掌小説語り~自作つぃのべる集~40

自作つぃのべるのまとめです。 2016年8月分。
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リュカ @ryuka511

妹が嫁いだ王国が魔王軍の猛攻に陥落したという。妹は無事なのか。王子は調査隊編成を父に願い出た。だが父は自国を守るのに手一杯。動かない父に王子は焦れた。「僕が行く」密かに決意し城を抜け出す。そうして王子は旅に出た。それが魔王討伐の大冒険になるとは、まだ知る由もない #twnovel

2016-08-26 00:21:53
リュカ @ryuka511

王子の初陣で出陣の準備を手伝う。さぞ緊張しているだろうと思いきや、王子の顔に驚愕した。思わず王子の肩を揺さぶる。鎧に映ったあなたの顔は、血に飢えた野獣そのものです。震える私に王子は口元だけで笑った。王子に戦の指揮を執らせてはならない。だがもう止めるには遅過ぎた。 #twnovel

2016-08-26 23:54:41
リュカ @ryuka511

人間が魔王に対抗すべく生み出したそれは、人間に制御できるものではなかった。悪魔めいた所業から生み出されたそれは、研究所を破壊し暴走する。城を街を川を森を焼き払い、焼け野原をいくつも生んでいく。魔物も人間も見境いなく虐殺するそれの、悲しげな咆哮を聞く者はいない。 #twnovel

2016-08-28 00:03:57
リュカ @ryuka511

任務遂行のため旅行者のフリをして旅客船に乗り込む。追手を撒くには人混みに紛れるのが一番だ。反乱軍の皆が待っている。捕まるわけにはいかない。だが、敵に見つかり民間人を銃撃戦に巻き込んでしまう。彼らは進んで私を匿ってくれた。戦っているのは我々だけではないのだと知る。 #twnovel

2016-08-29 01:23:30
リュカ @ryuka511

親の都合で引っ越すのだと君は淋しそうに言った。見送らせてほしいと言ったら、君は曖昧に笑って「もう帰らなきゃ」と立ち上がる。その奇妙な笑みの意味を知るには幼すぎて、「またね」の言葉は風に消えた。 #twnovel 数年後。一家心中の記事に君の名前を見た。新聞を握り潰す手が、震えた。

2016-08-29 22:50:15
リュカ @ryuka511

天空の町へ行くにはドラゴンの力を借りなくてはならない。ドラゴンの竪琴は手に入れた。あとはドラゴンに認めてもらうだけ。ドラゴンが眠る洞窟の最奥にたどり着いた。竪琴を奏でる手に力が入る。世界の命運はこの演奏にかかっているのだ。ここまで来た僕らの想いを、受け止めて。 #twnovel

2016-08-31 00:27:44
リュカ @ryuka511

留守番中の子羊の家にお腹をすかせた狼が来ました。「ただいま、お母さんよ」一番上の子羊が聞きます。「お母さん夕飯はなぁに?」腹ペコ狼は思わず「ラム肉のステーキよ」と答えてしまいました。「お母さんじゃない!」「帰れバカ狼!」散々笑われて狼はすごすごと森へ帰りました。 #twnovel

2016-08-31 23:35:54