【書き起こし】「終戦の日。戦後日本の国家理念として忘れてはいけないこと」荻上チキが指摘▼2018年8月15日(水)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)#ss954

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橋本 至 @kid75

【書き起こし】「終戦の日。戦後日本の国家理念として忘れてはいけないこと」荻上チキが指摘▼2018年8月15日(水 )放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)#ss954 tbsradio.jp/284025 ※ケバ取り、弱めの整文あり これより連投。

2018-08-20 19:12:39
橋本 至 @kid75

南部広美さん:『平成最後の終戦の日 天皇陛下は4年連続反省に言及 一方安倍総理は加害責任に触れず』終戦から73年を迎えたきょう、平成最後となる全国戦没者追悼式が日本武道館で開かれ、来年4月30日に退位を控える天皇陛下は、次のようにお言葉を述べられました。

2018-08-20 19:12:40
橋本 至 @kid75

(スピーチ音声)戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省と共に、今後戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り、戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

2018-08-20 19:12:40
橋本 至 @kid75

南:天皇陛下は戦後70年から使っている「深い反省」という言葉を4年連続で使い、また新たに「戦後の長きにわたる平和な歳月」という文言を加えました。一方、これに先立ち式辞を述べた安倍総理は「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」としつつ、アジア諸国への加害責任には触れませんでした。

2018-08-20 19:12:41
橋本 至 @kid75

安倍総理は、第一次政権時の2007年の式辞では「アジア諸国の人々に対し損害と苦痛を与えた」とし、「戦争の反省を踏まえ、不戦の誓いを堅持する」と述べていました。しかし、第二次政権発足後の2013年以降の追悼式では、「反省」や「不戦」などの文言を使わず、

2018-08-20 19:12:41
橋本 至 @kid75

戦没者への感謝や世界平和への貢献を強調するスタイルになっています。 荻上チキさん:きょうは第二次世界大戦・アジア太平洋戦争を終えて、日本が再出発をするという国民的な意識がとても強い日ということになりますね。当然ながら戦後日本がどう歩んできたのかということを考える重要な日でも

2018-08-20 19:12:41
橋本 至 @kid75

ありますし、大きく日本が社会の形を変えていくような、そんな時期でもあります。当然、戦前から変わるもの、民法だとか各法律はそのまま残っていますから、そうした体制が全てガラガラッと変わった訳ではありません。

2018-08-20 19:12:42
橋本 至 @kid75

ただ、その後新しい憲法を獲得していく過程の中で、様々な体制というものを大きく変化させていくことになります。また、欽定憲法の色が強かった明治憲法から、日本国憲法という形で、立憲主義の名の下において国家の形を再編していく、という方向に、この73年間歩んできたことになります。

2018-08-20 19:12:42
橋本 至 @kid75

さまざまな国の建国の義といいますか、建国のための理念ですね、そうしたものって、いろいろあると思うんです。アメリカだったら自由を獲得する。それからイギリスからの独立であったり、自分たちの自由な精神というものをしっかりと保証するような政府でなくてはいけないとか、

2018-08-20 19:14:16
橋本 至 @kid75

さまざまな国ごとに建国の精神というのがあるんですけれども、少なくとも日本の戦後においては、アジア太平洋戦争の反省というものは欠かせない材料なのですね。そうしたものに対する反省というのは、別に自虐とか、あるいは殊更に国を卑下するということではなくて、過去をしっかり見つめた上で、

2018-08-20 19:14:17
橋本 至 @kid75

そこからさらに発展するためには、やはり実態として存在する歴史というものに目を背けず、そこから学べることを学びつくすということがとても重要になってくるわけです。

2018-08-20 19:14:17
橋本 至 @kid75

そういった意味では、こうした反省をする身振りというのは、とても高度に知的なことであると同時に、非常に真摯で尚且つ勤勉な態度でないと示すことができないような姿勢だといえるわけですね。過去のことを見てみぬふりをして、自分の言いたいことだけを言うというのは誰にだってできる。

2018-08-20 19:15:26
橋本 至 @kid75

でも、そうしたことからなるべく学びつくす。そして対外的にも対内的にも、ある種の反省に基づいて過ちを繰り返さないために、ではどうすればいいのかという議論を重ねていく。それがとても重要なことになってくるのです。

