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ギタリスト鈴木智承が語る、プロで食べていける人の条件と、専門学校で教えるべきこと

プロならばどんな世界にもある40歳の壁
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鈴木智承 @tomosuzuki_gr

昼間は暇なことが多いので(笑)少し前に音楽の専門学校で教えていたことがある。僕以外の先生は高校の音楽の先生みたいな人が多かった。もちろん楽器はできるけど、本業が教師なんだな。音楽理論ならこういう先生でもいいけど、将来プロになりたいなら「プロの教師」に教わっちゃだめだと思った。

2018-07-22 07:32:49
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

音楽は、人前でプレイしてなんぼ。プロは普段コンサートに参加しているから、持っている空気が「アーチスト」なんだな。「教師」とは違う。アーチストは教え方はうまくないかもしれないけど、人前でプレイすることの素晴らしさ、大変さを教えてくれる。

2018-07-22 07:37:25
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

今はプロとしてやっている、ある元生徒が言ってくれたんだけど、僕の授業で楽器がうまくなったとは思わないけど(コノヤロ)、雑談的なこと、たとえばどうやってコンディションを維持しているかとか、他のメンバーとのコミュニケーションとか、そういう話は記憶に残っていて、それが役に立っていると。

2018-07-22 07:42:44
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

たしかにね。僕も音楽学校に通ったけど、本業がミュージシャンの先生の言葉は、プレイヤーとして響くものが多かった。ギタークリニックなんて、ほんの一言のアドバイスでぐっと良くなったりした。芸大じゃないんだから、専門学校は「プロとプロ志望者の出会いを作る場」に徹すれば良いと思う。

2018-07-22 07:45:55
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

それに、これは結構大事なことなんだけど、巧いミュージシャンほど仕事が来るかというと、そうじゃない。結局「人間関係」なんだ。「仕事をくれる人」とどれだけ関係を持っているかが重要。普通の会社なら「営業」と言われる部分だ。がっかりさせるかも知れないけど、「食う」ために大事なこと。

2018-07-22 07:48:54
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

そうやって仕事を回してもらっているうちに場数を踏んで、楽器の演奏テクニックも磨かれていく。その噂を聞いた人から引き合いがあったり、そういう循環なんだと思う。「若い子でギター弾ける子、いないかな」みたいな会話は、音を作って売る人たちの間ではしょっちゅう交わされている会話。

2018-07-22 07:55:40
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

考えてみれば、サラリーマン以外の人生、音楽であれ作家であれ写真家であれ画家であれユーチューバーであれ、自分の腕で生きていこうと思うならば、仕事の腕そのものを磨くのと同時に、仕事を得るための術も知っておくべきということ。まあそれは、健全な人間関係を作れっていうことに尽きるんだけど。

2018-07-22 08:08:57
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

最近「フリーランス、40際の壁」っていう本を読んで、この本はライターさんの本なんだけど、いやあ、音楽も同じだなと思った次第。キャリアを積むと単価(ギャラ)が上がるけど、上がったせいで仕事が来にくくなる。そりゃそうだ、業界にはまだ単価の安い、若くてイキのいいのが次々出てくるんだから。

2018-07-22 08:24:07
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

だからつまり、自分の腕一本で生きていくということは、自分を商品にすることなんだな。野球でも元巨人の村田さんとかイチローさんとか、あれだけの実力を持った人がなかなか契約を取れずに苦労した。アーチスト志望の若い子たちはどんなふうにそのニュースを見ていたんだろう。

2018-07-22 08:27:43
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

「アーチストは自分自身が商品。定年はないから売れるならいつまででも売れる。でも売れなければそのまま失業者」。専門学校はそういうことも教えるべきだろうね。「プロの世界は甘くないぞ」みたいな抽象的なことじゃなく。もちろん僕は授業でそういう話をしっかりした。それでプロを諦めた子もいた。

2018-07-22 08:32:10
鈴木智承 @tomosuzuki_gr

プロとして食っていけるかどうか、それはテクニックの問題というより覚悟の問題ではないかと思う。極論だけど。

2018-07-22 08:34:27