ある同業者との関係に関するメモ

みわよしこ／Yoshiko Miwa, a journalist, PhD @miwachan_info

槙村さとるさんのお父さんには、黙って怒りをぶつけられ殴られる誠実さがあった。私は殴るどころか、面と向かって言うことさえ不可能だった。父親が逃げ回り、手を回し、表でも裏でも自分の都合の悪いことを言わせないようにしてきたから。相手がこれだけ違えば、全然違う話。そしてまだ終わってない。

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私はこれからずっと、その同業者が何か良さそうなことを語るたびに、笑うだろう。誰にも知られずに一人で笑うしかないのが虚しくて、なるべく存在も作品も見ないようにするだろう。もう、そうなかけてる。早く忘れてしまいたい。

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ほんとに、いい加減におしまいにしたいんだけど、今ひとつ浮かび上がってきた。その同業者は、漫画家の曽根冨美子さんの取材ぶり書き振りを批判したことがあって。実際のところ曽根さんがどうなのか、私はまったく知らないんだけど、私には相槌を打てない事情があった。

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私には高機能自閉症の従姉がいて、知能の問題を伴わない発達障害児が親子で精度の谷間に落ちていた時期、発達障害がまだなんなのかよく分かっていなかった時期に学校教育を受ける巡り合わせになった。従姉の母親である私の伯母の一人は、大変な苦労の末に60代で他界。ウチ長寿家系なんだけど。

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曽根冨美子さんは、故・伯母に聞き取りをして『この星のぬくもり』を書かれた。私の母親は父方伯母たちを嫌っていた。その伯母とは通算で何回会ったか。たぶん両手両足の指で足りる。曽根さんのおかげで、ほぼ母親からの悪口以外の情報のなかった伯母について、少しだけ実像を知ることができた。感謝。

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もう一つ。従姉は日本人ではじめて自分自身の経験を書籍にした自閉症者なので、いろんな取材を受けている。中には何年もトラウマになるような酷い取材もある。のちに私が取材をはじめるにあたって、従姉の経験は大いに参考になった。決定的に痛めつけるパターンは、知ってれば避けられる。

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その従姉から、曽根冨美子さんへの憤懣や怨念を、私は一度も聞いたことがない。無神経な取材はなかったのだろう。それに作品も、本人バレを避けるために最大の努力が払われている。存命中だった伯父を特定するのは不可能だろうけど、でも家族の経験はウソになってない描写。これも参考になった。

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そんなわけで、曽根冨美子さんは、私の恩人のお一人。会ったことはないけど。恩人批判に、簡単に相槌打てるものか。その同業者との関係では、もう、こんなことがたくさんで。そして未だに情けないのは、私以外に同業者の悪口罵詈雑言の受け手になった人が見当たらないこと。少なくとも私は知らない。

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曽根さんの悪口を吹き込まれたのは、2013年だったか2014年だったか。かなり昔の話。私はうわさ話に乗らないし悪口に付き合わない。それはすぐに分かってたはずなのに、2017年8月まで続いてた。なんなんだか。「私に」うわさ話をさせ悪口の同意者にすることが、どこかで主な動機になっていたのか？

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その同業者が曽根さん批判への相槌を求めてきたときは、すぐ、『この星のぬくもり』のモデルは私の従姉と伯母なので同意するわくにいかないことを答えた。相手の顔に動揺と恐怖が浮かんだ。まずいとは思ったんだろうなあ。でも、相手はやめなかった。私は徹底的に痛めつけられた末に切り捨てられた。

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はい、おしまい。このまま切れられますように。後腐れがありませんように。私が早く忘れてしまえますように。願うことはそれだけ。

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私のほうからは、「同業者」が誰なのか明かすことはしない。一連のツイートには、正確な推測を妨げる情報も仕込んである。そもそも、自分にとって不名誉で屈辱的な数年間の記憶について誰かに語りたいとは思ってなかった。

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昨年9月にYahoo!ニュース個人編集部との問題が発生して、いきなり遠ざかられ、10月、遠ざかった言い訳にさらに傷つき、「同業者」の記憶が場をともにしていた記憶ごと全部吹っ飛んだ。12月、「同業者」を消した形で記憶は再構築された。

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ところが狭い貧困問題業界のこと。同じイベントにいる場面は多々ある。それだけならいいんだけど、「同業者」は何事もなかったかのように障害者への配慮を周辺にアピールしたりする。私には一切話しかけずに、近くでことさらに高揚した声と態度で。

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私は、両者を知る相手に「実は『同業者』氏と気まずいことになっているので（手ぬるい。私は『同業者』がトラウマになっている、と言うべきだった）、私は同じ場所にいたくない」と耳打ちして立ち去るか、何事もなかったふりに付き合って普通の態度でいるかの二択を迫られることになった。

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と言っても今までのところ、私から「同業者」が誰なのかを聞いた人、および近くにいて耳に入れた可能性がある人は、合計で5人。その人たちが漏らさない限り（そして安易な噂話にするとは思えない）、あるいは本人が「実は自分」と名乗り出ない限りは漏れない。

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ご本人も今のところ、それが自分だとバレたら困ると考えているらしい。少なくともSNSなど表に見えるところでは完璧に他人のふりをしていらっしゃる。私も、それが一番いいと思う。

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私は「同業者」氏を困らせたいわけじゃない。自分が苦しすぎるから、少しだけラクになりたかった。それを悪と言われたら、どうやって生きていけばいい？　自分が責められ苦しめられたら「同業者」氏と徹底的に闘う。問題の元は「同業者」氏、基本的には個人の人間関係の問題だから。おしまい。