ザ・メスゴリラって感じの女戦士が、ほっそりしたショタに腕相撲で負けるやつ

ショタおね再放送。2018年4月9日放送分。もうこのころには全土の電化は達成されており、人民は牛肉と白米の食事を楽しんでいました。
33
帽子男 @alkali_acid

ザ・メスゴリラって感じで向こう傷のいっぱいある女戦士が、ほっそりしたショタに腕相撲で負けるやつ下さい。 左手で勝負した時だけ。

2018-04-09 23:44:34
帽子男 @alkali_acid

右手で勝負すると普通に一発で女戦士が勝つどころか勢いあまってショタは体ごとぐりんて回転するぐらい。 「あたしは両利きなのに…右も左も同じぐらい強いのに…なんであんたと左手で勝負したときだけ負けるんだい!」 「わかんない」

2018-04-09 23:46:30
帽子男 @alkali_acid

ショタの左手をめくってみると、静脈みたいなものが緑いろの宝石に変わっている。 「なんだいこれ」 「わかんない」 「お言い!」 ほっぺをつねられるショタ。 「わひゃんひゃい」

2018-04-09 23:47:31
帽子男 @alkali_acid

「あんた親は」 「わかんない」 「このへんの子かい?」 「あっちのほう」 「そうかい。送ってやるよ」 「いい」 「なんで」 「ここでいい」 「なんでさ。親んところに帰んなきゃ」

2018-04-09 23:49:48
帽子男 @alkali_acid

肩車して連れ帰る女戦士。男児はぼへーっとしている。角つきの兜を両手でにぎって安定。 「ここでいい」 「村まで送るってんだろ」 「いい」 「遠慮すんじゃない」 村には人がいない。 「みんなどこだい」 「わかんない」 「ふん…」 井戸が緑の光を放っている。

2018-04-09 23:51:03
帽子男 @alkali_acid

男児を兜にしがみつかせたまま女戦士は竪穴を降りる。 下には淡く輝く洞窟が広がっている。桶を吊るした縄は途中までしかない。あとは地底湖が広がっている。 「なんだってんだ」

2018-04-09 23:52:28
帽子男 @alkali_acid

覚悟を決めて飛び込む。水も得意な女戦士。岸辺まで抜き手を切って泳いでいく。傍にへんな鰭が見えるが睨むと消える。 「妙な場所だね」 向こうで人影が動く。近づくと、緑色にきらめく半ば宝石と化した女や男。 とてつもない怪力で岩壁をえぐり、砕き、黙々と働いている。 「こりゃ…」

2018-04-09 23:54:30
帽子男 @alkali_acid

「あんたの村の連中かい?」 「わかんない」 「見知った顔はいないのかい?」 「…」 男児がうつむく。 「おばあちゃん…」 指さした先に完全に鉱物と化したらしき老婆の立像がある。 「…何があったんだい」 「わかんない」 「思い出しな」 「…わか…」

2018-04-09 23:56:32
帽子男 @alkali_acid

「あたしが守ってやる。何があっても。だから」 「…井戸から…光がでてきて、みんな入った」 「あんたも?」 「おばあちゃんが、にげろって」 「そうかい…」

2018-04-09 23:57:52
帽子男 @alkali_acid

女戦士は顎を掻く。 「…あたしが魔法使いかなんかだったら、原因を探り当てるんだけどね…どうしたもんだか」 「…でたい」 「そうだね。ここにいたら何があるか分からない。ちと遠くになるが、知り合いにひとり、詳しいのがいるから、そいつを尋ねてみよう。おばあちゃんの治し方もきっとわかる」

2018-04-09 23:59:54
帽子男 @alkali_acid

井戸の桶の縄をつたって戻る。 「あんた名前は」 「わかんない」 「しょうがないね。じゃあ仮のをつけてやる。きらきらした夜空みたいにきれいな目をしてるから星宿(ほしやどり)だ。あたしは牙折(きばおり)。よろしくね」 「うん」

2018-04-10 00:03:01
帽子男 @alkali_acid

二人は旅から旅へ。 男児は荷物のようで、ここぞという時には怪力を発し、女戦士の危機を救う。左手だけの剛腕。大人用の鉄槌でも鉞(まさかり)でも振るう。巨岩を砕き、大樹を倒し、暴れ牛を殴って昏倒させる。 「たいしたもんだね。あんた」 「わかんない」 「なんだいまたそれかい」

2018-04-10 00:06:17
帽子男 @alkali_acid

腕の静脈にそってきらめく宝石の筋は次第に肩へと広がっていくようだった。 「あんまりあんたは頑張らない方がいいかね」 「わかんない」 「甘えちゃいけないね。ずっとあたし一人でやってきたのに、急に相棒ができたもんで。つい頼り過ぎちまった」 「たよって」

