なにが言いたいかというと見かけによらず超アツいイベントであるということだ。

↑タイトルまんまですな。というか、自分でつけといてなんだけどアレすぎてちょっと笑っちゃうね。
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荒木優太 @arishima_takeo

偶然文学論イベントのゲストに吉川浩満さんをお呼びするのは、やや不思議な感じもするかもしれませんが、私のなかではジャストミートだと思っていて、というのも、『理不尽な進化』によると強力な適応主義進化説を反駁するためにグールドが摂ったのは歴史の偶然を守る半「文系」的立場だったから。

2018-07-06 19:50:53
荒木優太 @arishima_takeo

適応主義は生命の歴史を有用性の説明に還元してしまう。でも、そこからこぼれ落ちる偶然の痕跡があるじゃん? グールドは優勝劣敗の誤解を招きつづける定番進化論に偶然のリアリズムで挑戦する…が、そのとき偶然は世界原理を司るほどの過大な使命を負ったロマンティックなものに転化してるのでは?

2018-07-06 19:52:40
荒木優太 @arishima_takeo

ここにグールドのウルトラ文学主義、「偽りの詩」(byドーキンス)があるが、私には、彼の姿が、ハイゼンベルクの不確定性原理という最新科学の意匠のなかに最終的には運命や日本的伝統(ナショナリズム)さえつめこんだ中河与一にダブってみえるのだが…どうだろうか?

2018-07-06 19:54:50
荒木優太 @arishima_takeo

科学のなかに文学を入れて自滅したグールドと文学に科学のコスプレをさせて右傾化した中河与一。かなり重要なことが示唆されていると思うのだが。

2018-07-06 19:56:02
荒木優太 @arishima_takeo

中河は、偶然の真実を強調すればリアリズムになって、偶然の不思議を強調すればロマンティズムになる(だから両刀使いになれる俺スゴイ)、と書く。吉川本でいえば、これは「なんでこうなった=リアリズム/他のようでもありえた=ロマティシズム」で、大雑把にいえば理系/文系に対応している。

2018-07-06 19:57:25
荒木優太 @arishima_takeo

理系的に処理すれば、偶然性とは、おそらく統計や確率の問題に終始する。が、偶然の問題圏にはそれ以上の(文系的=人間的)なにかを呼び寄せてしまうヤバイ雰囲気がある。比喩的にいうと、HINOMARU的なヤバさ。

2018-07-06 19:59:40
荒木優太 @arishima_takeo

吉川さんはおそらく、文系と理系はそれぞれ役割が違うけれども(カテゴリーミステイクだめー)どっちも大切だからそれぞれ得意な場所を守り越権に気を付けながら行き来してバランスとりましょう、というような論者なんじゃないかしら。

2018-07-06 20:01:14
荒木優太 @arishima_takeo

私も完全同意なんだけど、他方で、人間ってラベルに「混ぜるな危険」って書いてあっても果敢にガシガシ混ぜて異臭を放っていくアチャー感のある連中だったのではないか。そんなことも考えたい。

2018-07-06 20:02:25
荒木優太 @arishima_takeo

なにが言いたいかというと「クリナメンズ」は見かけによらず超アツいイベントであるということだ。…雨に負けてる場合じゃないぞ?bookandbeer.com/event/20180707…

2018-07-06 20:03:52
批評web『Cubit』 @cubit_c

きょうは荒木優太×吉川浩満「クリナメンズ作戦会議」本屋B&Bに行きました! 人の死など、偶然の出来事を運命化する装置。中世では宗教、近代ではナショナリズムだった。ではその次は? 偶然が運命になる一歩手前、そのグラデーションを凝視すること。「偶然」論議の奥深さ半端ない。(信濃) pic.twitter.com/gr1RSC9gSE

2018-07-07 21:16:50
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荒木優太 @arishima_takeo

本日B &B開催の「クリナメンズ作戦会議」無事終了しました。お越しいただいたみなさまありがとうございます。予想を超える数の方々がいらっしゃっていただき嬉しい驚きでした。今後とも精進します!

2018-07-07 23:49:16
荒木優太 @arishima_takeo

そして、次のイベントは、20日、偶然文学論イベントの千秋楽となる(?)、蔦屋書店での「人生を左右しない偶然を考える」になります。今日来れなかった方、もっと質問したかった方など、ぜひお越しください!real.tsite.jp/daikanyama/eve…

2018-07-07 23:52:45
荒木優太 @arishima_takeo

昨日のB&Bイベントの質問で、「可能世界論に基づいたSF的想像力、具体的にはパラレルワールドものやループものと偶然文学論との関係は?」とあって、微妙に上手く答えられなかった気がするが、いまならちょっと整理できる気がする。

2018-07-08 18:11:13
荒木優太 @arishima_takeo

偶然は「どうしてこうなった/他のようでもありえた」の二重体。前者を強調するとリアリズムになって(雑に翻訳すると理系)、後者を強調するとロマンティズムになる(こっちは文系)。可能世界系フィクションは、この分類だと後者に属する表現になると思う。

2018-07-08 18:12:11
荒木優太 @arishima_takeo

が、注意したいのは、「他のようにもありえた」の可能的複数性がどのような機能を託されているか、という点。しばしば私が違和を感じるのは、可能的複数性が「この私」や「この世界」といった単一の現実性強調の仕掛けに堕しているのではないか、ということ。リアルを強化する機構としてのロマン。

2018-07-08 18:15:08
荒木優太 @arishima_takeo

これが問題なのは、複数性のお株を可能世界に収奪され、現実が単一的=統一的にしか確立されないという視野狭窄にある。この視角からは複数の(幅のある)現実という発想が育たない。簒奪されている。

2018-07-08 18:16:12
荒木優太 @arishima_takeo

比喩的に。「ブラック企業に勤めてボロボロ状態だけど、自分で選んだことだし、ああなったり、こうなったり、できたかもしれないけど、でもいまあるのが自分の人生だし、運命だし」という心情において、可能世界(ああなったり)は単一の現実(運命)をシリアスな仕方で重みづける重石でしかない。

2018-07-08 18:18:00
荒木優太 @arishima_takeo

私はこういう運命論はかなりヤバイと思っていて、油断すると可能世界系フィクションもこの機構に加担する危険性がある。これを防ぐには、往々にしてして運命化しやすい偶然の概念をかなり警戒心をもって分析せねばならなない。これが『仮説的偶然文学論』のミッション。

2018-07-08 18:19:27
荒木優太 @arishima_takeo

ちなみに、物語内容として可能世界的なものを導入するのとは別に、メディアの形式性で似たようなことができると思っていて、要するに二次創作(異本)って聖典の可能世界なんですよね。同人誌版ドラえもん最終回とかね。私はこっちの方を好意的にみている。

2018-07-08 18:20:38
荒木優太 @arishima_takeo

というのも、二次創作ならば、ときに聖典のエンディングや典型カップリングに異議を唱えて、聖典(前ツイでいう単一の現実)礼賛に回収されない(ときに聖典の参照も不要な?)別の諸世界への発散がある。このモデルには可能世界をリアルの重石化させずに、リアルを複数化させる道筋がある気がする。

2018-07-08 18:23:56