【英霊剣豪201x番勝負】 第五節『反抗の城塞』

別に一方通行なわけではなく、カジュアルに現代と戦国時代を行き来できる信長の野望201x世界 4:https://togetter.com/li/1245898 6:https://togetter.com/li/1246827
1
劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると助かります。忙しい方は後ほど投稿されるtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2018-07-13 20:31:01
劉度 @arther456

鷹が鳴いている。見上げれば、ビルに挟まれた空を、一羽の鳥が飛んでいった。旅を始めてから何年が経っただろうか。私の旅はいつしか妙な所に迷い込んでしまった。怒号、銃声。周りの壁が砕け散る。後ろに男が3人。まだ追ってくるとは、しつこい連中だ。1

2018-07-13 20:33:01
劉度 @arther456

振り返り、駆ける。ゴミ箱を踏み台に跳躍、銃の狙いをずらす。着地すればそこは既に間合いだ。刀を振り、2人の手を斬り落とす。残りの1人が私に銃を向けた。銃口は偶然にも私の眉間を向いていた。これは当たる。避けるには少し遅い。握った刀を、斜線に滑り込ませた。2

2018-07-13 20:36:01
劉度 @arther456

銃声。両手に衝撃。真っ二つにされた銃弾がアスファルトを抉る。私には当たらない。驚愕している男を、そのまま袈裟懸けに斬り捨てた。銃弾を斬る時は、刀を振り下ろすのではなく、刀を斜線に置けばよい。ようやく、感覚を掴んだ。しかし、ああ、『次』が思い浮かんでしまう。3

2018-07-13 20:39:00
劉度 @arther456

修行を重ね、斬れる物が増えるほど、斬れる『かもしれない』ものが増えていく。勝利の後には、未知なる次の相手を思い浮かべてしまう。旅の果ては未だ見えない。だが、考えても仕方がない。ここまで来た以上、先へ進まなければ。呻き声を背にして、私は路地の奥へと歩を進めた。4

2018-07-13 20:42:01
劉度 @arther456

【英霊剣豪201x番勝負】 第五節『反抗の城塞』

2018-07-13 20:43:01
劉度 @arther456

小田原城から退却した北条軍は、レジスタンスの本拠地である要塞村に集まっていた。「こんな近くに拠点があったのか。灯台下暗し、とはこのことだな」森の中から村の様子を伺うのは、頭に角を生やした黒い着物の女だ。更にその後ろには、精鋭の化け物たちが並ぶ。5

2018-07-13 20:45:00
劉度 @arther456

先の戦いで、彼女は城門を守っていたが、北条軍はそこまで来ずに退却した。退屈に思った彼女は、手勢を率いて追撃した。すると、この要塞村を見つけたのだ。「どれ、少しからかってやろうか」攻め込もうと歩き始めた彼女は、不意に足を止め、突然、虚空に向かって居合を放った。6

2018-07-13 20:48:00
劉度 @arther456

両断されたクナイが、彼女の足元に転がる。続いて、部下の化け物が5体、その場に崩れ落ちた。いずれもこめかみに深々と手裏剣が突き刺さっていた。「流石に、無防備ではないか」木の上から彼女を狙ったのは、サーヴァントの風魔小太郎だった。「化け物の将とお見受けします。お覚悟を」7

2018-07-13 20:51:00
劉度 @arther456

周囲の木々の影から、風魔忍者が次々と姿を現し、化け物に斬りかかった。化け物たちは、態勢を整える前に音も無く屠られていく。そんな中、着物の女だけは両手に刀を握り、応戦している。小太郎も含めた数人がかりで襲いかかられているのに、平然として、笑みすら浮かべている。8

2018-07-13 20:54:00
劉度 @arther456

「どうした、準備運動にもならんぞ?」女の殺気が濃くなった。とっさに飛び退いた小太郎を除いた、数人の忍者の首が斬り飛ばされた。「貴様ッ!」「下がれ!」小太郎は挑もうとした忍者を制した。サーヴァントに匹敵する強敵だ。ただの人間では相手にならない。9

2018-07-13 20:57:00
劉度 @arther456

「一対一では私に勝てん。あと3人はサーヴァントを……」甲高い音が響いた。女がよろめく。続いて、小太郎の隣にスーツ姿の侍が出現した。「硬いな」現れたのは、大越武蔵。要塞村に逗留している旅の武芸者だ。「並の化け物なら、今ので倒れていたのだが」10

