【書き起こし】難病の児童に「養護学校の方が合っている」発言▼荻上チキが問題点を解説▼2018年8月31日(金)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)#ss954

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橋本 至 @kid75

【書き起こし】難病の児童に「養護学校の方が合っている」発言▼荻上チキが問題点を解説▼2018年8月31日(金)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)#ss954 tbsradio.jp/289096 ※ケバ取り・整文あり これより連投。

2018-09-03 21:27:24
橋本 至 @kid75

南部広美さん:『宝塚市の教育委員が、難病の児童に「養護学校の方が合っている」と発言。その後辞職』兵庫県宝塚市の教育委員会はきょう、教育委員の72歳の男性が6月に小学校を視察した際、難病の女子児童に付き添っていた母親に対し、

2018-09-03 21:27:25
橋本 至 @kid75

「大変やね。環境も整っている養護学校の方が合っているんじゃないの」などと発言していたことを明らかにしました。この女の子は全身の筋力が徐々に弱る難病「脊髄性筋委縮症」で、人工呼吸器などの医療的ケアを必要とし、宝塚市内で初めて看護師を配置した小学校に通っています。

2018-09-03 21:27:25
橋本 至 @kid75

女の子の母親が「本人の希望で通っている」と話すと、男性は「本人はそうかもしれないけど、周りは大変でしょう」と発言。後日、父親が教育委員会に抗議しました。教育委員会は「障害の有無に関係なく、共に学ぶインクルーシブ教育を進めている中で、不適切な発言だった」として、

2018-09-03 21:27:26
橋本 至 @kid75

一連の発言を差別と認定し男性に口頭で注意。男性は先月辞職したということです。

2018-09-03 21:27:26
橋本 至 @kid75

荻上チキさん:宝塚市の教育委員が、難病の児童に対し「養護学校の方が合っているんじゃないか」と発言したということなんですけれども、教育委員会の方が「障害の有無に関係なく、共に学ぶインクルーシブ教育を進めている中で、不適切な発言だ」と認定したことは、妥当だとは思います。

2018-09-03 21:32:50
橋本 至 @kid75

インクルーシブ教育というのは、要は包摂的、みんなを包みこむ、つまり分離するのではなくて混ぜていく、当たり前に共同で生きていく、共生していく、そうした社会をつくっていく。だから、かつての発想であれば、障害者は障害者の学校で、健常者は健常者の学校でという形で分けていく、と。

2018-09-03 21:32:51
橋本 至 @kid75

そうすると、社会の中で接点を持つ機会がどんどんどんどん薄くなってくるので、結果健常者だらけで行われていくさまざまな意思決定の現場、民間企業だったり議会だったり、そうしたところに声がより届きにくくなっていく。そうした悪循環が出てくるわけですね。

2018-09-03 21:32:51
橋本 至 @kid75

そうしたある種不自然な隔離政策をやめていきましょうよということで、全てのいろいろな場所、できる限りのところから進めていくことになるんですけど、どの場所でも人々が自由に教育を受けることができるようにしましょう、と。ここの設備が難しいからあっちに行ってください、ではなくて、

2018-09-03 21:32:52
橋本 至 @kid75

ここの設備が難しいのだったらどう変えていきましょうか、そうした目線を持つためには、やはり当事者の目線は非常に重要なわけですね。そうしたことを進めるインクルーシブ教育、これはとても重要であるが故に、当事者の声をどう聞くかというのが非常に大変なポイントになるわけです。

2018-09-03 21:32:52
橋本 至 @kid75

その点において、教育委員がそういった発言をした。気になるのは、まず「本人が大変でしょう」と言っているかと思いきや、「周りが大変でしょう」というロジックになっているということなのですね。

2018-09-03 21:32:53
橋本 至 @kid75

つまり「養護学校の方が環境が整っているから、周りの児童に迷惑をかけなくて済むんじゃないですか」というニュアンスになっているのです。で、障害学とか当事者研究の分野というのは、さまざまな困難が何かの当事者にのみ責任がなすりつけられるような状況に異議申し立てをしてきたのですね。

2018-09-03 21:37:16
橋本 至 @kid75

例えば発達障害の当事者が、よく「コミュニケーションに難がある」という評価をされるわけですけど、それは今までの多数派のコミュニケーション手段をそのまま適用しようとしたら、難が出る可能性はある。それは彼・彼女に難が出るのじゃなくて、二人の間に、みんなの間に難が出るわけですよ。

