明治にドイツ女性と結婚した留学生・長井長義の話~もう一つの「舞姫」や「マッサン」(ヤスキハガネ氏)

今だって国際結婚は色々大変。それが明治時代、特に西洋の女性と…となれば、関係者や実家と様々な摩擦が生じ、うまくいかないこともあります。それを描いたのが森鴎外「舞姫」ですね。しかし、それでも愛を貫き、幸せな家庭を築いた「もうひとつの舞姫」の実例があります。それが「エフェドリン」発見者・長井長義氏。歴史に詳しいヤスキハガネ氏が、twitterでその生涯を紹介。さらに「舞姫」の背景なども
54
前へ 1 ・・ 3 4
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

ここまでの状況を整理すると、鴎外とエリーゼが出会った頃(1887年くらい)のヴィーゲルト家は「労働者階級であるが、日々の暮らしで非常に困窮するほどではない」というように思われます。ここが「舞姫」の作品での描写と違っているところではないでしょうか。

2018-05-27 20:56:00
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

あとエリーゼは何かの職業に就いていたかどうかについてですが、1888年のドイツへの帰国後は確実に働いています。住所録には”Modistin(モーディスティン)”とありますが、これは帽子職人のことです。女性の頭に関するファッションを扱うということで非常に女性人気の高い職業でありました。 pic.twitter.com/vmVSOLe4V5

2018-05-27 21:04:11
拡大
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

参考までに現代ドイツのモーディスティンの動画です。今でもマイスター制度が適用される仕事なのですが、男性はモーディスト、女性はモーディスティンと呼ばれます。今では女性が大多数のようですね。youtu.be/Jjv7XVbH928

2018-05-27 21:08:36
拡大
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

つまりエリーゼは母マリーがお針子(仕立職人)であったのと同じ服飾の道に進んで、30代になって結婚するまでは帽子職人として働いていたということになります。この辺りの事を勘案すると少なくとも舞姫のように劇場の踊り子ではなく、職人として生計を立てていたことになります。

2018-05-27 21:17:53
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

それでさえぼう先生が出されていた疑問に戻るのですが、長井テレーゼと竹鶴リタと比べての階級差がどうだったかというと、 ・竹鶴リタ:スコットランドの開業医が実家のためアッパーミドルクラス。 ・長井テレーゼ:ドイツの石材・木材商が実家。おそらくブルジョワ階級。 となり、

2018-05-27 21:25:24
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

・エリーゼ:父は軍人から銀行の出納係だが既に死去し。母は仕立職人。自身も服飾系の技術持ち。判断は難しいですがアッパーワーキングクラス。 ということになり、エリーゼの家は上の二人と違って労働者階級に位置付けられると思われます。

2018-05-27 21:30:27
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

そこで昨日の陸軍武官結婚条例に話が飛ぶんですが、陸軍卿の許可を得るために上官から奥書(推薦状)が得られるかどうかを考えるとエリーゼの場合、リタやテレーゼよりも更に確率は厳しいものになると言えると思います。

2018-05-27 21:57:16
ヤスキハガネ💉💉💉 @wiener_kongress

階級についての話は色々とつらいものがあるので書いていると本当につらい

2018-05-27 22:02:47
前へ 1 ・・ 3 4