140ssログ2月、3月

石かり、薬宗、髭膝ログ
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やまたに @mw_snc

髪やって。大和守が背を向ける。青江はその黒髪に櫛を入れながら、肩を竦めた。相棒と喧嘩をすると、彼はわざとらしく他に甘えるのだ。高い位置で一つに結ぶのはお手の物だからいいけれど。そうしている内に視線を感じて。あのね、君は結ぶほどないだろう。構われず拗ねた大太刀に笑う。(石かり+安定)

2018-02-26 11:35:06
やまたに @mw_snc

主に茶を淹れる。隣で青江が茶菓子を選ぶ。主の膳を用意する。向かいで青江がふたり分の箸を置いていた。主の布団を春物にしようか、思っていると青江が薄掛を抱えて歩いてきた。長谷部くんも大変だね。言われて、好きでやっていると答えた。お前もそうだろう。お世話の先は違っても。(石かり+長谷部)

2018-02-26 11:47:03
やまたに @mw_snc

神剣でなくてもいいのにね。石切丸の溜息に、山伏はカカカと笑う。皆、自分が恵まれていると気付かぬものよ。そうだよ、美術品は美しいからこそじゃないか。そう呟く彼は、青江にだけ向けられた言葉ではないと気付かない。まあ、一番気付いて欲しいのは誰の隣に並ぶためかということだ。(石かり+山伏)

2018-02-26 18:03:10
やまたに @mw_snc

堀川が探していたよ。そう声をかけてきた青江に、和泉守はそうかと頷く。それならば、見通しのいい中庭の濡れ縁にいればすぐに見つけてくれるだろう。ああ、そうだ。和泉守は口にする。さっき石切の旦那が探し回ってたぜ。それは、僕が探した方が早い、仕方のない旦那様だね。(石かり+和泉守)

2018-02-26 18:09:50
やまたに @mw_snc

じっちゃんのために俺はこの形なんだ。そう獅子王が小太刀の姿を誇るから、膝丸も自分は、と考える素振りをする。そして、すぐに柔く微笑んで。俺は、兄者のためのこの姿だ。揃いの拵えをするりとなぞる指はどこか艶めいて。ああもう、この子は。髭膝は、赤い顔を隠すために机に伏した。(髭膝+獅子)

2018-03-01 17:51:22
やまたに @mw_snc

疲れた、と膝丸は腰を下ろす。大変ですね、と返る声は笑っている。君の同派だろう。三日月との内番に苦言を吐くと、くすくすと狐が告げた。お好きでしょう、振り回されるのは。そういう言い方をされては、首を横に振るしかあるまい。あれは、兄者だから許すのだ。他の誰にも許すものか。(髭膝+小狐)

2018-03-01 17:59:26
やまたに @mw_snc

誰ともわからぬ素振りをして、髭膝は笑む。弟が失礼したね。歌仙はいいやと口を動かした。まあ、僕の失態ではあるのだけれど。浴衣をおざなりに来た男は告げる。庭師は、元気だったかな。さあね、なんのことだろう。上擦る声に、彼は柄から手を離した。ひとの情事なんて見たくもないよ。(髭膝+歌仙)

2018-03-01 18:07:23
やまたに @mw_snc

この爪紅、可愛いでしょ。今日の俺は可愛いかな。主のために可愛くしてみたよ。つらつらと口から出る言葉は、好意を持つ相手ならば広く使われるらしい。とすれば、僕には聞かないの。髭切の言葉に、加州は嫌そうな顔をして。俺は可愛いの。弟の方が可愛いなぁ。だからだよ、と彼は言った。(髭膝+清光)

2018-03-01 18:12:05
やまたに @mw_snc

初めての冬、君はひとり火鉢にあたって。一年目の冬、君は隣で炬燵に入り。二年目の冬、君は寒いと抱きついて。三年目の冬、君は我が物顔で私を椅子にしていた。来年は、どうなるだろうね。そう呟いた口に、おもむろに蜜柑が一房押し付けられる。そんな君といる冬の部屋。(石かり)

2018-03-21 18:05:12
やまたに @mw_snc

宴会の喧騒は、遠い。桜色の髪をくるくると弄びながら、薬研はひとりきりの花見を楽しむ。兄弟はいいんですか。宗三の声に、お前こそ、とは黙っておいた。まだ暫くは咲いてるだろう。僕だって、暫くここにおりますよ。笑うつれない男を薬研は抱き込む。こっちの美人桜は見飽きないからな。(薬宗)

2018-03-23 07:30:00
やまたに @mw_snc

花弁の雨が降る。ひらひら積もり重なっていく様子に、歌仙はほうと息を吐いた。風流か怠惰か悩むところだね。助けて欲しいなぁ。友人の求めには首を振る。僕の細腕では眠る大太刀をどかすなんてとてもとても。抱き枕にされた大脇差は文句を言うけれど。風流か怠惰はともかく、幸せな春の日だ。(石かり)

2018-03-23 07:39:16
やまたに @mw_snc

団子に弁当、それに桜餅。春は美味しいねと兄が笑う。花は見ないのか。呆れながら弟が言えば、草餅を頬張って。花よりは、芽吹く緑が好きかなぁ。では、庭に散歩へでも。立ち上がろうとする弟を抱き締めて制して、その髪に鼻を押し付ける。僕の春は、どこへ行く気だい。(髭膝)

