2018年4月18日

【憑依:TSF】黒の社に残穢する

まとめました。 使い捨てめいた憑依が書きたかったのです。
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九重七志@憑依特化 @yorishirosama

▼夜の社長室。高価そうな椅子に座る男が一人。 向かいに立つのはもうひとり、吹けば倒れてしまいそうな痩身の男。 「――というわけで、このままでは納期に間に合わんのだよ」 「……事前に申し上げたはずです、どうするおつもりですか?」

2018-04-17 23:37:44
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「キミに頼る他ない。キミの実力なら、不眠不休でやりさえすれば必ず完成するはずなんだ」 「無茶苦茶を言いますね。いくら僕が天才だと言っても、出来ることと出来ないことぐらいはありますよ」 「そこをなんとか頼む。これは社運をかけたプロジェクトなんだ」

2018-04-17 23:38:33
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「そこまでのものならば、もっと資金と場所と人員に予算を割くべきでした。もう手遅れですが」 「そんなことは分かってる。親会社の不祥事さえ無ければ、もっと予算が入るはずだったんだ」 「無い物ねだりはよしてください、社長。そんなものは尋常の手段では出来るはずがないのです」

2018-04-17 23:39:10
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「……分かった、仕方ない。"アレ"を使おう。ホラ、前に一度やってみせてくれただろう?」 「"アレ"、ですか。あまり安全とも言えない代物ですが、あれなら――あるいは、なんとか出来なくもないでしょうが」

2018-04-17 23:39:43
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「頼む、可能な限りに昇進は約束するし、給料も上げる、手当も付けるし賞与も出す。本当に、キミに頼る以外に方法がないんだよ」 「はあ、そこまで言われては致し方ありません。間違いなく録音いたしましたからね」

2018-04-17 23:40:36
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「それでキミがやってくれるというのなら安いものだ、本当にキミは救世主だ」 「世の中なんて誰が救ってやるものですか。それはそうと、必ず用意していただきたいものがあります。まずは――」

2018-04-17 23:40:45
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

違法労働対策で電気を落とした社内の一角。 密談はもう暫く続き――そして、終わりを告げた。 そう、決して尋常ならざる手段を用いる。 どす黒く濁りきった世界の闇の所業――その算段を終えたのだった。

2018-04-17 23:41:03
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「(一体何をさせられるんだろう?)」 部屋には、事務服を着た女性たちが集められていた。 何らかの処置が行われたのだろう、時間的束縛をする紙切れには何も記されていない。 見れば、若く体力のある女性ばかりだ。 それもよくよく見てみれば、美人でないものなど一人も居ない。

2018-04-17 23:46:34
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

いったいこれはどういうことか、不法な接待行為でも行おうというのか。 しかしそうとも思えない。女性たちの机の前には、大仰なコンピュータ・マシンが並べられている。 それも、恐ろしくハイ・スペックな。

2018-04-17 23:47:05
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

それこそソフト開発に用いられるような、事務処理等で使われるようなものとは比べ物にならない新鋭機だ。 勿論彼女らに開発の経験など無い。 彼女達の不安も至極当然であった。

2018-04-17 23:47:24
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

――と。 扉が開き。人が入ってくる。 いかにも不健康そうな、痩せた躰の男だ。 爛々とした目が、どこか狂気じみた印象をもたらしている。 男は不審な目を向ける女性たちに軽く挨拶をすると、目の前のコンピュータのスイッチをいれるように指示をした。

2018-04-17 23:47:46
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

おそるおそると言った感じで女性たちがコンピュータを起動する。 画面には、何かしらの文字列が表示される。 日本語ではない。アルファベットでもない。 どこのものとも知れぬ不気味な文字……不快感をあらわにする者も居た。

2018-04-17 23:48:09
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

――しかし、彼女達は目を離せない。 目が吸い付けられるように、その得体の知れない文字列を見続けている。 そして、そんな彼女たちに、異変が起こる。 一人、二人、三人――パタリパタリと、机に突っ伏して意識を失っていく。 男はニヤリと笑みを浮かべながら、そんな彼女たちの様子を見続けている。

2018-04-17 23:48:40
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

パタリ――最後の一人が倒れたのを確認すると。 男は懐から小瓶を取り出し、中身の奇っ怪な禍々しい液状物質を美味そうに飲み干した……

2018-04-17 23:49:16
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

部屋。倒れた男、倒れた女たち、コンピュータの駆動音だけが鳴り響く、暗い部屋。 ――ぴくり。 前方、最前列の席。そこに座る女性。 彼女は指をピクつかせると、ゆっくりと起き上がった。 目を、覚ましたのだろうか?

2018-04-17 23:50:01
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「――ぁ」 発せられたのは高い声。 若々しく、瑞々しい、張りのあるよく通る声。 女性は何かを確認するかのように、自らの手を開く。 透き通るような白く細い指を伸ばし、また握る。

2018-04-17 23:50:23
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「……ふふっ」 女性は嬉しそうな声を上げると、自らの胸に手をあて、ゆっくりと揉み始めた。 「……んっ……んっっ……ひゃぁっ!」 甲高い悲鳴を上げた女性は、一先ず胸から手を離すと、目の前のコンピュータに向かい合った。

2018-04-17 23:51:11
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

画面には、先程の文字は消えている。 ごく一般的なインターフェイスのデスクトップ画面だ。 「――さて」 キーボードに手を載せた女性。 この手の機械に不慣れなはずの彼女は、恐ろしく奇麗なホーム・ポジションの構えをとっている。

2018-04-17 23:51:45
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「始めましょうか、全速力で」 未だ幼さの残る可愛らしい顔の彼女は、いつもとは全く違った口調で言葉を放つ。 その姿はまるで――先程の――

2018-04-17 23:52:05
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「使い物にならなくなったら次の身体に移るとしましょう。  ――なに、代わりは幾らでもありますからね」 女性は、爛々と目を輝かせ、狂気に満ちた獣のような笑みを浮かべると、早速作業に入っていった。

2018-04-17 23:52:35
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

途方もないペースで、間違いなく体を壊すであろう調子で。 指先は踊るように鍵を打ち、プログラムの片鱗を紡ぎ出していく。

2018-04-17 23:52:59
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

次第に指先の動きは鈍り、目は霞み、腕の動きが遂には止まる。 ――ガクンッ。 女性は、キーボードの上に倒れ込む。意識を失ったようだ。 目は白目を剥き、口からは泡を吐いている。

2018-04-17 23:53:31
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

それはそうだろう、アレだけの無理をしたのだから。 もちろんプログラムは途中までしか出来ていない。 だが―― ピクン、と。隣の女性が動き出す。

2018-04-17 23:53:51
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