日向倶楽部世界旅行編第51話「予選一回戦 VSわかば組」

三隈グループ @Mikuma_company

「あたしがついてるぜ」 「負けそうなら、相手を倒してしまえば良い」 「この艦娘、強いよ！」 「私があいつ抑える！」 「あとは耐えるだけよ！」 「気を強く持つ、しっかり持つ」 「レディ…」 「ゴォォォッ！」 日向倶楽部、この後21:00！ pic.twitter.com/dyQzD1yMn1

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【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 様々な出来事がありましたが、遂に大会が始まります。開会式は大盛り上がりで、会場の熱気は凄まじいものでした。日向があの伊勢と組んでいるのが気がかりですが、彼女を信じる最上さんを信じ、見守る事とします。それにしても応援する人が多いですね、初霜さん私達は

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【前回の日向倶楽部その2】 大会を前に、ブルネイ泊地を様々な思惑が交錯する。 日向は何らかの考えのもと、宿敵とも言える強敵、伊勢とタッグを組んだ。それを知った最上は驚いていたが、日向を信じ、詮索はしない。 そういう出来事があったのち、遂に大会が始まる…！

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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第51話「予選一回戦 VSわかば組」

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〜〜 ここは、ブルネイ泊地にあるバー、一人の男がテレビを見ている。 「俺は独り言の多い男…今はテレビを見ながら、今日の事を思い出している。」 男はテレビを見ながら、ブツブツと呟き始めた 「ブルネイ泊地水上闘技大会が今日から始まるんだ、昨日の開会式はとても盛り上がっていたぜ。」

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彼の見ているテレビでは、ニュースで大会の話がされている。 「大会はまず、リーグ制の予選から始まるんだ。AリーグからHリーグまでの8リーグに、それぞれ8つのチームがいる…掛け算すれば分かるが、この大会は64チームが出場しているようだな。」 男はそこまで言うとレモンサワーを飲み、一息つく。

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「予選は8チームでリーグ戦を争い、上位2チームが決勝トーナメントに進む事が出来るんだ。予選から艤装等が激しく損傷すると大会が長引くから、予選リーグは特殊なルールで競うそうだ。」 男は空になったグラスを置き、頬杖をつく。 「俺の独り言は以上だ…大会、楽しみだぜ。」 〜〜

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〜〜 ここは、ブルネイ泊地水上スタジアム控え室。参加選手達は、ここから舞台となる海上へ降り立つのだ。 「…気を強く持つ、しっかり持つ…」 あきつ丸は鈴谷のノートを開きながら、最後の最後まで心を備える。彼女は高校の試験前も、こういうことをしていた覚えがあった。

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そこへ、鈴谷がえっちらおっちらとやって来る 「あきつ丸ちゃ〜ん…って、まだ読んでたのか」 「ええ…まだ時間があったので」 あきつ丸は時計を確認する。時刻は朝の11時過ぎ、試合開始が30分なので、準備時間込みでもまだ時間はあった。

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そんな彼女を見て、鈴谷はへらへらと笑いながらコーラを飲み干す。 「フゥーッ、ま、確認するのは大事だからね。でもそろそろ、艤装に身体、慣らした方が良いんじゃない？」 鈴谷は自身の艤装とも言える義手を、準備運動とばかりにガチャガチャ動かす。相変わらず複雑で、強そうな腕だ。

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あきつ丸はそれを見ると、ノートをしまって立ち上がる。 「…よし、分かりました。」 「気合入ってんね、その調子でテンション、上げて行こうじゃん？」 鈴谷がニッと笑い、彼女の肩をトントンと叩くと、あきつ丸もグッと拳を握り、気合を見せるように頷く。だがその拳は、わずかに震えていた。

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すると鈴谷は、その拳を鋼の義手で包んで言った。 「心配すんなって、あたしがついてるぜ」 緊張を看破されたあきつ丸は、瞬きを多くしながら黙って頷く。未だ緊張はしていたが、鋼の中で震えは止まった。 やがて鈴谷が拳から手を離すと、二人は控え室の外へと向かった。