2018-07-13 21:00:06
劉度 @arther456

「……なんだ、それは」女は武蔵の武器を見て、不快そうに顔を歪めた。「これか?」武蔵が持つのは、半ばから砕けた竹の束。「竹刀だが」「そんな棒を武器にしているのか?」「武器というか、稽古用だ」「稽古?」「うむ。木刀では、打ち所が悪いと死ぬ。これなら、怪我をする程度で済むだろう」11

2018-07-13 21:03:01
劉度 @arther456

「そんなもの……」女の表情に侮蔑が混じる。「剣は斬り、殺すものだ。そんなオモチャで練習したところで、何にもならん」切っ先を男に向ける。「剣士を育てるのは、死線を潜り抜けた経験だけだ」「拙者はそうは思わんよ」武蔵が、腰の刃に手をかけた。「剣術には、死線も、平穏も、等しく必要だ」12

2018-07-13 21:06:00
劉度 @arther456

女が、じり、と一歩踏み出す。そこに、声が割って入った。「待った!その勝負、お待ちください!」どこからともなく現れたのは、緑色の奇妙な装束に身を包んだ男。「キャスター・リンボ!?」小太郎が驚きに目を見開く。かつて、自らの手で屠ったはずの相手が、目の前に立っている。13

2018-07-13 21:09:00
劉度 @arther456

「下がっていろ、リンボ。こいつは斬らねば気が済まん」「ンン、それはごもっともなのですが、場所が悪い、日取りも悪い!ここで討っては、せっかくの強き魂が霧散してしまいます!」「こいつはサーヴァントではないだろう」「そうですが、サーヴァントが集まっているのですよ、ここに」14

2018-07-13 21:12:00
劉度 @arther456

村の方から半鐘の音が響き始めた。彼女たちの襲撃が察知されたらしい。となれば、カルデアのサーヴァントたちがこちらに向かってきているはずだ。「ここで戦えば……まあ、負けはしませんが、魔力を回収できません。それでは意味がないのは、貴方もおわかりですよねぇ?」「……フン」15

2018-07-13 21:15:01
劉度 @arther456

女の殺気が緩んだ。「わかっていただいたようで何より。では、帰りましょうか」リンボが魔力を集中させ、転移魔術を唱えようとする。「待て!お前たち、一体何を企んでいる!?」小太郎が叫ぶ。「答えないのか?」「役に立っていない風魔の声など聞こえませんなあ」16

2018-07-13 21:18:00
劉度 @arther456

女は少し考えてから口を開いた。「10日だ」「なに?」「10日。相模国の霊脈を吸い上げるのに必要な時間だ。それが終われば、この地は未来永劫、草木も育たぬ荒野と化す」女は武蔵を睨みつける。「それまでに必ず来い。貴様は気に食わん。我が手で叩き切ってくれる」17

2018-07-13 21:21:01
劉度 @arther456

術が発動し、リンボたちの姿が消えた。「相模の霊脈が狙いだったのか……!」敵の目的がわかった。同時に、予断を許さない状況であることも。「武蔵殿、急いで北条の殿に連絡を。僕はマスターにこの事を知らせに行きます」「承知した」2人は頷き合い、村に向かって走り出した。18

2018-07-13 21:24:00
劉度 @arther456

「武蔵ちゃん!元気だった!?」「うん!立香も無事でよかった!」要塞村に戻った立香は、武蔵や宗矩ら、カルデアのサーヴァントと再会を果たしていた。彼女たちはレイシフト後、西の村のレジスタンスに参加して、小田原城の化け物たちと戦いながら立香のことを探していたようだ。20

2018-07-13 21:27:00
劉度 @arther456

「でも、これだけのメンバーをまとめるなんて、西のレジスタンスのリーダーは凄い人なんだね?」「無論。信長公の采配なら、我らも安心して従える」「あ、なるほど」どうやら信長がサーヴァントたちを纏めていたようだ。戦国時代の覇者だけあって、地元ではブイブイ言わせているらしい。21

2018-07-13 21:30:01
劉度 @arther456

そこに小太郎が駆け込んできた。「皆さん、一大事です!」「どうしたの!?」「実は……」小太郎からの報告を聞いた一行の表情が、みるみるうちに険しくなった。「何、この村、敵に見つかっちゃったの!?」「しかも、あと10日で相模国が滅ぶって!?」22

2018-07-13 21:33:00