2018-04-10 00:08:19
帽子男 @alkali_acid

不安そうに見上げる男児に、女戦士は兜を直す。 「よしなよ。あんたにすごい力がなくたって、あたしはあんたと一緒にいるさ」 「うん…」 「ま、早いとこ治しちまおうねそいつは」 道々土地の高名な呪医や仙女にも尋ねるが皆首を横に振るばかり。 「とても強い術だ」 とだけ。

2018-04-10 00:10:00
帽子男 @alkali_acid

女戦士の知り合いである魔法使いの住処まであと少しというところで、恐ろしい怪物、睨み蜥蜴が道を塞いでいる。近在の村々は怯え困り果て、旅の武人を見かけるや助けを求める。 「うーん…睨み蜥蜴は人間を石化させる。あたしは今小さい連れがいるし…」 「そこをなんとか」

2018-04-10 00:12:42
帽子男 @alkali_acid

男児を置いて退治することに。大剣を担いで夜明け前に出てゆく女戦士。 睨み蜥蜴の寝そべる大路を高所から認め、兜をまぶかに降ろして這うようにして裏に回って近づく。 最初の一撃にすべてを賭ける。 気を張り、心のすべてを目の前の獲物に注いで、ほかを締め出し、じわじわと距離を詰める。

2018-04-10 00:14:54
帽子男 @alkali_acid

だが刃を振りあげところで、怪物は目を覚ます。いや待ち構えていたのかもしれない。 とっさに得物を投擲すると、睨み蜥蜴はそちらに気を取られる。愛剣が石に変わるのを悔しげに一瞥して、草むらにふせるが、石化の視線があたりを薙ぎ払い、丈の高い青葉がみんな硬く凝って砕ける。 「いけねえ」

2018-04-10 00:16:53
帽子男 @alkali_acid

女戦士の脳裏に死という言葉が浮かぶ。今まで恐れなどなかったが、男児を守ると約束したのだ。 「こんなところで…くたばれないね!」 いちかばちか脇を突いて飛び掛かろうとする。だが怪物は先を読んでそちらに向き直ろうとしていた。のろのろとした動作だがもう躱せない。万事休す。

2018-04-10 00:19:05
帽子男 @alkali_acid

岩の塊が弾丸のように飛んできて、睨み蜥蜴を打ち据える。 一つまた一つ。当たるのもあれば当たらないのもある。 「まさか…星宿…ばかなこと!」 男児が次から次へと高台から石塊をほうっている。左手で。 怪物の邪眼が容赦なくそちらを向く。小さな体がよろめくが攻撃は止まない。

2018-04-10 00:21:11
帽子男 @alkali_acid

「この!!くたばんな!」 女戦士は石と化した剣をつかみとり、後ろから全力で怪物を叩き潰す。 「星宿!無事かい!」 醜い屍を放り出して近づく。 「だいじょぶかい?」 「わかんない」 生きてはいるようでほっとする。

2018-04-10 00:22:38
帽子男 @alkali_acid

だが幼い四肢にはそこかしこに翡翠のような煌めく筋が走っている。 「あんた…左手だけじゃなく…全身に」 「へ、へいき」 「へいきじゃないだろ…ああ…ちくしょう、約束したのに」 ぎゅっと抱きしめる女戦士。抱き返す男児はとてつもない怪力だ。 「とにかく急ごう」

2018-04-10 00:24:27
帽子男 @alkali_acid

睨み蜥蜴をしっかり布でくるんで、村々へ片付いたと知らせるのもそこそこに旅立つ。気味悪がって誰も埋めさせてくれないので、倒した屍は持っていくしかない。 星宿はすすんで担ぐという。牙折は多少難色を示したが結局は任せる。 「あとちょっとだよ」 「うん」 「苦しくないかい」 「わかんない」

2018-04-10 00:26:13
帽子男 @alkali_acid

怪物と戦った次の次の夜。 焚火を囲んで眠っていた男児が起き上がり、ぶるぶると震えだす。女戦士は目覚めて引き寄せる。 「どうしたんだい」 「…わか…こわい…」 「…そうかい」 「しにたくない」 「ああ…あたしがいるよ。ここに。死なせない」 ぎゅっと胸に頭を押し付け、心臓の音を聞かせる。

2018-04-10 00:28:03
帽子男 @alkali_acid

しばらくくっついたまま横になる。 「だいじょうぶさ…」 「…っ…っ…」 男児が身を起こし、女戦士を押さえつける。怪力。 「ふぅ…ふぅ…っ」 「星宿…どうし…」 「しにたくない…しにたくない…牙折…こわい…いやだ」 噛みつくように口づけしてくる。大人の男のように。というにはつたない。

2018-04-10 00:30:29
帽子男 @alkali_acid

「こら、あんたまだ…んっ…しょうがっ…ないね…」 何かから逃れようとするように襲い掛かってくる星宿を、牙折は受け入れた。少しでも気持ちを和らげようとして。 しかし翡翠のように四肢を輝かせた少年は、抑えを知らず、人間離れした精のありったけを初めての相手にぶつけた。とめどなく。

2018-04-10 00:33:25