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日向倶楽部世界旅行編第42話「悪魔の兄妹」

本格的な怪物退治に乗り出した私たち、しかし森には何もない、ワニしかいない。 それで、夜になりそうだから村に戻ったら、様子がおかしくて…
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三隈グループ @Mikuma_company

やがて最後の標識を過ぎ、村が見えて来た…すると、ローズハルトさんが車のスピードを落とした。 「どうした?」 長門さんが訊ねると、彼は小さな声で言った 「…様子がおかしい、昨日はあの村、あんな明るくなかったぜ。」 彼はヘッドライトを消し、村の方を指差す、確かにぼんやり明るかった。

2018-04-10 21:47:39
三隈グループ @Mikuma_company

「お祭り…?」 「いや、そんな準備はしていなかった…何か嫌な予感がする、注意して行こう。」 ローズハルトさんはジープをゆっくり走らせ、村へ少しずつ近付いて行った。 〜〜

2018-04-10 21:49:04
三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 同時刻、村にて。 「これで全部か?」 奇妙な格好、尻尾の生えた少年が兵士に問う 「ハッ、投降した者の収容、ならびに抵抗した者の射殺、全て完了しています。」 「よし、後は手筈通りだ、準備しろ。」 「了解しました。」 兵士は回れ右をし、少年の元を離れる。

2018-04-10 21:50:40
三隈グループ @Mikuma_company

「全く、教国の人間共を使えれば、こんな回りくどい真似もせずに済むものを…」 少年は壊れかけの椅子に腰掛け、気怠げに愚痴を言う、その顔は端正なものだったが、生えた尻尾や鋭い爪を持つ手、兜のように頭部を覆う異形が、彼がただの少年ではないと主張する。

2018-04-10 21:52:26
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と、ふと少年は思い立つ 「…そういえば、さっきからアラシオの姿が見えないな、何処かで遊んでいるのか?…おいお前、ここ見とけ」 「ハッ」 彼は立ち上がり、異形の尻尾を生き物のように動かしながら村の中を歩き始めた。 すると、何処からか呻き声が聞こえた、少年の尻尾が声の方を向く。

2018-04-10 21:54:03
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「生きてる奴が居たか…」 少年は呻き声の正体…建物の影に隠れ、壁にもたれかかっていた男に近寄った。 「た、たすけて…」 「フン…手間だ」 少年は男を嘲るような目で見ると、近くに落ちていたナイフを拾い、男の顔に狙いを定める。 シュッ、と風を切る音がし、男は息絶えた。

2018-04-10 21:55:48
三隈グループ @Mikuma_company

「原始人が…おい、死体も使えるんだ、こいつもしまっとけ」 少年は兵士を呼びつけると、また村歩きを再開する。 しばらく歩くと、少年は一人の少女を見つけた、子どもっぽい服を着て、真っ赤なリボンをつけて、天使の羽のようなものをつけた女の子である。

2018-04-10 21:57:20
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女の子は、少年の姿を見ると顔を明るくした 「あ、お兄〜ちゃん」 「アラシオ、こんなところで何してるんだ?ダメじゃないか」 少年は先程とは違う、とても柔らかい口調で話し、少女の前にしゃがみ込んだ。 「もうじき終わる、良い子だから那珂ちゃんのCD聴いて待ってな」

2018-04-10 21:58:36
三隈グループ @Mikuma_company

少年は異形の手で、アラシオと呼ばれた少女の頭を撫でる。 「う〜ん、でもね〜ラマリお兄〜ちゃん…」 「ん?どうした?」 少女は少年の視界の外を指差す、その方角には森の方へ続く道がある。 「あそこにね、人が居るのよ〜?」 「…何?」 少年は彼女の言葉に眉をひそめ、その方を見る

2018-04-10 21:59:39
三隈グループ @Mikuma_company

「ローズハルトさん!ローズハルトさん!」 「この子供、一体何者だ…!?」 その方角には三人の人間がいた、少年は立ち上がり、まじまじと見る。 まず、黒い鎧を着た男が倒れている、気を失っているようだ。 次に華奢な身体付きの女がいる、憔悴した顔で倒れた男に声をかけている。

2018-04-10 22:01:00
三隈グループ @Mikuma_company

そしてもう一人はガタイの良い女、艦娘が使うであろう単装砲を二丁構え、こちらを警戒するように睨んでいる、恐らくあれが一番強いだろう。 「…森からとは想定外だな、それも結構強そうなやつだ。」 少年は黄色い目を細め、尻尾をゆらゆらと動かす。

2018-04-10 22:02:33
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「どうするの〜?」 そんな彼とは反対に、少女アラシオはのんびりと訊ねる、少年ラマリは真剣な顔つきで答えた 「ここの人間は一人残らず始末するのが任務だ…アラシオ、お前は戻っていても良いぞ」 すると少女はにっこり笑う 「うふふ〜、私、ラマリお兄〜ちゃんと一緒がだーい好きよ〜」

2018-04-10 22:03:38
三隈グループ @Mikuma_company

そう言うと、少女は少年の手を握った。 「…そうか、油断と無理はするなよ、それとお兄ちゃんの言う事は聞くんだ。」 「はーい、任せてお兄ちゃん」 二人は繋いだ手を離し、戦闘態勢に入る。 両者の視界には同じものが映っていた、それは三人の人間、三つのターゲット。 任務開始 〜〜

2018-04-10 22:04:31
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〜〜 な、何が起きたの…? 「ローズハルトさん!ローズハルトさん!」 私は呪文のように、うつ伏せに倒れているローズハルトさんの名前を呼ぶ、返事はない。 長門さんは目の前に砲口を向けている、その先にいるのは怪物でも深海棲艦でもない、一人の女の子…でも、あれが、あれが…!

