魔女専門賞金稼ぎと魔女じゃない賞金首。あと実は賞金首じゃない海賊【短編SS】

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

なんだか久々の長いSSだ。早速やってきたドロシィのお話。とはいっても私は傍観者なのだが。 彼女は悪の魔法使いを狩る賞金稼ぎ。裏を返せば無害な魔法使いは狩らないが…もっと裏を返せば金のかかった賞金首は魔法使いじゃなくても標的になるわけで…。 それでは、始まるぞ

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「舞闘会も終わって平和ですねアシェン」 「だなロビン。でも昼間から酒はどうなのだ」 「いやですね。平和だからこそじゃないですか」 「まったく…いきなり出撃かかっても知らないぞ」 「なあなあなあなあちょい失礼。アンタってロビンフッドやんな？」 「ん、ドロシィか」

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「すみません、どなたでしたっけ」 「ドロシィ・ゲイルだよ。ほら、昨日新しいキャストが来ただろ」 「すみませんね。ロビンフッドは世界に沢山いるのでしょうが、このブックにおいては私がロビンです」 「ウチ、ドロシィ言います！よろしゅうたのんますー！」 「普段よりテンション高くないか？」

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「やーウチ、ロビンさんの大ファンなんですよー！いっぺん人相書き見てからメッチャ会いたいおもてたんですー！」 「本当にですか？照れますねえ。こんな可愛い女の子がファンだなんて」 「あっはっは、またまた！あー握手してー！メッチャ嬉しいわー！」 (本当にテンション高いな…)

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【どわーしぇブックのロビンは原典寄りの設定】 ↓ 【原典小説版なのでメイド・マリアンは登場しない】 ↓ 【だから女に縁が無ブウェエエッ 「捉えたならば最早外さん！」 「私の解説括弧がーっ！」 「はー本物はすごいわぁ！」

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「あのーよろしかったら、ウチとお話してくれやん？お願いします！」 「いいですよ！アシェン、少し外しますね」 「ああ、いってらっしゃい。パワフルな奴だな。流石関西人。いやカンザス人だが。でもなんでまたロビンのファンなのだ？」 「………待てよ、さっきアイツ人相書きとか言わなかったか？」

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「少し離れての割にはちょっと遠くまで来ましたね」 「せやな。でもそう思いながらついて来てくれたんやろ。ロビンさん優しいなぁ」 「………それで、賞金首のお尋ね者ロビンフッドに何の用でしたかね。ファンの賞金稼ぎさん」 「なんや！バレとるやん！知っててついてきたん！？」

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「ああああ待って！ちょいタンマ！別に闇討ちとかは考えてへんから！ほら！銃もブリキんも脇に置いとくから！な！？」 「ふむ、女の子が武器を下ろしたのにこちらは構えたまま、というのも格好がつきませんね。では私も」 「おおきに。賞金稼ぎとして大物ロビンフッドに聞いてみたい事があったんさ」

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「あっ本題の前に。私の懸賞金ってどのくらいなんです？」 「なんかジョンとかなんとかいうどっかの国王に狙われとんやろ。国に仇なす賊やから結構な額やったはず……あったわ、見てみ」 「えっこんなに貰えるんです？私の首でこんなに。すごい」 「それ喜ぶとこなん？」

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「なあ。『ギスボーンのガイ』って知っとる？」 「！」 「あ、別に知り合いとかやないで。同業者やから名前知っとるだけ。ウチとおんなじ賞金稼ぎや。 なんやまあ腕はそれなりやったんやけど、そいつの姿をある日を境にプッツリ誰も見やんくなった。アンタを討伐しに行った日以来な」 「…。」

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「そんで賞金稼ぎの間では噂になっとるんや。ガイはロビンフッドに殺害されたんちゃうかってな。 アンタはもう忘れた？ギスボーン出身ででっかい馬の皮を着た…と、その様子やと憶えとるみたいやな」 「憶えてますよ。私が殺害した者の名ですから。忘れるわけがありません」 「…ホンマに？」

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「ああ…アレってホンマなん？ホンマにロビンさんがやったん？」 「本当です」 「ホントのホントに？」 「本人が言ってるんですから信じてくださいよ。それともそんなに疑い深いですか？」 「そりゃそうや。だってロビンフッドは『不殺』のアウトローやろ？」

