日向倶楽部世界旅行編第49話「集う者達」

三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 シャワーを浴びてスッキリしたあきつ丸は、三隈に連れられて船着場へとやって来て居た。 「三隈殿、一体何を…」 「ふふっ、訓練メニューが変わると言ったでしょう？変わるのは、メニューだけじゃないのよ。」 「…？」 今ひとつピンと来ないあきつ丸を見て、三隈は微笑む。

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すると船着場の向こうから、見覚えのある人影がやって来た。その人影はへらへらしながら、やけに太い左腕をこちらに振って歩いて来る、あきつ丸はそれを見て駆け寄った。 「貴女は…鈴谷殿！」 「へへっ、お久しぶりあきつ丸ちゃん、元気？」 それは瑠璃色の瞳に緑の髪、鋼の義手、鈴谷であった！

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「鈴谷殿！義手は平気なのでありますか！？」 「義手ゥ？…ああ、ウン、平気よ平気、ほれ」 犬のように食い入るあきつ丸に向け、鈴谷は義手をガチャガチャ動かしてみせる。そこへ三隈もやって来た。 「お久しぶりですわ、鈴谷さん」 「ミックもお久しぶり、キッチリ間に合ったっしょ？」

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間に合った、という鈴谷の言葉に、あきつ丸が首を傾げる。 「…？間に合った…というのは？」 疑問を呈する彼女を、鈴谷は指でつつく 「えぇ？そりゃあここの闘技大会よ、聞いてるっしょ？」 彼女がそう言うと、あきつ丸はポンっと手を打った。

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「ああ！三隈殿と出るんでありますか？」 「ハァーーーーーー」 鈴谷は顔を抑え、苦笑いして言った。 「ミックは出ねえよ」 「へ？じゃあ、日向殿と組むのは鈴谷殿…？」 「冗談っしょ？」 「はい？」 目をパチクリさせるあきつ丸、鈴谷は呆れ果てて笑うと、彼女の肩に手を置いた。

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「出んのは、あたしと、アンタだよ、あきつ丸ちゃん！」 鈴谷が力込めてそう言うと、あきつ丸は落ち着いて頷く 「なるほど…」 だが、すぐに慌てた 「えっ…？ええっ！？自分でありますか！？」 「そうだよ、もうミックがエントリーも済ましてる。あたしと、あきつ丸ちゃんのタッグでさ」

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なぁ？と鈴谷が訊ねると、三隈はにこにこしながら頷く。 「ええ、参加費も全部お支払いしてあります、あとはお二人が出るだけですわ。」 「な、い、いつの間に」 「第一今日まで訓練してたろ」 「あれは日課的なもので、そういうものとは…」 「なんつー鈍さだよ」

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と、そんなこんなで 「…ま、なんでもいいや。今日からの訓練、そして大会、あたしが相棒だぜ、あきつ丸ちゃん」 鈴谷はニッと笑いながら、鉄の拳を突き出す。あきつ丸は少し戸惑っていたが、一つ頷き、拳をそこに合わせた。 「……ええ、よろしくお願いします！鈴谷殿！」

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二つの拳が突き合わされ、タッグが組まれる。その様子を見て、三隈はにこにこしながら口を開いた。 「では鈴谷さん、落ち着き次第、ここ数日の訓練映像をお見せしますわ。相手は私だけれど、少しくらいなら参考になるはずよ。」 「おっ、良いねェ、そういうのグッドだよ」

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鈴谷はへらへら笑い、荷物を取る。 「ま、その前に部屋案内して頂戴よ、あたしが居ない間の話も聞きたいしさ。」 「じゃあ少し遅いですが、お昼を食べながらというのは？」 「おっ良いねェ、ここは美味しいからなァ〜」 三人は再会を喜び、仲良く話しながら歩き出す。

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「そういや来る途中、トラック泊地から来たって奴と会ったんだよね〜」 「トラックから？」 「長門型の艦娘と、なんか鎧着たおっさんと一緒だったけど、トラックってそういう人多いん？」 「いえ、そんな事は多分…」 活気溢れるブルネイ泊地、闘技大会の開始は、すぐそこである。

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第49話 「集う者達」 おしまい

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【足柄】 トラック泊地の重巡洋艦娘。 那珂と共に戦った歴戦の猛者、優れた頭脳も持ち合わせており、戦闘だけでなく技術畑にも精通する文武両道の才女。 理知的な女性である反面、胸中には闘志と野心を秘めており、そのギラついた瞳は常に、彼方にある勝利を見つめている。 pic.twitter.com/EJbR9InYiL

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【鈴谷】 一人で活動する隻腕のワタリ艦娘。 旅の途中で日向達と出会い、三隈に雇われる形で行動を共にしていた。 その中であきつ丸の面倒を見るようになり、彼女にいくつもの助言をしていった。機械仕掛けである義手のメンテナンスを理由に一時離脱していたが、あきつ丸と共に闘技大会へ出場する。 pic.twitter.com/iRgazU4elV

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【あきつ丸】 トラック泊地の強襲揚陸艦娘。 鈴谷に心を開いて以降、艦娘としても人としても成長するため励んできたが、未だ大きなものを手に入れてはいない。 未だ三隈というゆりかごに揺られ、複雑な気持ちを抱える彼女に、闘技大会という一大イベントはどんな影響を与えるだろうか？ pic.twitter.com/gePvcT9dOv

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