「子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法」のあとがき

なぜ育児本を書こうと思ったのか、その経緯をつづった「あとがき」を公開します。
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shinshinohara @ShinShinohara

ハイジはクララと同じ家庭教師から教えてもらっているのに、ABCさえ憶えないのでサジを投げられていました。そんなとき、クララのおばあさんはハイジにきれいな挿絵のある本を贈りました。

2018-06-12 23:44:44
shinshinohara @ShinShinohara

大好きなアルプスの山々に似た美しい絵を見て、ハイジはこの本を読んでみたい、そしてできるなら目が見えなくて困っていたペーターのおばあさんにこの本を読んであげたい、と願うようになりました。その後ハイジは、家庭教師も驚くスピードで学力を向上させました。

2018-06-12 23:45:13
shinshinohara @ShinShinohara

クララのおばあさんはハイジに勉強を教えていません。ただ、文字を読めたら楽しそうという「楽しみ」を指し示しただけです。あとはハイジが勝手にそれを楽しもうとしただけです。

2018-06-12 23:45:35
shinshinohara @ShinShinohara

クララのおばあさんはハイジと本を読むのを楽しんでいます。そう。学ぶことは楽しい。学んで成長する姿に大人が驚くと、子どもも嬉しい。そうした循環が、学習意欲の源泉なのだと思います。

2018-06-12 23:46:05
shinshinohara @ShinShinohara

私たち夫婦には2人の子どもがいます。本書を読んでくださった方々には申し訳ないですが、本音では親として不安で一杯です。

2018-06-12 23:46:37
shinshinohara @ShinShinohara

私の見るところ、偉そうに教育を語る人が子育てで失敗している事例はたくさんあります。「本書を書いたことが原因で子育てに失敗するなら、なんにもならない」と悩んだ時期もあります。

2018-06-12 23:47:00
shinshinohara @ShinShinohara

嫁さんと常々話し合っているのは、「たくさんの人に助けてもらおう」ということです。本書をお読みいただいた方にはお分かりのように、子育ては親の力だけでは成り立ちません。

2018-06-12 23:47:23
shinshinohara @ShinShinohara

様々な人の手を借りて補ってもらうことでようやく成り立つものです。子どもはやがて学校に通い、社会に出て、親の庇護(ひご)の外に出ることを考えれば、「他者」の存在をどうしても考えなければなりません。

2018-06-12 23:47:53
shinshinohara @ShinShinohara

しかも、思春期になると親の言うことを聞かなくなるのがふつうです。ですので私の教え子たちには「そのときにはうちの子の話を聞いてやったり、叱ってやってくれ」と頼んでいます。親ではない人の言葉だと思春期の子どもは重く受けとめるからです。

2018-06-12 23:48:16
shinshinohara @ShinShinohara

親に足りないところを、たくさんの人たちの力で補ってもらう。その代わり、子育てで困っている親御さんがいたら、自分が補う役を果たすようにする。そうして、助け合う関係を大切にしたいと思っています。

2018-06-12 23:48:37
shinshinohara @ShinShinohara

本書を手に取る人は、東京などの都市部の方も多いでしょう。都市部では「他人の力を借りる」ことがとても難しい場合があります。隣に住むのは何する人ぞ、という状態。これでは助け合いも成立しません。

2018-06-12 23:49:15
shinshinohara @ShinShinohara

他人の力を借りるには、お金を払って塾や習い事をさせるに限る、という話も伺います。やむをえない事情だと思います。しかし何でもお金がないとできないのなら、経済格差が学習意欲を損なうことになりかねず、いたたまれない思いがします。

2018-06-12 23:49:49
shinshinohara @ShinShinohara

そこで、本書を読んでくださった方にお願い。できるところから、できる範囲でかまいません。もし誰かの力になれる機会があったら、言葉だけでも視線だけでも態度だけでもかまいません。ほんの少し、力になってあげてください。

2018-06-12 23:50:25
shinshinohara @ShinShinohara

「情けは人のためならず」という言葉は、誰かにかけた情けは、いずれ自分のところに戻ってきて助けてくれる、という意味だそうです。年をとって、私はそれを痛感するようになりました。

2018-06-12 23:50:53
shinshinohara @ShinShinohara

あの時私がかけた、さほど思い入れもなかった言葉が誰かの気持ちを救い、それがめぐりめぐって自分を助けてくれることがある、というのを何度も経験しました。 気の合う人に対してだけでも結構。「力になれれば」と念じるだけでも結構です。それでも救いになることがしばしばあります。

2018-06-12 23:51:31
shinshinohara @ShinShinohara

本書は、私と嫁さんの間に生まれた子どもたちが困ったときに誰かが助けてくれるとありがたいな、という思いで書いたものだといえます。その代わり、本書を手に取ってくださった親御さんたちに、いささかの助けになればと思って、本書をつづりました。

2018-06-12 23:52:02
shinshinohara @ShinShinohara

一緒に子育てに悩み、楽しんでいる「同志」として、本書を手に取った親御さんたちとつながり、補い合えればと存じます。

2018-06-12 23:52:31
shinshinohara @ShinShinohara

助け合えば、子育てを楽しむ余裕も生まれます。一緒に子育てを楽しんでいければ幸いです。

2018-06-12 23:53:00
shinshinohara @ShinShinohara

子どもが学ぶことを楽しむこと。親がその様子を見て楽しむこと。他者がほんの少しそれを手助けすること。もしそんな社会が実現できれば、ずいぶん楽しいことになると思いませんか?

2018-06-12 23:53:45
shinshinohara @ShinShinohara

終わりの方になりましたが、遅筆な私を辛抱強く励まし続けてくれた編集者の森鈴香さんがいらっしゃらなければ、とても本書は日の目を見ることはありませんでした。私の至らぬ文章に目を通し、適切なアドバイスを下さる編集者と出会えたことは、私にとって僥倖(ぎょうこう)と言わなければなりません。

2018-06-12 23:55:50
shinshinohara @ShinShinohara

また、本書を書き上げるにあたり、嫁さんのご両親や私の母など、親族が支えになってくれたことも注記しなければなりません。子育ての本を書くと子育てに参加する時間が減るという矛盾をどうにかやりくりできたのは、祖父母が子どもたちの相手をしてくれたからです。

2018-06-12 23:56:31
shinshinohara @ShinShinohara

そして何より、嫁さんです。本書は、嫁さんと相談しながら歩んできた今日までの道のりを書きとめた「交換日記」のようなものです。ですから嫁さんは共同執筆者と言ってかまわないと思います。

2018-06-12 23:56:59
shinshinohara @ShinShinohara

私はリクツではわかっていても実践においてはリクツどおりにできず、子どもたちへの接し方で失敗することが多々あります。それを嫁さんはヒョイと簡単にこなしてしまいます。

2018-06-12 23:57:36
shinshinohara @ShinShinohara

その様子を観察して、子育てのコツをたくさん学ばせてもらいました。嫁さんとの出会い、そして今日までの日々がなければ、本書は書けませんでした。

2018-06-12 23:57:57
shinshinohara @ShinShinohara

そして、塾生をはじめとする、教え子たち。「教え子」とは言いますが、実のところ、彼らから「子育て」なるものを教わったと言えます。「そうか、ここがスジとスジのスキマなのか」という発見をさせてもらい、次に活かす、という試行錯誤の連続でした。

2018-06-12 23:58:35