2018-09-03 21:37:16
橋本 至 @kid75

だからそうした場面では別のコミュニケーション手段があるということがよりスムーズに選ばれるような社会になると、その社会はより強くなるわけですね。そうした仕方で、難がある、改善しなきゃいけないポイントをどこに見るのか。それは個人や、あるいは配慮しなくてはいけない周囲ではなくて、

2018-09-03 21:37:16
橋本 至 @kid75

周囲がそうやって変革する中で、誰もが立場が入れ替わったり、状況が変わったりしても、行きやすい学校にする、生きやすい社会にしていくことが重要になってくるのですね。実際にこうした発言が行われるということは、残念ながらレアケースではないと思うのですね。

2018-09-03 21:37:17
橋本 至 @kid75

教育現場でこういった発言がどこまで出るのかはさておき、でも教育センター・教育の現場で進路相談をした際に、なんとなく「こういった学校に行った方がいいんじゃないか」というふうに提案をされることがある。実際にフラットに「こんなメニューがあって、

2018-09-03 21:37:17
橋本 至 @kid75

それぞれのメリットデメリットはこうです」というような形で提案していきながら、仮に今は課題がある学校に入学したとしても「県や市や区や自治体としてはさまざまなバックアップをしていくためにゆっくり準備をしていきたいと思います」という、ある意味では要望を言う側聞く側というだけではなくて、

2018-09-03 21:37:17
橋本 至 @kid75

二人三脚で問題を解決していくような姿勢というのが、インクルーシブ教育の、当事者の目線を借りるということでとても重要なポイントになってくるのですね。でもそうした観点が抜け落ちてしまっているような進路相談・進路提案だとか教育現場の発言、

2018-09-03 21:37:18
橋本 至 @kid75

あるいは当事者に対する無理解な発言が多々あるわけです。おそらくこのニュースを聞いて「いや、養護学校に行けばいいじゃないか」といった反応をする人もいると思うんですね。「それはそっちの方が制度が整っているんだからうんぬん」という形で言うわけです。「この人は責められないじゃないか」と。

2018-09-03 21:40:52
橋本 至 @kid75

でも、本人も望んでいて、なおかつ付き添っている家族の負担もそこには存在するわけですね。これ、想像するとちょっと胸が苦しいですね。言われたところにいた児童もそうだし、母親もそうだし。それに父親が抗議をしたってことは、母親から父親に「こんなことがあったんだ」と伝えて、

2018-09-03 21:40:52
橋本 至 @kid75

「これはもうちょっと泣き寝入りする訳にはいかない」ということで異議申し立てをした、ということになる訳ですね。それは自分の子どものためでしょうし、同時にさまざまな児童が通いやすい学校にするための大事な指摘になるのですよね。そうしたことを考えると、

2018-09-03 21:40:53
橋本 至 @kid75

やっぱりこういったことがちゃんと共有されて、「こうしたことって当たり前だよね。しょうがないよね」「養護学校を勧めるのって普通だよね」という感覚自体が、ダイバーシティ・多様性とか、包摂的な教育を妨げる要因になってしまっているんだと、そういったことをもっと理解してほしいですよね。

2018-09-03 21:40:53
橋本 至 @kid75

で、そうしたニュースへのファーストリアクションも、各学校や各現場の雰囲気づくりにも影響してくるので、そうしたときに「どうすればいいのかな、ああ障害者運動の歴史があるな」「いろんな当事者の顔が浮かぶな」「ニュースでこういった人たちのドキュメンタリーを見たな」とか

2018-09-03 21:40:54
橋本 至 @kid75

いろいろなところから、立場が違うように見える人たちの現実というものを知っていく。 南:そういうことに対して自分は何ができるかなっていうことが、合理的配慮をつくり上げていくっていう過程ですよね。

2018-09-03 21:40:55
橋本 至 @kid75

荻:そうですね。だからニュースのファーストリアクションでよく「いやそんなの当然でしょ」一言で終わり。140字にも満たないような形で、でも社会に壁をつくることには着実に貢献してしまうような行為もあるわけですよね。本当にそれで世の中がよりベターなものになるのかどうか、

2018-09-03 21:40:55