P-PingOZ 第2話『メドウマウス・メソッド』

いつかどこかの物語、第02特区、通称OZに暮らす人々の生活を覗き見する番組のTwitter配信アーカイブです 今回の主人公:女子高生兼魔法使い見習いのソラ(17歳、女性) 前:https://togetter.com/li/1228689 次:https://togetter.com/li/1228692
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【放送事故につき仕切り直し】

2018-04-22 21:45:53
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いつかのどこかのお話です。 あるところに、第02特区という島がありました。 みんなはこの島をオズと呼び毎日を暮らしています。 この島では、住民の皆が主人公。 そんな彼らの様々な営みを、ひととき、覗いてみましょう。

2018-04-22 21:46:04
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今日の主人公は、鉄(くろがね)ソラ。制服姿の、17歳の少女。来年成人する彼女は今はまだ高校生で、魔法使い見習いだ。そんな彼女の放課後を、覗いて行こう。

2018-04-22 21:48:24
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P-PingOZ 『メドウマウス・メソッド』

2018-04-22 21:50:54
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みそら地区、午後16時。学校街駅発のモノレールは、学校街【テロップ:主に私立の9年校、高校、大学、専門学校ビル等の教育機関が集中している】から出てきた若者で溢れている。「クラス同じで驚いたよ。ソラさん普通クラスから進学するつもり?」ソラは二人掛けの席で、クラスメイトとのお喋り。1

2018-04-22 21:54:50
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「そうなるといいな。アオメさんは、やっぱり専門? 成形品調理だっけ」「うん。早く免許取って、お家の手伝いしたいし」「偉いねアオメさん」「全然よ。そうだ、いま私、野菜粉末で成形グラッセ作ってみてるんだ。できたらまた味見してね」「うん。いいよ」「よかった! それじゃあ、また明日ね」2

2018-04-22 21:58:22
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「また明日」ひとりになったソラは、モノレールの車窓へ視線を移した。すいぎょく地区にかかる消えない虹と、堀沿いに植わるミホシザクラの大きな花びら。のんきな暖かさに相応しい春の夕暮れ時に、ソラの表情は晴れない。3

2018-04-22 22:04:02
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うつぶし地区の大山団地前駅で降りて、彼女が向かったのは、駅から少し歩いた所にある「秘密の花園」。全て個室、オートロック。使用器具は全て洗浄され、安全だ。4

2018-04-22 22:07:28
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おそるおそるタッチパネルを操作すると、カードキーと『洗浄済』タグのついた緑色の薄型ゴーグルが吐き出された。すぐ隣のサーバーで水を入れ、流行歌の有線が流れる薄暗い廊下を早足で個室へ。施錠音がしてようやく、彼女は肩の力を抜く。5

2018-04-22 22:09:48
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シンプルな小部屋の机には『洗浄済』の文字が流れるタワー型端末があったが、ソラはリュックから自分のラップトップを取り出して起動させる。同期させた緑の眼鏡(ゴーグル)をかけ、三人称アングルでログイン。ゴーグルに『接続中』の文字が点滅し、ソラは、森へ向かった。6

2018-04-22 22:15:15
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彼女は、森の中では、冠をかぶった野ネズミの姿を取る。頭上に表示される名前も、見た目通りのmedowmouce(野ネズミ)。野ネズミは羊皮紙の地図を開き、座標を入力すると【※個人情報保護の観点から画面にぼかし処理を行っています】、森を一瞬で移動し、小さな赤い屋根のロッジの前へ。7

2018-04-22 22:18:40
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ここは、彼女の親友で作った秘密の場所だ。ソラが入力したパスワードが鍵の形になり、ひとりでに鍵穴へ吸い込まれてドアが開く。中にいるのは、ASKという、赤いフード付きのケープを着た少女だ。ソラとは数年来の親友。8

2018-04-22 22:24:35
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『ハロー、メドちゃん。いつもと場所違うけどどうしたの?』野ネズミは背中を丸める。『実は……親にメガネと端末壊された』『え、ひっどい! どうして?』『就活と関係ないからって』『えー?! メドちゃん、大学行くって言ってたじゃん! え、他は無事? データとか?』9

2018-04-22 22:28:35
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『避難させてある。サブは無事だったから、今日はそっちで。メガネは借り物だけど』『新しいのも、すぐはムリっぽいかな? 金貨10枚ぐらいかかるもんね』『……今の貯金、受験とか模試のお金に充てるつもりだから』『受験までに、お金どのぐらいかかるの?』『前の一式と同じぐらい』『ひえっ』10

2018-04-22 22:32:43
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野ねずみの返答に、ASKが悲鳴を上げてソファに倒れ込んだ……と思ったら跳ね起きた。『ていうか、ご両親はどうして就活って言ってるの?』『すいぎょく地区で働けって言って、ずっと喧嘩してたんだ。ウチには進学させる余裕がないって』野ネズミの声は険しい。『奨学金は?』11

2018-04-22 22:38:02
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『借金だからダメって。家にお金が入らないから』『ふあー!』ASKが再び悲鳴をあげてソファに倒れ込む。『メドちゃん、卒業したら家出た方がいいと思うな』ASKの声は真剣だ。野ネズミはソファによじ登り、ASKの鼻先で耳を動かした。『できるかな』『それは、メドちゃん次第だと思うよ』12

2018-04-22 22:41:20
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ASKは野ネズミの冠を指でなぞる。『メドちゃんは、どうしたい?』野ネズミはしばらく動かなかったが、顔を上げてASKと視線を合わせる。『私、あーちゃんに色々教えて貰ってたのに、全部ダメになるの嫌だ』『ン、わかった』ASKは野ネズミを片手ですくい上げ、そっとテーブルにおろした。13

2018-04-22 22:46:48
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『じゃ、ひとまず端末代のバイトしよ。ちょうど簡単な仕事が入ってきたから、魔法使いデビューだ』ASKはバスケットの中から鳩の置物を取りだし、つついた。『弊社城門強化に伴う負荷テスト依頼につきまして』鳩から合成音声による読み上げが始まる。野ネズミはきょとんと首をかしげている。14

2018-04-22 22:49:14
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『もしかして、あーちゃんの仕事、手伝って良いの?』『もっちろん! どこかはナイショね。お給金良いし、人増やしても良いよって言われてるから、二人分でメドちゃんのメガネと端末買うたしにしよ。ほら』鳩の音声が、ちょうどその部分を読み上げる。15

2018-04-22 22:53:08
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『尚、今回のご依頼につきましては、内容の性質上、同じ魔法使いの方をご紹介下さっても結構です。ジュネ様と』『うわああああー!』ASKが鳩をハンマーで叩き割った。『……聞かなかった。いいね?』野ネズミは、今日はじめて笑い声をあげた。『わかった』 16

2018-04-22 22:58:26
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2018-04-22 23:04:11
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CM≫~♪(音楽)【ナレーション】14楽団、ニューシングル「旅路」NOW ON SALE

2018-04-22 23:08:28