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「若い頃役人とモメて矢で射抜いてしもたのを切っ掛けにアンタは指名手配されてシャーウッドの森に隠れ住むようになった。せやな」 「よくご存知ですね」 「アンタ自分がどんだけ有名や思て。アンタは今でもそれを悔いとる。せやから殺しは絶対にせえへん。それが原典のロビンフッドや」

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「…彼は手加減できるような相手ではなかった。私は死ぬわけにはいかなかった」 「後悔してるん？」 「えっ？別に。全然」 「アンタ不殺言うてたやん！2人目とか重い事言うといて後悔しとらんのかい！」 「最初の役人はね。だがガイは私達の暮らしを脅かした。降りかかる火の粉は払わないといけない」

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「それが私の掟です」 「はっ、無法者(outlaw)が掟(law)を語るんか」 「自分の掟に背けないから、世間の掟から外れたんですよ。私は」 「ちょっと開拓者と通じるとこあるかもな。ええやん、ただの甘っちょろいイケメンやないんは分かった。ちょっと気に入ったで」

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「でもドロシィさん、貴女は私の命を狙わないと言ってくれて、武器まで離してくれた。それは私と貴女の志が同じだからてすよね」 「な、なんかその言い方こそばゆいな…」 「賞金首と賞金稼ぎ、本来ならば相容れない関係でも、強大な悪が現れた今なら倒すべき敵は同じです！見たところ貴女も腕は立つ」

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「ドロシィさん、貴女はガイとは違う。信用に足る方だ！」 「暑苦しいやっちゃなぁ、まあでもロビンフッドが味方なら怖いもの無しや」 「それでは、私はそろそろ失礼します」 「おぅ。色々教えてくれてあんとぉな」 「貴女に背中を預けて共に戦える日を楽しみにしていますね」 「…はぁ、作戦失敗や」

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「カカシさん出ておいで。爆発中止。魔女バスターのマーカーも剥がしとかな。 …上手いこと誘き寄せたつもりやけど、最後の最後で罠起動できんかったわ。 一発で仕留められたならええんやけど、一発で仕留めれんかったらあの男本気で襲い掛かってきたんやろな。それ考えたら…起動できんかったわ」

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「あの男は常に本気やない。でも本気にさせてまうとやばなるタイプや。ギスボーンのガイはそれをやってもーたんやな。可哀想に。会ったことないけど」 「ともかくアイツはウチの手に余る。あんなん命が幾つあっても足らへんわ。賞金稼ぎは勝てるもんしか戦わん。命あっての物種やからな」

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「まあ今回は罠に気付いてへんみたいで良かったわー…！闇討ちせんって約束したのに本気でやる気満々やったってバレたらそれこそウチまで………待てよ」 「それに気付いてしまったら本気でウチをやらんとアカンようになるから…わざと気付かんフリしたんか？」

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「ただいまアシェン」 「ロビン無事だったか！？よく考えたらアイツ賞金稼ぎだった！お前はお尋ね者だろう？」 「いや私もちゃんと気付いて警戒してましたから…胸倉離してください」 「大丈夫か！？何かされなかったか！？」 「別に何も無かったですよ？あの子も私と同じ正義を胸に宿す者ですから」

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「あーロビンさん…さっきはおおきに」 「む、ドロシィ！どこ行ってたのだ！」 「ドロシィさん、おかえりなさい」 「さっきは御無礼すんませんでした。ちょっとカマかけたろ思て…」 「何か謝る事でもありましたっけ？」 「えっ」 「先程は何も無かった。世間話をしただけ。でしたよね？」

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「ドロシィさん、先程はあんな話をしましたが私は何も賞金稼ぎには容赦しないわけではありません。私の仲間にも元賞金稼ぎが一人いますよ。鋳掛屋って呼ばれてるんですけど。ですから…あまり気負わず共に戦いましょう」 「…切れ者なんかアホなんか、読めん男やわ。でもそこが気に入ったでロビン！」

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少し心配だったのだが、何も問題は無かったようだな。賞金首と賞金稼ぎ、正反対の二人だが大きな共通点もある。それは「己に課した掟」だ。 二人には絶対に譲れないものがある。それを守る為に手を組んだ二人は…きっと強い筈だ。【終】

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「あ、ちなみに鋳掛屋は本当に原典ロビンフッドに出てくる人物だぞ。ロビンを討伐しようと雇われるのだが、事もあろうにロビン本人に騙されてしまった男だ。その後は意気投合して仲間になり、序盤は数回出てくるのだが後半では───」 「アシェン、解説はいいですから」 「お話の後の余韻は大事やで」