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「一回戦の相手はわかば組って所だ、両方知らない顔だから手の内は分からない。セオリー通り行こう。」 「セオリー通り…ええ」 「大丈夫だ、勝てるよ」 二人は最後の打ち合わせを行いながら、試合の準備へと向かった… 〜〜

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〜〜 所変わって、ここはブルネイ泊地水上スタジアム、第一スタジアムの放送席。 「さあこちら第一スタジアム、現在Eリーグ第一試合が終了しました。試合は、ノックアウト勝ちにより横須賀利根姉妹の勝利となっています。」 実況のケン・ホリウチが、試合結果を読み上げる。

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「良い試合だったな、初日から熱い戦いだ」 その隣で、解説の武蔵が顎をさすりながら頷く。彼女は試合見物なども兼ね、この解説席に座っていた。 「そうですね武蔵さん、このルールならではの駆け引きと、それを突破する力のぶつけ合いは見応えがありました。」

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満足げな武蔵にケンはそう言うと、今から放送を見始めた視聴者に解説を始めた。 「では改めて、予選リーグのルールを確認していきましょう。予選リーグは総当たり式で、第一、第二スタジアムを使用し、一週間かけて行われます。」 スタジアムは二つある、覚えておこう。

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「一週間で消化される為、艤装の損傷などが激しくなり過ぎてはいけません。そこでこの予選では、カウント戦と呼ばれる特殊ルールが適用されます。」 ケンがそこまで言うと、引き継いで武蔵が語り始めた。 「カウント戦…それは今回のために考案された、今大会オリジナルのルールだ。」

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では、カウント戦とは何なのだろう？ 「まず、このスタジアムの中央には、一つのオブジェクトが浮かんでいる。」 武蔵の言うように、スタジアム中央には球体のような得体の知れない物体が浮かんでいた。 「あれは護衛ボール、あのボールには両チーム共に、100のカウントが用意されている。」

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武蔵は続ける 「あのボールの半径20メートルに一人が侵入すると、そのチームのカウントがスタートする。カウントはボールの半径100メートルに、一人がいる限り減り続ける。このカウントを0にする事が勝利条件の一つだ。」 解説はまだまだ続く。

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「もしカウントがスタートしたら、相手チームは当然止めなくてはならない。止める方法は簡単だ、護衛ボールの半径30メートルに侵入すれば良い。逆にカウントを進める方は、護衛ボールに相手を近付けない事が肝要になる。」 他にもルールがあるので、もう少しだけ聞いてほしい

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「また、ボールの半径100メートル以内に、同じチームが二人いてもカウントは止まってしまう。どちらかはカウント外に居て、カウント内にいる味方を支援するのだ。」 カウントが0になるまでの時間は？ 「カウントは3秒に1減る、それ以上早くも遅くもならず、5分でカウントアウトだ。」

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勝利条件は他にもある。 「また、カウントが0にならず制限時間が過ぎた場合は、カウントの少ない方の勝ちだ。つまり、時間によっては制限時間終了前にカウント勝ちが決まる場合もあるのだが…」 武蔵はそこまで言うと、ニヤリと笑ってカメラの方を見る。

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「…勝利条件はカウントだけではない。もしカウントで負けそうなら、相手を倒してしまえば良い。対戦相手二人を倒せば、カウントに関わらずノックアウト勝ちとなる。」 つまり、チームによってはカウントなぞ気にせずさっさと相手二人を倒して終了、なんて事もある。

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それを踏まえて武蔵は言う 「機動力に優れた者はカウントアウト、戦闘力に優れた者はノックアウト、二つの勝利条件を上手く使ったものが勝てるだろうよ。ちなみに、同率順位周りをスムーズにする為、ノックアウトカウントアウトは2点、その他は1点とまあ色々だ。そろそろ試合が始まるぞ。」

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武蔵が面倒になって説明を終えると、二隻の艦娘母艦がその口を開き、両チームの出撃用意を整えた。 「ただいまより、Gリーグ第一試合…鈴谷、あきつ丸のチームアイアンクロス対、パジェロ、リリアンのわかば組の試合を始めます。」 アナウンスが鳴ると、スタジアムは声援に包まれる。