日向倶楽部世界旅行編第45話「紅い瞳と疑惑の海」

単身大量の深海棲艦に挑む日向、特に苦も無く戦闘を進めるが、流石にしんどくなってきた頃、天から光が降り注ぎ、扶桑が降り立った。しかし彼女は深海棲艦に対し、敵意以外のものを向けており…?
0
三隈グループ @Mikuma_company

那智の後方では、徒手空拳の艦娘と大剣の艦娘が深海棲艦を叩きのめしている、横須賀鎮守府親衛隊横須賀利根姉妹とは彼等の事だ。 「なるほど…」 「そういう事だ。本当はゆっくり話がしたいが、事態の収拾もしなくてはならないのでな、船に戻っていてくれ。」 「分かりました、そうしましょう。」

2018-05-01 22:03:56
三隈グループ @Mikuma_company

扶桑が素直に頷き、日向に目配せすると、那智はピッと腕を払ってカッコいい敬礼をした。 「貴様が日向だな?」 「はい」 「扶桑から話は聞いているよ、面白い人だとな」 「おも…?」 面白い人という言葉に、日向は思わず扶桑の方を見る、扶桑の方はとぼけるようにスッと目をそらした。

2018-05-01 22:05:11
三隈グループ @Mikuma_company

そんな二人へ、那智は気さくに言い放つ 「そういうわけだ、ブルネイで会おう!アディオス!」 そして長い髪をたなびかせ、二丁の主砲を手にまた戦場へ戻って行った。 残された二人は、そのスマートな後ろ姿を見送った… 「あれが那智大佐か…」 有名人とのエンカウントに日向は感嘆の息を漏らす。

2018-05-01 22:06:20
三隈グループ @Mikuma_company

そしてすぐに扶桑を見る。 「…それより扶桑、面白い人ってどういう意味だ」 「さあ…」 「妙な事言ったりしてないだろうな?」 「うーんどうでしょう…ちょっと覚えてませんね」 にこやかというよりはにんまり、扶桑は日向を見下ろしてから、笑いをこらえてそっぽを向いた。

2018-05-01 22:07:35
三隈グループ @Mikuma_company

「…まあ良いか」 「良いのですか?」 「多分」 日向はぐるぐると肩を回し、反転した。 「さ、言われた通り船に戻ろう、正直疲れた」 「そうしましょう、貴女は丸腰のようなものですからね」 「ああ…キミも艤装をつけてないが…」 日向の言葉に、良いんですよと扶桑は返す。

2018-05-01 22:08:47
三隈グループ @Mikuma_company

そして唐突に日向の身体を掴んだ。 「なんだ急に」 「いえ、疲れたと言っていたので…私の身体に掴まってください。」 「ん?おう」 日向は言われた通り、扶桑の二メートルもある大きな身体に掴まってみた。 「掴まりましたね?」 「ああ、何する気だ?」

2018-05-01 22:10:29
三隈グループ @Mikuma_company

扶桑は日向がしっかり掴まっていることを確認すると、彼女の身体に手を回し、よりガッチリと固定する。 「では行きますよ」 「何を」 「…やぁっ!」 扶桑が掛け声を上げると、なんと!海に大きな水しぶきが飛び、彼女は弾き飛ぶように猛スピードで海を駆け始めた! 「うおおおっ!?」

2018-05-01 22:11:49
三隈グループ @Mikuma_company

風のように飛ぶように、疾風のように駆ける扶桑に掴まり、日向は思わず声を上げる。風を切るスピードがとても心地よい! 「すごいな扶桑!なんだこれ!」 「これなら楽でしょう?超特急でヒューガリアンまで戻りますよ!」 猛スピードの扶桑は得意げに笑い、日向を抱えて海を駆け抜ける!

2018-05-01 22:13:01
三隈グループ @Mikuma_company

「アハハハハハ!こりゃ楽だし楽しいな、アハハハハフブェッ」 日向は扶桑の脇の辺りから顔を出して無邪気に笑う、海水が時々顔にかかり、顔を濡らす。 「しょっぱ」 「くふっ…貴女ね、喋ると海の水を飲みますよ」 その隣で扶桑も穏やかな表情を浮かべる。

2018-05-01 22:14:17
三隈グループ @Mikuma_company

だが、その心中は穏やかではなかった。 (彼等がこちらに向かって来た理由…私の制止を無視して、一体何故…?) 駆けながら遠方を見る、深海棲艦がボコスカと倒されていた。 (何かがおかしかったのでしょうか…気がかりですね…) その心情が表出するように、彼女の顔が険しくなる。

2018-05-01 22:15:42
三隈グループ @Mikuma_company

「扶桑、どうかしたか?」 「…いえ、何でもありません。そろそろ船に着きますよ。」 日向に訊ねられると、扶桑は表情を柔らかくし、にこやかに笑った。 …そしてもう一度、深海棲艦の方を見る、白い肌に埋まった彼女の赤い目が、僅かに紅く光った。 第45話 「紅い瞳と疑惑の海」 おしまい

2018-05-01 22:17:23
三隈グループ @Mikuma_company

【晴嵐・五月雨波紋】 波紋技の一つ、現在は扶桑のみが使用する。 読みは(さみだれはもん、リプルレイン) 無数の赤い光弾を雨のように降り注がせる技、広範囲に高い密度で降り注ぐため回避は困難を極める。 反面破壊力は低く、用途は牽制や威嚇、迎撃などに限られる。

2018-05-01 22:19:31
三隈グループ @Mikuma_company

【晴嵐・波紋閃光】 波紋技の一つ、扶桑が使用する。 読みは(はもんせんこう、ウェーブレーザー) 晴嵐の波紋を一筋の光として放つ技、命中すると波紋エネルギーが流れ込み、対象に強烈なダメージを与える。 軌道は直線的で単純な攻撃、しかし貫通力が極めて高く、防ぐ事はほぼ不可能。

2018-05-01 22:21:04
三隈グループ @Mikuma_company

【晴嵐・波紋群鳥】 波紋技の一つ、扶桑が使用する。 読みは(はもんむらとり、ドドンパチ) 何体もの光の鳥を放つ技、放たれた鳥たちは大空を舞い、その翼で敵を打ち払う。 要するに艦載機のようなもの、迎撃は困難を極めるが、これ自体に武装がないのが弱点といえば弱点。

2018-05-01 22:22:48
三隈グループ @Mikuma_company

【晴嵐・波紋嵐】 波紋技の一つ、扶桑が使用する。 読みは(はもんあらし、ウェーブサイクロン) 全身に纏った波紋エネルギーを放出し、周囲に強い衝撃を与える技。 予備動作があり一見隙が大きい、だがこの時扶桑の周りは強い晴嵐の波紋が渦巻いており、一切の攻撃が通じず、近付くのも危険である。

2018-05-01 22:24:48
三隈グループ @Mikuma_company

【那智大佐】 横須賀鎮守府那智戦闘大隊旗艦那智大佐。 元は外務省のエリートだったが、深海棲艦の出現を機に艦娘へ転向した。 四十路の見える歳だが、戦闘大隊を率いて数多の戦果を挙げてきた優秀な艦娘にして指揮官、艦=カタの考案者でもある。 本名は四谷裕子、那珂こと四方園八叡とは親戚関係。 pic.twitter.com/vjsTMQGFSA

2018-05-01 22:25:48
拡大
拡大