2018-04-10 22:05:31
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あの後私達は村へ着いて、車を降りて、そうしたら村の様子がおかしかった。 そうしたら道の真ん中に、変わった格好をした女の子がいて、ローズハルトさんがその娘に話を聞こうとしたら…こうなってた。 私の目が正気なら、事実はこうだ…ローズハルトさんが女の子に殴られて、吹っ飛んだ……!

2018-04-10 22:06:28
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「この子供…一体何者だ!?」 あの長門さんですら顔に動揺が表れているのだから、私は頭が真っ白になっていた。 「…森の奥からとは想定外だな」 すると、村の方からもう一人現れた、それは少年、でも尻尾が生えてるし、頭にツノがある、一言で言うなら悪魔、悪魔のような少年…!

2018-04-10 22:07:45
三隈グループ @Mikuma_company

少年と女の子は親しげに話している、悪魔のような少年と親しい女の子なら、ローズハルトさんを吹っ飛ばすのも当然かもしれない。 あれは何者?あれがヒトの形をし、言葉を話してるのだから、私は感じた事のない恐怖を抱いた。 足がすくむ、そんな私に、長門さんが声をかけた。

2018-04-10 22:08:35
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「武器を持て野分、奴等は普通じゃない…」 「は、はい…!」 「あれは討つべき悪だ、我等が正義だ、恐れるな…!」 長門さんの鼓舞が私を落ち着かせる、那珂さんのものとは違うが、それは私の震えを止められる力強さがあった。 私は深呼吸をし、冷静に連装砲を構える。

2018-04-10 22:09:56
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その直後!少年と女の子は、走ってこちらに向かって来た! 私は狙いを定め、連装砲を撃つ、地上でこれを撃つのは初めてだったが、波の揺れが無い分シンプルだ。 「フン、当たるものか」 「そこそこね〜」 それを二人は避ける、背後で弾丸が爆発し、二人の猛進を派手に彩る。

2018-04-10 22:11:27
三隈グループ @Mikuma_company

(敵が接近してくる、こういう時は距離を取って…) 戦術の基本を思い出し、私は行動に移そうとする。 …だがそこで私は気付いた、ここは海じゃない!だから、私は素早く動けないんだ…! 「しまった、バカな私…!」 気付いた時には少年が私の眼前に迫り、悪魔のような手を振り上げていた。

2018-04-10 22:12:41
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「ぎゃっ…!」 それが振り下ろされる直前、私の身体に強烈なタックルが見舞われ、私は横っ飛びに吹っ飛んだ! 「野分!立て!」 直後に響く長門さんの声、見ると、長門さんの強烈な蹴りが少年を突き飛ばしていた、助けられたんだ。 私は痛みの走る身体に鞭打ち、立ち上がって砲を構える。

2018-04-10 22:13:37
三隈グループ @Mikuma_company

「しっかりしろ!奴の下にいたなら、それなりに強いだろうッ!」 鼓舞の怒り添えが私に、だがそこへ、今度は女の子が迫る! 「お喋りをしてる場合か?」 「うふふふふ〜」 女の子は姿勢を低くし、足をせかせかと動かして走る、一見すれば無邪気な子供の走りだが、私達には恐ろしいものに見える…!

2018-04-10 22:14:36
三隈グループ @Mikuma_company

少年と女の子、別方向から迫る二人 「チッ、艦=カタを、舐めるなッ!」 しかし長門さんは激情しつつも冷静に、二丁の単装砲をそれぞれに向け、砲撃を行う。 彼女の狙いは二人ではなく、その少し前の地面、長門さんは爆風で壁を作るように狙いをつけていた、土埃が舞い、互いの姿を隠す。

2018-04-10 22:15:56
三隈グループ @Mikuma_company

だけど! 「そこね〜!」 「ッ!」 女の子はそこを突っ切り、地面を蹴った!ローズハルトさんを吹っ飛ばしたパワーが、長門さんに迫る! だから、長門さんは咄嗟の判断で左の単装砲を投げるのか!そして右の単装砲で狙いをつけ、それを撃つ! 爆発!両者の間、かなりの至近距離で爆発が起きた!

2018-04-10 22:17:39
三隈グループ @Mikuma_company

「きゃあーっ!」 女の子は爆風で吹っ飛び、少し離れたところに落ち、地面に倒れた。 「まずは一人…!」 長門さんはバック宙から着地し、単装砲をリロード、私が牽制していた少年の方を狙う。 「後はお前だが…お前は何者だ!」 彼女は砲口を向け、少年に声を荒げる。

2018-04-10 22:18:54