[R-18]魔女シリーズ3~少年放牧場におけるしつけ、お姉さんの趣味と実益を兼ねた妙技

災いの仔ムンリトと冬鬼ハヴァフ、それに火妖サルウ、海霊シュトイ、天魔ウィリンカの物語 ほかのお話は以下 魔女シリーズ一覧 続きを読む
0
前へ 1 ・・ 3 4
帽子男 @alkali_acid

年嵩の女はとがった耳の後ろを掻いて考え込んだ。 「そうだな。仲間は多い方が…良いか…どうだハヴァフとやら」 「余は人食いの生贄どもと馴れ合うつもりは…」 そう言いさした冬鬼は、眼下に揺れる獣人のたわわな四つの乳房に釘付けになり、残りを飲み込む。 「…す、少しなら一緒にいてやる」

2018-07-08 20:17:19
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 樹人の仔が目を覚ますと、あたりにはあたたかな陽射しがあった。もはや氷の枷はない。せせらぎの音がする。牧場の柵のすぐ外、いつも日向ぼっこをする時のお気に入り場所である小川に足を浸けているようだった。 そばには不安そうな獣人の雌がかしずいている。

2018-07-08 20:20:20
帽子男 @alkali_acid

「ムンリト。だいじょうぶか」 「そうですね」 「…あいかわらず」 「なんでしょう」 「死ぬかもしれなかったんだぞ」 「確かにそうですね」 少年はほほえむ。人をどぎまぎさせるような可憐な笑みだった。 女はつい吸いついけられるように身を寄せてから、また半歩退く。

2018-07-08 20:25:36
帽子男 @alkali_acid

「お前をさらった冬鬼の仔は…牧場でしばらく一緒に暮らすことになった…納得ゆかないかもしれないが」 「いいえ」 「そうか」 「はい」 「…お前、あの子が牧場に来ると思っていたのか」 「そういう可能性もあると思っていました」 「そうか」

2018-07-08 20:27:24
帽子男 @alkali_acid

ムンリトは葉脈の浮いた腕をかかげて、陽射しを受け止め、ややあって話す。 「前から牧場の外に何かいるみたいだったから、皆と仲良くなれるかもと思ってました」 カズサは尻尾を振り、耳を伏せる。 「命を懸けるほどのことではないだろう」 「そうかもしれません」 「そうだ」

2018-07-08 20:30:50
帽子男 @alkali_acid

しじまが広がる。 緑の子はただの苗木になったかのようにじっとしていてから、だしぬけに牧童に問うた。 「だめでしたか」 「なにが」 「牧場の子が増えたら」 「私は…子等の世話をするのは楽しい…躾も…遊びも…だが…」 「だったらよかったです」

2018-07-08 20:33:33
帽子男 @alkali_acid

カズサは耳を立てて、尻尾をけばだてると、四つの乳房を揺らして立ち上がった。 「もういい!元気になったらすぐ柵のむこうに戻れ!皆心配している!」 「はい」 「私は先に戻っている!」 「はい」 二本足で歩み去ろうとする獣人の雌の背に、樹人の仔はまた遅れて語り掛ける。 「カズサ」 「なっ」

2018-07-08 20:35:52
帽子男 @alkali_acid

「ありがとうございました」 「牧童として家畜を連れ戻しただけだ!いちいち礼など言うな!」 吐き捨てるようにして年嵩の女は駆けてゆく。尻尾を振りながら。少年は見送ってから、またまぶたを閉ざし、のんびり日向ぼっこを再開した。

2018-07-08 20:37:47
まとめ 魔女シリーズ一覧 魔女と妖怪変化の恋物語。スケベなやつです。 4123 pv 31
前へ 1 ・・ 3 4