗い、栄養ゼリーを朝食として飲んだ。 シャワーを浴びたいのは勿論だったけど…この村、そういうのがない…。

2018-04-10 21:06:29
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とまあ、そんなこんなで私は外に出た。 外では長門さんが、何やら不思議な素早い動きをしていた…艦=カタの動きなのかな。 加古さんは見るたびに寝るか雑誌を読むかだったから、強くて勤勉な人ってなんだか新鮮。 「おはようございます」 「起きたか、よく眠れたか?」 「はい、しっかり」

2018-04-10 21:08:40
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動きを続けながら、長門さんはそうかと応える。 「ローズハルトさんは何処に?」 「ああ、彼なら…」 すると、何処からともなく大きなオープンジープがゴトゴトやって来た。 「おお、ノワキも起きたか。今日はしっかり探すから車を借りて来たぜ。」 運転して来たのは鎧兜着用のローズハルトさん

2018-04-10 21:10:36
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「…という訳だ、これならお前も探索に集中出来るだろう。」 「あ、ありがとうございます…」 「フン…」 長門さんは動きを止め、武器や荷物をジープに積み込む。 だけじゃ無いんだろうけど、体力不足の私の為にわざわざ…二人の気遣いに感謝しながら、私もジープの後部座席に乗り込んだ。

2018-04-10 21:12:51
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「それじゃ、怪物探しに出発だぜ」 準備が整うとローズハルトさんはアクセルを踏み、オープンジープを走らせた。 「ノワキ、昨日はよく眠れたかい?」 「はい、大丈夫です。」 「OK、まあ無理はしなくていいぜ。見ての通り俺は頑丈だ、相手次第じゃ、俺を囮にして上手くやってくれ。」

2018-04-10 21:14:32
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彼がこう言うと、長門さんは厳しい顔で言った。 「安心しろ、そうなる前に私が片付ける」 「おう、それが何よりだ」 「戦果のために囮を使うなど正義に反する、二流だ。私がいるからには何一つ犠牲は出さない。」 長門さんは私の方に目を向けつつ、ここには居ない那珂さんに向けて言った。

2018-04-10 21:16:47
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と、そんなこんなでジープは森のかなり奥で止まった。 「とりあえずこの辺を探してみるか、目撃情報もここだしな」 私達はジープを降り、武器を持ち、目印を付けつつ森の奥へ進んだ。 すると早速、ガサガサ…ガサガサ…という音が聞こえて来た。

2018-04-10 21:18:43
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「えっ…何…もう来たの…?」 私が気を揉んでいると、草陰からそれは現れた…! 「ひゃっ!」 それは… 「わ、ワニ…?」 「なんだワニか…乱獲で数を減らしているらしいな」 「そうらしいな、長生きしろよ〜」 小さなワニは、私達の前をのそのそと歩いて行った。

2018-04-10 21:20:30
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しばらく歩いていると、またガサガサ…ガサガサ…と音がした。 「今度は何…?」 私が神妙に辺りを眺めていると、木陰からそれは現れた…! 「おお」 それは…またワニ! 「またか、この辺りは住処なのか?」 「近くの水辺から来てるのかもな」 普通なサイズのワニは、のしのしと歩いて行った…

2018-04-10 21:24:32
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その後も歩き続けたが、大きめのワニがいるくらいで、珍しいものは特になかった。 栄養ゼリーとスポーツドリンクを昼食代わりに、私達は一旦休憩を取る。 「それらしきものは見つからないな」 「うーん、ワニじゃないだろうしな…」 長門さんとローズハルトさんは神妙な顔でゼリーを飲む。

2018-04-10 21:26:36
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私も辺りを見回しつつゼリーを飲む…と、その時、ポケットに入れていた私のスマホが鳴った。 「なんだ、この辺りは繋がらないぞ」 「癖で持って来ちゃったみたいです…」 私はゼリーの袋を咥えたまま、スマホのロックを解除した。 「アラームかな…」 私はスマホをぺたぺた操作する。

2018-04-10 21:29:01
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「メルマガ…」 どうやら鳴った理由は、通話アプリに送られて来たメールマガジンだった。 私は特に関心もなくそれを閉じ、スマホをしまおうとする、だが、ふとある事に気が付いた。 「…?でもなんで来たのかしら…ここ、繋がらないはずだよね…」 私はもう一度スマホを開く。

2018-04-10 21:30:39
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開いた直後、ほんの一瞬だけ、無線の繋がる表示が見えた。 私は訝しみ、眉間に力を込める、どこかで無線LANが飛んでるの…? 「どうしたノワキ?何かあったのか?」 訝しんでいるとローズハルトさんが訊ねて来たので、私は次第を説明した。

2018-04-10 21:32:42
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「無線LANが?」 「ええ…一瞬繋がるのが見えて、何よりメールが今来たって事は、理由はどうあれネットに繋がったんです。」 「村には電話すらろくすっぽないのに、こんな森の奥にインターネットか…」 この国はインターネットの普及率そのものが低いため、尚の事奇妙であった。

2018-04-10 21:34:52
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一連の会話を聞いていた長門さんが立ち上がる 「うむ…歩いてみれば何か見つかるだろう、捜索を再開するぞ。」 「だな、行くぜノワキ」 「行きましょう」 私達はまた、森の中を歩き始めた。 〜〜

2018-04-10 21:36:46
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〜〜 夕方 「何も見つからんな」 「ノワキの話にありそうな建物も無いな…」 ジープで更に移動なども繰り返したが、私達が見つけたものといえば水辺を泳ぐ大きなワニくらい、ワニが怪物と間違えられたのかな…でも地元の人はワニなんていつも見てるだろうし…

2018-04-10 21:38:42
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「これ以上いると夜になっちまう、今日のところは村へ戻るか」 「そうだな、夜行性という情報はない以上、それが正しい。」 そんなこんなで私達はジープの場所まで戻り、村へと走り出した。かなりの奥地まで来ていた為、帰り道は行きの二倍ほどかかりそうだ。

2018-04-10 21:40:41
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「結局見間違いとかだったんでしょうか…」 「それが一番良いが、たまたま俺らが見つけられなかっただけっていうのが、状況としては一番悪いな…」 ハンドルを握りながらローズハルトさんは怪訝な顔つき、半日かけて成果無しとなれば、多少はネガティヴな感情も出てしまう。

2018-04-10 21:42:29
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「情報通り全てを探したが…明日も捜索を行おう、このまま帰っても人々は怯えるだけだ。」 「俺もナガトに賛成だ、三日は探してみないとな。」 「もう二泊ですね…分かりました。」 私達は明日の計画を大まかに話しつつ、村への道を走って行く。 だが話の途中、私は疲れて眠ってしまった… 〜〜

2018-04-10 21:43:39
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〜〜 すやすや眠っていた私が目を覚ましたのは、太陽が沈み、辺りがすっかり真っ暗となっていた頃だ。 「…起きたか、もうすぐ村だ」 辺りを見回していた長門さんに言われ、私は目をこすって前を見る、はっきりとは言い切れないが、行きに通った道のような気がした。

2018-04-10 21:45:40