2018-03-23 08:26:57
やまたに @mw_snc

敵を見据える金の目が、閨で潤むことを知っているだろうか。得意なはずの偵察が、先の見えない快楽に怯える様を。君ねぇ。大脇差が呆れながら血を払う。僕に見惚れているのかい、戦いのことだけど。そういうことにしておこうかな。私だけの君を思い浮かべていたと、言えば今夜は逢えなそうだ。(石かり)

2018-03-25 07:03:30
やまたに @mw_snc

眠る春山に花を植える。木蓮、菫、白詰草と庭にある花を適当に。そうしていると、弟の瞼がゆるりと開いて。むっとした顔に遊んだことを怒られるかと思えば、手を握られた。春告花は飛んで来ぬのか。それで拗ねていたの。呆れるやら可愛いやらで。兄はいつでもお前を思うよ、とその髪に口付けた。(髭膝)

2018-03-25 07:14:39
やまたに @mw_snc

隠してしまえ、と細い体を抱きこんだ。遠くの後ろを短刀たちがきゃっきゃとはしゃいで駆けていく。ばか、と小さな声がした。ひどいな、と石切丸は閉じ込めた脇差に告げる。頬の赤さはまだそのままだ。見られたら、どうするんだい。濡れた唇の文句を、口付けで吸い取った。(石かり)

2018-03-25 12:04:22
やまたに @mw_snc

水面に映したように重なる手の大きさが、同じ輪郭の顔が、どうしてこんなに愛しいのだろうと髭切は思う。きっと、同じことを弟も思っていて。そんなに同じなら、溶けてしまえたらいいのに。裸の体を引き寄せた。あにじゃ。眠たげに見つめる瞳に、おやすみと口付ける。夢も同じものを見よう。(髭膝)

2018-03-25 12:36:10
やまたに @mw_snc

兄者、と綿菓子みたいな声が呼ぶ。兄者、兄者。時に、蜂蜜みたいにとろとろと、金平糖みたいにきらきらと。兄者、食べないのか。食べるに決まってるよ。答えてから、それが八つ時の菓子の話だと気が付いた。これも、食べるけれど、そうじゃなくて。(髭膝)

2018-03-25 19:06:33
やまたに @mw_snc

青江、青江。彼はいつだって上機嫌に僕を呼ぶ。おいで、青江。こっちだよ、青江。なにがそんなに楽しいんだい。不思議になって聞いて見れば。君の名を呼ぶだけで幸せだからね。そう、と、こちらは上機嫌な顔を精一杯隠して、いつも通り君の隣に座るのだ。(石かり)

2018-03-25 19:10:41
やまたに @mw_snc

兼さん、と声がして、兄者、と声がする。聞き慣れた光景に、青江という単語が増えたのはいつからだろう。歌仙は考える。呼び声に、ごめんと謝り会話を中断したことにも。今、歌仙と話してるんだ。では、部屋で待っているよ。そう話を終わらせたくせに、そわそわとする君にも。(石かり)

2018-03-25 19:16:54
やまたに @mw_snc

ふあ、と欠伸ひとつ。宗三はぼさぼさになった髪を手櫛で整える。はだけた着物の襟を探して、ああ、昨日は何も着直さずに寝たのだと、隣に眠る男へ目をやった。すやすやと寝ている薬研の額に口付ける。ちゅ、ちゅ、と顔中に唇を落として、それから、ぎゅっと鼻を摘まんだ。お寝坊さん、朝ですよ。(薬宗)

2018-03-27 07:01:53
やまたに @mw_snc

君の寝顔を見つめる。飽きないなぁ、と石切丸は細い睫毛や薄く開かれた唇を視線で辿る。こうできるようになったのは、いつからだろう。警戒心の強い君が、無防備に晒すようになったのは。青江。触れても君は目覚めることなく、こちらにするりと寄って身を預けるばかりだ。(石かり)

2018-03-27 07:06:30
やまたに @mw_snc

まだ眠い、と愚図る兄を膝丸は起こす。起きてくれ。あと五分。朝食を逃すぞ。それでもいいよ。俺は、先に行くからな。問答に疲れて言えば、腕を引かれて。兄者。やだ。兄者。お前と離れるのを許せというの。ああ、これは寝惚けているな。諦めて布団に入る。俺が行きたいのは熊野ではないぞ。(髭膝)

2018-03-27 07:19:04
やまたに @mw_snc

弟と、薙刀が話している。仲良く話す。声は聞こえない。ただ、弟が珍しく砕けて笑う。戯れに拗ねる。耳まで赤く染める。薙刀が先にこちらに気付いて指をさす。距離が縮まる。こそこそと何を話しているやら。鬼でも出そうだな。背後から、月の声がした。おおこわ、だったか。否定はしないよ。(髭→膝)

2018-03-27 11:06:50
やまたに @mw_snc

兄が、月と話している。彼らの話は小難しくて、近寄っても理解できない。なあ岩融。友に声をかけた。兄者の隣には、あれの方が相応しいだろうか。弱音に、今まで散々ひとの恋路をからかっていた男は優しくなって。もしそうなら、俺は睨まれておるまいよ。お前も、わけのわからぬことを言う。(髭←膝)

2018-03-27 11:10:34
やまたに @mw_snc

彼の周りにはひとが多い。三条派は言うに及ばず、短刀たちが懐を求め、一部の刀が相談に訪れ、と。それはまったく、良いことだけれど。妬くほどにもならないけれど。淋しくはなってしまうもので。青江はコンコン、と壁を叩いて注意を向けた。そこの大太刀、借りてもいいかい。(石かり)

2018-03-27 12:12:26
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