「子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法」のあとがき

なぜ育児本を書こうと思ったのか、その経緯をつづった「あとがき」を公開します。
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shinshinohara @ShinShinohara

拙著「子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法」のあとがきに相当する「おわりに」を公開してよい、という許可を出版社から得ましたので、ツイッターで分解しながらですが、紹介したいと存じます。子育て本をなぜ書いたのか、その思いについて述べています。

2018-06-12 23:31:29
shinshinohara @ShinShinohara

「世界をアップデートする方法 哲学・思想の学び方」x.gd/MWrKc 食糧問題の本x.gd/oV2Ol 思考法の本x.gd/a1X4i イノベーション本x.gd/G6TT0 子育て本x.gd/dN0Ej 部下育成本x.gd/6gSZb

note.com/shinshinohara

shinshinohara @ShinShinohara

本書は前著「自分の頭で考えて動く部下の育て方」のあとがきに「本来私の関心は、子育てにある」と書いたのを目に留めた本書の編集者、森鈴香さんが声をかけてくれたのがきっかけです。

2018-06-12 23:32:20
shinshinohara @ShinShinohara

プロフィールを見てもおわかりのように、教育本を書くにしては私の経歴はかなりユニークです(それは前著についても言えることですが)。

2018-06-12 23:32:44
shinshinohara @ShinShinohara

私は塾で子どもたちを指導した10年間に、たくさんの「奇跡」を目にしました。お読みいただいてお分かりのように、本書はそれをベースにしたものです。しかしたかだか二十代の若者が、情熱だけで子どもたちをなんとかしようと必死だっただけのことで、何が目の前で起きていたのか、→続く

2018-06-12 23:33:47
shinshinohara @ShinShinohara

当時の私に正確に理解できていたとはいえません。塾を畳んで16年間、その後もボランティアで子育ての相談に応じたり、学生の指導をする中で発酵させてきたことを、本書にまとめました。

2018-06-12 23:34:23
shinshinohara @ShinShinohara

塾を始めた頃、教育に関する本を読み漁りました。そのとき愕然とした事実は、「これに従えば大丈夫というマニュアルがない、子どもにどう接すべきかは、目の前の子どもから汲み取るしかない」ということでした。

2018-06-12 23:35:10
shinshinohara @ShinShinohara

私は勘の鈍い人間ですから、子どもが何に苦しみ、何に悩んでいるのか、さっぱり分かりませんでした。そんな私が塾の時間だけとはいえ、その子たちの人生を預かるなんて。プレッシャーに押しつぶされそうな毎日でした。

2018-06-12 23:35:42
shinshinohara @ShinShinohara

そんなとき、子どもとの接し方のヒントになる物語に出会いました。「荘子」という中国古典に掲載されているエピソードです。

2018-06-12 23:36:10
shinshinohara @ShinShinohara

「庖丁(ほうてい)」という、料理の名人がいました。この人が王様の前で牛をさばくと、まるでダンスを踊るかのように見事に解体されていくので、王様は大感激。さぞかしよく切れる牛刀なのだろうと質問すると、庖丁の答えは意外なものでした。

2018-06-12 23:36:49
shinshinohara @ShinShinohara

「普通の料理人は切ろうとするから、スジや骨に当たってすぐ刃こぼれします。私はよく観察して、スジとスジの間に刃を差し入れるだけだから、ハラリと身が離れるのです。切ろうとしないから刃はますます研ぎ澄まされ、もう何年も研いでいません」。

2018-06-12 23:37:19
shinshinohara @ShinShinohara

「マニュアル思考」は、マニュアルどおりにああしたい、こうしたいという思考にとらわれて、目の前の子どもがいまどんな状態なのか、見る余裕を失います。そしてマニュアルどおり、期待通りの結果がでなくて、ガッカリしたり怒ったりします。

2018-06-12 23:37:39
shinshinohara @ShinShinohara

ああしたい、こうなってくれれば、という願望や期待は脇に置いて、子どもをよく観察してください。すると、「あ」と気がつきます。「スジとスジのすきま」です。そこにうまく差し入れる言葉、態度を考えてみて、試してみる。その試行錯誤を繰り返すと、子どもにどう接したらよいのかが見えてきます。

2018-06-12 23:38:23
shinshinohara @ShinShinohara

答えは本の中にあるのではありません。子どもから読み取るものです。

2018-06-12 23:38:42
shinshinohara @ShinShinohara

試行錯誤を繰り返す中で見えてきた答えは、意外にシンプルなものでした。「楽しんじゃえ」です。

2018-06-12 23:39:26
shinshinohara @ShinShinohara

本書で何度も繰り返したように、「できない」を「できる」に変えること、「知らない」を「知る」に変えることは、とてつもなく楽しいことです。これを大人が一緒に楽しんでしまえばよい。それが本書で述べてきたことでもあります。

2018-06-12 23:39:49
shinshinohara @ShinShinohara

「ねばならぬ」思考に囚(とら)われると、親である私たちも楽しくないし、「こうあらねばならぬ」を押し付つけられた子どもも面白くありません。その悪循環が、子ども達の学習意欲を奪います。

2018-06-12 23:40:20
shinshinohara @ShinShinohara

ですから子育ての最大のコツは、「楽しんじゃえ」です。この子はいったい何を見ているんだろう? なんでこんなことに興味を持っているんだろう? この子がいま「あっ!」と声を上げたのはなぜだろう? それを楽しく観察してみてください。

2018-06-12 23:40:49
shinshinohara @ShinShinohara

そうすれば、本書に書いてあることをあれこれなぞろうとしなくても、自然に実践できている自分に気がつくことでしょう。

2018-06-12 23:41:11
shinshinohara @ShinShinohara

そんな親の言葉、姿勢をうけて、子どもは学ぶことを楽しみます。「できない」が「できる」に、「知らない」が「知る」に変わる瞬間を親が一緒になってビックリし、楽しんでいる。それが何より、子どもの学習意欲にアクセルをかけます。

2018-06-12 23:42:05
shinshinohara @ShinShinohara

親の理想形として、私は「赤毛のアン」のマシューを思い出します。マシューは人付き合いが苦手で不器用、無口。けれど、アンが楽しそうだと心から喜び、アンが悲しむとオロオロとうろたえます。孤児だったアンが絶対的な自己肯定感をもてたのは、マシューのおかげなのだと思います。

2018-06-12 23:42:42
shinshinohara @ShinShinohara

もちろんこれは小説でしかなく、現実ではありませんが、たくさんの人たちからこの作品が愛されてきたのには、それなりの真実が含まれていると考えています。

2018-06-12 23:43:04
shinshinohara @ShinShinohara

子どもが楽しんでいる様子を楽しみ、成長に驚き、悲しんでいると共に悲しむ。そんなマシューのような存在があれば、「悲しませるようなことは決してしたくない、もっと喜んでほしい、私の成長にもっと驚いてほしい」と子どもは願うことでしょう。

2018-06-12 23:43:24
shinshinohara @ShinShinohara

親は立派である必要はないのだと私は思います。マシューのように、子どもの楽しむ様子を我が自分のことのように喜び、子どもの成長に驚き、悲しむ様子にオロオロする。そんなとてつもなく不器用なまでに子どもの成長を喜ぶ人がいれば、子どもは人生を肯定し、前に向かって進んでいくでしょう。

2018-06-12 23:43:50
shinshinohara @ShinShinohara

もうひとつ小説の紹介を許していただくなら、「アルプスの少女」に登場するクララのおばあさんは、「他人の大人」の理想形のように思います。

2018-06-12 23:44:13