[R-18]魔女シリーズ2~食用人種なのに貧相で出荷されない少年がお姉さんに世話してもらう話

災いの仔ムンリトと戎牙(じゅうが)すなわち獣人の牧童カズサの物語 ほかのお話は以下 魔女シリーズ一覧 続きを読む
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帽子男 @alkali_acid

"したがえば…飴" 股間を神鋼の指がまさぐり、カズサは痙攣しながら鼻にかかったあえぎを漏らした。 "よき牧童たれ…" 牙を打ち鳴らしながら、少女は諾とも否ともつかぬうなりをさせた。

2018-07-07 17:48:20
帽子男 @alkali_acid

暗転する。やっと夢から覚める。いや別の夢に変わっただけだった。多重の夢。出口のない夢。 体が大きくなり、一人前の牧童に近づいたカズサが、最後の仕上げを受けている。訓練をこなしたじょうずに褒美に、神鋼でできたがらんどうの召使が数体がかりで愛撫をしている。

2018-07-07 17:51:11
帽子男 @alkali_acid

先端に神鋼の輪がはまった四つの毛深い乳房を、やはり金属でできた腕がもみほぐし、あるいはひっぱり、同じく神鋼の輪で飾った秘裂を拳が押し広げている。泡をふきこぼし、のけぞる獣人のあぎとをごつい指が掴んで固定し、揺さぶる。

2018-07-07 17:53:22
帽子男 @alkali_acid

カズサの逞しい筋骨は、そうしようとさえ思えば周囲の甲冑もどきをはねのけられそうだが、どれだけ粗雑な扱いを受けても、噛みついたり暴れたりするようすはない。 "しあがったか" ひさしぶりに牧場主があらわれる。 召使が下がり、牧童は四つ這いになって平伏する。焼印を捺した尻を高くかかげて。

2018-07-07 17:56:24
帽子男 @alkali_acid

"来い…食用の畜童をあずける…集めるのに…労した…二度と得られぬ…やもしれぬ…死なさず…逃さず…健やかに育てよ…" 神仙に従ってゆくと、広間に神鋼でできた四つの檻がある。 それぞれ緑の子、青の子、赤の子、黄の子が首枷と鎖でつないである。 "牧童には…なつく…はず…"

2018-07-07 18:00:28
帽子男 @alkali_acid

緑の子が最も育っていて活力もあるようだった。それどころか檻の格子のあいだからいきなり蔦を伸ばし牧場主の首にからみつかせた。 "…これ…は…" "古き牧は滅ぶべし" 鎖を鳴らしつつ、少年は髪の毛と一つとなった蔓をねじらせる。 そこへ素早く牧童が飛び出して命ある綱をかじりとった。

2018-07-07 18:04:22
帽子男 @alkali_acid

獣人の雌を前にすると、樹の仔はおとなしくなった。 がらんどうの召使が進み出て、神鋼の鞭をふるい、檻の隙間から蛇のようにもぐりこませて、畜童を打ち据える。何度も頭や首、胴などに武器がめりこみ、ほっそりした肢体は異様な角度に曲がってくずおれた。 "死なせ…ては…ならぬ…"

2018-07-07 18:06:33
帽子男 @alkali_acid

周囲では青、赤、黄の子等が恐怖のあまり水の渦を呼び寄せ、火の玉を浮かばせ、風を裂く羽の矢で檻を撃ち始めていた。 "ならぬ…牧童に…任せよ…殺めては…ならぬ…おちつかせ…よ" カズサが四つ足でそれぞれの檻をめぐり、鼻をうごめかせ、息をかけると、それぞれの幼い囚人はおとなしくなった。

2018-07-07 18:09:39
帽子男 @alkali_acid

"最後…の牧は…秘せられた…万年雪が守る…常冬の地に…海精や火妖は恐るに…足らぬが…天魔や…森の巨人…気を付けよ…" 牧場主はそっと牧童の頭を撫でた。恍惚として雌は舌を出す。 "四つの畜童が…つつがなく…育てば…さらに飴を…つかわそう…"

2018-07-07 18:13:25
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ あまた連なる夢また夢から覚めて、牧童はみじろぎした。手足がびくともしない。腹に違和を覚える。声も出なかった。 「わふ…わぅ…」 耳をばたつかせ、鼻をうごめかせ、双眸で四方をうかがうと、ようやく細い木の根が全身をからめとっているのが分かる。

2018-07-07 18:16:05
帽子男 @alkali_acid

根はさらにおとがいや大小の排泄の口や産道までもぐりこんでいて、絶えず甘い樹液を分泌する一方、牧童の体内から出る老廃を取り除いているのだった。 「ぐぅう!?」 驚きにもがくと、粘膜をこする感触に思わず声に甘い響きが混じる。だが根はぬめった音をたてながら引き下がる。

2018-07-07 18:19:11
帽子男 @alkali_acid

ぽっかり開いた穴を弱々しく伸縮させつつ、そそぎこまれた蜜をしたたらせながら、カズサは荒く呼吸した。 根はばらけて地面に落ち、みるみるしおれていく。あらためてあたりを確かめると、川辺の崩れた岩積みの端に緑の少年が片膝を抱いて座り、水に足をひたしている。背からは枝が茂っていた。

