妖怪古生物学者・荻野慎諧氏の新刊『古生物学者、妖怪を掘る』(NHK新書)について

やや批判的な。
妖怪 人文
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ῥ(rh) @ryhrt
『古生物学者、妖怪を掘る』の感想、僕以外の妖怪関係者からはおおむね好評といった感じですねぇ とはいえ著者自身、賛否両論あって然るべきと書いているので、僕のような強烈に否定的な意見があるのは、全面的な「賛」しかない状況よりはずっとマトモであろうと思います

たとえば……

峰守ひろかず @Minemori_H
荻野慎諧さんの「古生物学者、妖怪を掘る」を読みました。怪しいモノゴトの記録を古生物研究者の視点から読み解き、その正体を探る……というか、やり方と考え方を例示する一冊。チョー楽しかったです>古生物学者、妖怪を掘る―鵺の正体、鬼の真実 amazon.co.jp/dp/4140885564/… @amazonJPさんから
峰守ひろかず @Minemori_H
あの妖怪はあれなんじゃないかという仮説ももちろん面白いし、一本ダタラの正体については正直これを思いつけなかったの悔しいレベルなんですが(ちょっと前に小説に書いたんですよ)(まだ出てませんが)
峰守ひろかず @Minemori_H
視点や知識が違うと常識や見方も違うわけで、出てくる例示や知識がそれぞれ新鮮なんですよね。キリンを口述で紹介すると相当奇妙になるという話に納得したり、蛇の頭骨は繊細なので残りにくいって話に驚いたり。
峰守ひろかず @Minemori_H
本文中で紹介されてる「ワニと龍」(これも名著でした)みたいな、「結局この妖怪って何? なぜこんな記述が残ってるの?」というところを答えてくれる本って結構少ないのでありがたかったです。

ここから批判的な。

ῥ(rh) @ryhrt
荻野慎諧『古生物学者、妖怪を掘る』 西洋の悪魔に角があることについて、現実の肉食動物に角がないことから「人類に刷りいまれた先入観の中でも特に重大な誤解である気がする」と書いているが(p.22ff)、肉食でも植物食でもない悪魔をそういった分類に当てはめることの妥当性がわからない
ῥ(rh) @ryhrt
「肉食」を「獲物を襲う」→「人間を襲う」に拡大解釈しているけど西洋の悪魔のいう「襲う」って精神的なものが大半でしょう
ῥ(rh) @ryhrt
pp.27-28あたりの出典のない飛躍の多い西洋の角についての解釈は入れる必要があったのだろうか なお悪魔の角の起源についてはちゃんと論文があります→booksandjournals.brillonline.com/content/journa…
ῥ(rh) @ryhrt
『今昔物語』よくあることだが「集」が抜けているp. 35
ῥ(rh) @ryhrt
鬼や悪魔に角がついていることについて「たかだか千数百年のいっときの流行であろう。地質学的数字では誤差範囲と切り捨てられる程度の時間にすぎない」p.37 自然科学棒で文化を滅多打ち、である(冗談の文脈だということは分かる)
ῥ(rh) @ryhrt
そもそも神様であるアンモーンに角がついていることを紹介しておきながら「角がある架空生物は洋の東西で悪い奴だというイメージがあった」とするのは自分で矛盾していると考えなかったのだろうか‥‥(日本でのイメージに限定してたら、ここまで拙い議論にはならなかったろうに)
ῥ(rh) @ryhrt
「アンモーン」「ホメロス」「オデュッセイア」という、ギリシア語長母音に関する表記の不統一も、背景知識のなさを物語っている
ῥ(rh) @ryhrt
妖怪古生物学者・荻野さんの「なぜ鬼に角?」は『荒俣宏妖怪探偵団』でも言われてて、それについて対談で荒俣さんが「象徴的な意味」と説明してくれているのに、1ページ後でやはり荻野さん「どうして鬼に角をつけたのかが分からない」と言っているのだが、どうして分からないかが僕には分からない‥‥
ῥ(rh) @ryhrt
つまり、悪い空想上の存在に角をつけるのは、動物学的には誤解であるが(なぜなら肉食獣に角はないから)、なぜそのような誤解をしたのかが分からない、ということなのだが、角があるのは「悪いから(なぜか肉食であることと同一視されてるのだが)」ではない、ということが受け入れられていないのかも
ῥ(rh) @ryhrt
もちろん、西洋のバフォメットと違い、日本の鬼は肉を食べることも結構あるので、肉食なのに角?という疑問は分からないでもないのだが、それは動物学とは別の論理で説明できるということを荒俣さんは語っているんだけどな
ῥ(rh) @ryhrt
通俗的「妖怪」、円了妖怪学の「妖怪」、百鬼夜行、あやかし、もののけなどの概念が自由に互換性をもって入り乱れる
ῥ(rh) @ryhrt
自然科学者が妖怪や怪異、宗教現象について「荒唐無稽」という言葉を用いる確率はかなり高い気がする
ῥ(rh) @ryhrt
「欧米では、日本におけるフィクション[著者によると偽怪、キン肉マン、民明書房シリーズなど]の役割を、長らく宗教が担っていた。この解釈は神学者らから見るとひどく乱暴に映るだろうが、ご容赦いただきたい」他の研究者から見ても、よくて乱暴わるくて間違いであろう
ῥ(rh) @ryhrt
「宗教の万能性との対峙があったことが、科学の進展に大きな影響をもたらしたことは事実である」p.42 科学革命の本を読んだばかりなので、相当な違和感(19世紀後半以降、という限定付きなら了解できる)
ῥ(rh) @ryhrt
「万能の創造科学[神が定めたからだ、ですべてを済ませる]に対して科学が説明責任を負う立場にあったことが、結果的に科学の発展を促していった」p.43 この創造科学というのは主意主義神学のことだろうか?少なくとも発展と結び付けるとしたら創造科学はアナクロ概念だろうしホイッグ史観
ῥ(rh) @ryhrt
この点については、著者と同じ古生物学出身のマーティン・ラドウィック『化石の意味』を熟読してもらいたいところ
ῥ(rh) @ryhrt
ヤマタノオロチは火山活動という説を主張するにあたり、対案として洪水説しか出さないところがミスリーディングではないか?pp.43ff.そもそも他の妖怪に関しては直接関連する動物種が論じられているのになぜヤマタノオロチだけメタファーとして、まったく異なる自然現象を当てはめようとするのか
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コメント

三角頭 @JHBrennan 2018年7月11日
このように気になった本の問題点を指摘してくださる方には感謝しかない。 誠にありがたい。 合わせて怪しい信用できない著者だとわかる事も参考になります。
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