大気大循環とモンスーンとケッペンの気候区分など

議論のおかげで理解が深まった(一部は疑問が深まった)ので備忘録として残しておきます。私自身は大学で気候学・気象学を(も)教えていますが,大気科学研究者ではなく,地学教育者でも地理教育者でもありません。
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Takayuki Ogata @s15taka

亜熱帯高圧帯に位置するのに熱帯雨林が形成されてることは重要。"An Oasis in the Dessert Belt"はまさにその通り。せっかくだからその「神奇」をモンスーンと地形の分布から気候学的に解き明かしちゃえばいいのに。 pic.twitter.com/ob99wkTL3i

2018-03-23 17:03:14
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MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

ブログ記事(2018-05-31) d.hatena.ne.jp/masudako/20180… 世界の気候分布として何を教えるか? ケッペンの大分類まで?

2018-05-31 19:26:01
Takayuki Ogata @s15taka

日本は「モンスーン気候」でよいと思いますよ twitter.com/anyuni/status/…

2018-06-19 15:50:19
Yuni Ando@ゆに鍼灸院 @anyuni

なんかもうモンスーン気候!!みたいな、暑いし蒸すしでこんな日はタイとかベトナムとかエスニック気分になりますが、ジャパニーズエスニックといえばシソ!(独断) 調理もだるい…というときのためにシソとかネギとかみょうがとかを刻んだ「薬味ミックス」を作っておくとこの時期何かと重宝。

2018-06-19 15:31:16
Takayuki Ogata @s15taka

日本の気候はモンスーンの影響を強く受けていますからね(少々省略しすぎたかもしれません・・・) twitter.com/tokunet1/statu…

2018-06-19 19:45:14
yoshinobu tokunaga @tokunet1

@s15taka 先生 なにかすごい会話(日本語)ですね。私も最近ツイートするようになって少しは慣れてきましたが。

2018-06-19 17:59:11
Takayuki Ogata @s15taka

高校地理を勉強したけど気候学を学んでないという人には私の言ってる意味がわからないかもしれない twitter.com/s15taka/status…

2018-06-19 19:48:32
Takayuki Ogata @s15taka

@anyuni せっかくだから少し書いておくと、高校地理にはケッペンの気候区分というのがあって、そこに「熱帯モンスーン気候」というのがあります。ただモンスーンの影響があるのはケッペンの言う「熱帯モンスーン気候」のエリアだけじゃなく、例えば日本もモンスーンの影響を強く受けています。

2018-06-19 21:29:15
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka 冬の北西季節風をモンスーンと言うとすれば、日本はあきらかにその影響を強く受けているので、それでかまいません。しかし、夏については、南東の季節風が持続してふいているとはいいがたいし(平均風速は弱い)、梅雨がモンスーンに含まれるかどうかはモンスーンの定義しだいでどちらともいえます。

2018-06-19 22:26:46
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 BAIUとして位置づけたものでした。季節によって風向が変わる意味でモンスーンの影響は確実にあるわけですが「強く影響」するとまで言えるかは確かに解釈の余地があるかもしれないとは思います。

2018-06-19 22:33:51
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka 風ではなく雨のほうでは、中国の梅雨は、まず陸面の昇温があってそれから雨季がくるのでモンスーン的なのですが、陸面昇温の中心は華北で雨季に降水帯が停滞する中心は華中と場所がずれます。日本の梅雨はそれと一連とみることはできますが、日本ローカルで考えるとこの意味でのモンスーン的ではない。

2018-06-19 22:47:17
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 海陸風循環の切り替わりに不完全な要素があるということですね。「日本ローカルで」というのは、アジアの中での日本というスケールでしょうか、それともドメスティックな地域性のスケールでしょうか?