2018-07-07 18:21:48
帽子男 @alkali_acid

だがようすをうかがううちに、青々としていた葉は黄や赤に変じて散り、肩の後ろからあまた伸びていた鹿角に似た異形の肢も、すべてなめらかな緑の肌にひっこむか、枯れ落ちた。 「…お前…」 「おはようございます」 牧童はぼうぜんと尋ねる。 「お前…いつのまにそんなに元気に」

2018-07-07 18:25:51
帽子男 @alkali_acid

「ちょっと、大きくなりました」 といって相変わらず華奢なのは変わらないが、もうどこかしら貧相という風情ではなくなっていた。 「牧場の外にいたほうが、いいみたいです」 「…脱走しないのか」 「はい」 「ならば、いいか」 「ありがとうございます」

2018-07-07 18:29:01
帽子男 @alkali_acid

カズサは背を掻いて、傷痕が塞がっているのを確かめる。 「お前が、私を助けてくれたのか。天魔の羽矢には毒があると聞いていたが…」 「はい」 「なぜだ」 「死んだら、ウィリンカや、シュトイや、サルウがかなしむから」 ムンリトは一緒に育った子等の名を挙げる。

2018-07-07 18:32:24
帽子男 @alkali_acid

牧童は淡々と答えた。 「あの子等は、もういない」 「そうでしょうか」 少年は初めて口答えらしきものをした。年嵩の女はとまどいつつ言葉を重ねる。 「そうだ」 「神仙の聖餐は、四つの子がそろってから一緒に食べるのでは」 「…なぜそう思う」 「なんとなく」

2018-07-07 18:34:46
帽子男 @alkali_acid

カズサは不審そうにムンリトのそばへ寄って匂いを嗅いだ。 「お前。すこし匂いが変わったな」 「そうかもしれません」 「森の巨人や天魔のせいか」 「そうかもしれません」 「何かあったのか」 「魔女を知っていますか」

2018-07-07 18:36:14
帽子男 @alkali_acid

牧童は首を傾げた。 「魔女…魔女とはなんだ」 「神仙のようなものかもしれない」 「神仙は神仙だ。逆らってはいけないものだ」 「神仙と神仙がけんかしていたら、どうしますか。シュトイとサルウみたいに」 「…それは…神仙はけんかなどしない」 「もしけんかしたら?」 「…それは…」

2018-07-07 18:38:22
帽子男 @alkali_acid

女は男児を見つめた。またたきもせずまっすぐな視線を返す深緑の双眸の奥には、どこか神仙に似た光がある気がした。わずかにへどもどしつつ、どうにか答える。 「神仙は、けんかなどしない」 「わかりました」 少年はみずから上がると、手をさしのべる。 「かえりましょう。牧場に」

2018-07-07 18:41:00
帽子男 @alkali_acid

牧童はぎょっとしてから、毛むくじゃらのごつい拳で碧のほっそりした指をつつつんだ。 「お前と手をつなぐのは初めてだ」 「ウィリンカとはよくつないでいました」 「ウィリンカはさびしがりだったからだ」 「きっといまもさびしかっています」 「ウィリンカはもういない」 「そうでしょうか」

2018-07-07 18:42:42
帽子男 @alkali_acid

二人は、牧場を囲む透き通った泡の幕を苦もなく通りぬける。 「…前からそんなに簡単に出入りできたか」 「どうでしょう」 「お前、やはり何か変わったか」 「そうかもしれません」 獣人の雌は鼻をならしたが、樹人の仔はただ恬(てん)として歩き続けた。

2018-07-07 18:45:12
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 公明正大に牧場の外で日を浴び、水に浸かり、土をいじるようになってから、ムンリトはすくすくと肉付きをまし、あっという間に食べごろに育った。 「そろそろいいとおもいます」 「そうか」 カズサは数日考えこんでから、結局神鋼でできた鐘を鳴らし、迎えを呼んだ。

2018-07-07 18:48:01
帽子男 @alkali_acid

大気を震わす音色は、牧童の胸や秘所にはまった輪をも振動させ、快楽と苦悶の両方をもたらした。ぶざまに伏せてあえぐ獣人の雌を、樹人の仔は横目で見ながらおとなしくしていた。 一日半ほどで、がらんどうの召使が引く橇がやってきた。席は空だ。 「牧場主は?」 あえぎを押し殺しつつ、女が問う。

2018-07-07 18:50:36
帽子男 @alkali_acid

神鋼でできた甲冑もどきの群は誰も答えなかった。素より会話する役割はないのかもしれない。 少年は緑の指で、橇の縁が傷ついているのを示した。 「そとには天魔や森の巨人がいっぱいいて、うかつに出歩くとあぶないのかも」 「ここは秘密の牧場だったはずだ」 「秘密はいつかやぶれます」

2018-07-07 18:52:55
帽子男 @alkali_acid

獣人の雌は牙を剥いた。 「誰が秘密を破るという」 「魔女かも」 「魔女?なぜそう思う」 「なんとなく」 樹人の仔のおだやかな答えに、つい鼻白む。 「なぜそんなにおちついてる…怖くないのか。出荷が」

2018-07-07 18:58:39
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