2018-07-06のまとめ
基礎研レター 米国大統領の仕掛けた貿易戦争~争いの構造を理解する / nli-research.co.jp/report/detail/…
2018-07-06 22:54:00米国はこれまで唯一の基軸通貨国として大量にものを消費し、他国はその力を貿易取引によって吸収することで成長してきた。技術が進歩してグローバル化が進むと、企業は生産コストの低い国へ生産拠点を移管した。移管された国では所得が増加して中間層が生まれ、新たな市場が形成された。
2018-07-06 22:54:01新興国は市場に集まる企業から技術を獲得することで発展を加速した。今日の経済体制は各経済主体が利益最大化を追求した結果であるが、米国内の雇用流出や米国の覇権を脅かす存在の台頭など新たな歪も同時に生んだ。貿易戦争の火種は長い時間をかけて構築された既存の経済体制の中で生まれた
2018-07-06 22:54:016月に最終発表された500億ドル相当の対中制裁課税リストには、中国の長期戦略である「中国製造2025」を狙い撃ちした産業用ロボット・航空機・船舶・自動車・半導体装置などの品目が並んでいる(図表2)。このような米国の強硬な対中政策は。今後も続くものと予想される。
2018-07-06 22:54:02通商政策の策定では、ライトハイザー通商代表やロス商務長官、ナバロ通商製造政策局長など保護貿易を推進する人物が多く関わる(図表3)。そのうえ経済面の安全保障を話し合う国家経済会議には、ポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官など対外強硬派が揃う。
2018-07-06 22:54:032017年度の米国の貿易赤字は、前年比+9.0%となる▲8,075億ドルとトランプ大統領の就任後も拡大してきた
2018-07-06 22:54:04貿易赤字の計上先は上位5ヵ国で全体の約8割を占める(中国46.6%、メキシコ9.4%、日本8.7%、ドイツ7.9%、イタリア3.9%、合計76.5%)。貿易赤字全体の約半分は中国が占めて最大となっているが、日本や欧州などの同盟国も大きな比重を占めている
2018-07-06 22:54:05日本の貿易相手国は上位2カ国が米国と中国で、取引額は貿易額全体の4割近くを占めている。米国の輸入制限による直接的な影響は今のところ図表6に示される領域だけであり、対米輸出総額1,383億ドル(2017年度)から見れば経済に与える影響は限られている。
2018-07-06 22:54:06しかし、貿易制限の影響を考えるには、対米貿易の名目収支を見るだけでなく第3国を迂回した取引の影響も加味して考える必要がある。
2018-07-06 22:54:06日米の名目とTiVAで見た貿易収支 《2011年》 pic.twitter.com/7IgMvz9Rmr
2018-07-06 22:54:07日本のアジアにおける貿易取引上位国についてTiVAと名目の貿易収支を比較すると、貿易収支黒字は名目の方が大きくなっている(図表7右)。これは、日本の輸出品の多くがアジアを最終目的地としておらず、日本アジア間の貿易取引が中間財を中心としていることを示唆している。
2018-07-06 22:54:07この事実は、貿易戦争がさらに激化して中国から米国へのモノの流れが滞った場合、日本国内の産業にマイナスのフィードバックが生じることを意味する。
2018-07-06 22:54:07日本の対米貿易収支の業種別内訳《2011年》 pic.twitter.com/sNkrZAHgjV
2018-07-06 22:54:08輸送機器については、貿易収支黒字が大きく、国内付加価値が実現する1つの柱となっている。米国で検討中とされる自動車への新たな輸入関税が発動されれば、日本は大きな影響を受ける可能性が高い。そして、その影響はアジア諸国にも広く及ぶと予想される。
2018-07-06 22:54:085月31日に米国が鉄鋼・アルミ製品の関税猶予の打ち切りを発表すると、メキシコ・欧州・カナダはすぐに報復措置を発表した(図表9)。
2018-07-06 22:54:093ヵ国地域の報復対象品目を見ると、鉄鋼・アルミ製品に加えてウィスキーやモーターボート、農産品などが対象となっている。これらの生産者や関連業種の雇用者には打撃となるだろう。
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