2018-08-20 19:15:26
橋本 至 @kid75

だからある種の反省というのはネガティブな意味ではなくて、ある意味では非常にポジティブな、つまり社会がより良き方向に行くために、どういう風に進めていけばいいのか、という参照点をしっかりと確保するという決意表明にほかならないのですね。

2018-08-20 19:15:26
橋本 至 @kid75

で、ここ十数年間、自分が学生から社会人になっていろいろ歴史のことについて考える機会が多かったのですけれども、いろいろ違和感のある歴史語りというのが多々あるんです。それは一つには、戦争に対する反省というものを述べるような身振りの中で、そうした反省を強いられることが非常に酷であるとか

2018-08-20 19:17:04
橋本 至 @kid75

侮辱的であるという風に捉えるような、そうした発言が一部にあったのです。それはそれなりに政治家の間でも共有されていたりする。でもそれは、誰目線なんだろう?と。僕は戦後民主主義の中で、一人の国民として、大日本帝国の下に軍国主義の政治に振り回されるような状況から

2018-08-20 19:17:05
橋本 至 @kid75

国民が解放されたということになるので、ある意味ではそうした反省というのは、要は国家体制の反省であって、国民一人一人というのはそうしたことを二度と政権に繰り返させないというような、強い決意の言葉だったりするわけですよ。

2018-08-20 19:17:05
橋本 至 @kid75

そうすると、日本人が侮辱をされているのではなくて、日本人を守るために、政府に縛りの言葉として反省を口にさせることが重要なのだが、それを意図的になのか、混同させることによって歴史観を為政者目線で語る、ということがよくあるわけですね。

2018-08-20 19:19:56
橋本 至 @kid75

特に、例えば靖国史観のような形での、「戦争の尊い犠牲があったが故に今の平和がある」という語り方。この語り方には、それ相応の理由というのはあったと思うんですよ。根拠というよりは理由ですね。つまり、戦争によって身近な人の誰かが必ず亡くなっているというような状況がある。

2018-08-20 19:19:56
橋本 至 @kid75

その「亡くなった」ということについて、「犬死にだ」とかただただ「殺された」だとか、そうした語り口で切り捨てるということはやっぱり感情としてできなかったのです。だからこそそうして人たちの死を乗り越えて、更に先に進んでいく。のりこえるためにはさまざまな反省を期して、

2018-08-20 19:19:56
橋本 至 @kid75

平和への誓いというものを重ねていく。そうしたことによってこそ、戦後の日本はあったんだ、というようなそうした語りによって自らを癒していく。或いは合理化していくという文脈があったでしょう。

2018-08-20 19:19:57
橋本 至 @kid75

ただ、それから時間が経ちまして、そうした語りをただただ踏襲するだけではなくて、やはりさまざまな点検と、言説への反省が必要になってくると思うんですね。それはどういうことかというと、あたかもあの戦争は必然不可欠な戦争で、「その時に戦ってくれた人がいるから、今の日本があるんだ。

2018-08-20 19:21:40
橋本 至 @kid75

あれがなかったら(今の)日本もなかったんだ」と言わんばかりの感触というのがあったりするわけですね。戦争が終結して、日本国内で設定された戦争調査会などでも、やはり戦争は避けられたし、そもそも戦争を開始した段階で負けるということは決まっていた、

2018-08-20 19:21:41
橋本 至 @kid75

そうしたようなことが常に言われていた。でも、70年近くその語りは更新されなかったのですね。それは何故かというと、当事者感覚のある種のブレーキというはあったと思います。そこから一つの思いというのは引き継ぎつつ、でも別の教訓という形では、また語り直しが必要だと思うんですね。

2018-08-20 19:21:41
橋本 至 @kid75

その語り直しは、歴史修正であるとか、過去の反省をしないというような身振りとは全く逆の方向で、むしろ反省するが故に、そこでの語り方というものに一種のオブラートをかけるものではなくて、純粋に間違っていたということを堂々と言えるような状況を確保する。

2018-08-20 19:21:41