2018-06-19 23:09:18
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka モンスーンが海陸コントラストをきっかけとして雨をもたらすような大気現象をさすとすると、梅雨を中国大陸上を中心とする現象とみるならばその意味でのモンスーンに含めることができるけれども、日本とその付近の海上の梅雨前線にかぎるとその意味でのモンスーンの特徴をもたないだろうと思うのです。

2018-06-19 23:45:06
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka 大陸をはずれた梅雨前線はむしろ、南太平洋収束帯(SPCZ)や南大西洋収束帯(SACZ)と同類の亜熱帯降水帯とみられます。それを論じた児玉安正さん(弘前大学)のページ st.hirosaki-u.ac.jp/~kodama/ ではモンスーンとの関連を「熱帯モンスーンの降雨域に隣接してその東方に存在」するという形で指摘しています。

2018-06-20 00:02:28
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 そこが「定義次第」と理解しています。モンスーンを、風で定義するか、雨で定義するか。季節風ととらえたとき、気圧配置の逆転でみるか、偏西風帯の移動でみるか。グローバルスケールでみれば日本付近では卓越風の頻度が高くなることは確かで、それをもとに「モンスーンの影響を受けた気候」とみます。

2018-06-20 00:18:45
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 BAIUについては(少し古いですが)こちらの文献もありますね:Murakami and Matsumoto (1994) jstage.jst.go.jp/article/jmsj19…

2018-06-20 00:20:45
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 BAIUをどう位置づけるかに難しさはあるとしても、季節によって風向が大きく変わることは間違いありませんから(強弱はともかく)、元ツイートに話を戻すと「日本の気候はモンスーンの影響を受けていない」とは言えないはずです。

2018-06-20 00:23:11
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka 風向の逆転という観点でみた世界の季節風(モンスーン)について、自分の解析結果(学会発表はしたが論文にしそこなっている)をみなおしたところ、沖縄あたりならば風向が夏と冬でほぼ逆になるという意味で季節風的です。本州は夏の風が弱すぎて風向がさだまらないのです。macroscope.world.coocan.jp/ja/text/geosci…

2018-06-20 08:45:28
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

増田 耕一 (学会発表 2002): 風向からみた季節風の全球分布。日本地理学会2002年秋季大会発表要旨。macroscope.world.coocan.jp/ja/text/geosci…

2018-06-20 08:51:37
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 本来の意味でのモンスーン(アラビア語のmausim)で考えると逆転が必要なのかもしれませんが、ある季節のみに特徴的かつ強力に現れる卓越風があり、それが降水システムにも影響しているとすれば、それはモンスーンで、その地域は「モンスーンの影響がある」だろうと。

2018-06-20 09:01:15
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

「モンスーン」を「季節風」の同意語とみる人と、熱帯のものごとだとみる人がいる。また、ある土地の気候をモンスーンで特徴づけるためには明確な乾季があることが必要だとみる人と、温暖湿潤であればよいとみる人がいる。「モンスーン」の意味の継続的統一は不可能で、その場ごとの了解が必要だ。

2018-06-20 09:16:00
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

「了解」のうちには、くわしく決めないという了解もある。シベリアにかかわっている人が、シベリアもモンスーン地域に含めてほしいと言えば入れるし、含めてほしくないと言えば入れない。

2018-06-20 09:53:51
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

冗談ではなく、おおぜいの気候・水文研究者が「アジアモンスーン」または「モンスーンアジア」の旗印でまとまって活動できたのは、その意味をくわしく決めなかったからなのだ。

2018-06-20 09:55:34
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

MAHASRI (Monsoon Asia Hydro-Atmosphere Scientific Research and Prediction Initiative, モンスーンアジア水文気候研究計画 2006-2016年)の千葉大学にあったサイトのアーカイブも、東大生産研のサーバーに移されている。hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/mahasriwiki/

2018-06-20 10:06:06
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

GAME (GEWEX Asian Monsoon Experiment、「アジアモンス-ン地域におけるエネルギ-・水循環」-2006年) 名古屋大学のウェブサイトはアーカイブとして残っている。 hyarc.nagoya-u.ac.jp/game/ 筑波大学にあったサイトのアーカイブは、東大生産研のサーバーに移された。hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/game_tsukuba/

2018-06-20 10:17:34
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 学校教育に話を転じた場合、その曖昧さがブレになるので、どう扱うか問題になってくると思います。現状では(その曖昧さを踏まえ)広く捉えてるようにみえます。一方で「熱帯モンスーン気候」という固有名詞的な使い方もされ、一種のダブルスタンダードが生じてるようにも。

2018-06-20 10:19:46
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka 表記の統一の指針案としては、日本については「季節風」、熱帯については「モンスーン」と書くことにし、他方を使うのはまちがいではないが勧めない、というところかと思います。「熱帯モンスーン気候」をケッペンの意味で使うならば「ケッペンの」とことわる。その他の意味で使うならば説明が必要。

2018-06-20 11:09:11
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