ただの人間でも顔をエルフに整形したらモテモテになって大成功した話

整形というより特殊メイクかしら。 毎晩、半分寝ながら垂れ流したやつだから俺にも何が書いてるかはよく分からないぜ! 「魔法使いハウルと火の悪魔」は超面白いよ。 続きを読む
ノーム 帽子男 Twitter小説 エルフ
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帽子男 @alkali_acid
エルフは美麗。エルフは高貴。誰でもエルフと結婚したい。 エルフって言うだけで垂涎の的。エルフの血を引いてるだけでも最高。 誰だってエルフが欲しい。エルフは最高のトロフィー。
帽子男 @alkali_acid
古くエルフの血を引く貴族とか言ったらそれだけでどんだけ没落しても縁談は引く手あまたでしょ。分かる。
帽子男 @alkali_acid
昔々あるところ、というか田舎に、小さな荘園があり、誰も思い出せないほどずっと以前から、さる男爵家が治めていた。一門の興りは国の創建よりも遡り、さらにかつてエルフの姫を奥方に迎えたといい、代々のものは揃って金髪碧眼白膚、尖った耳と華奢な肢体をしていた。
帽子男 @alkali_acid
美しい伝説に彩られた土地であったが、豊かとはいいがたく、しばしば村々は領主の借金の抵当に入り、かつて小人の石工が建てたという荘厳な城館も、入ってみれば隙間風が吹き込み、そこらじゅう雨漏りのするいささかおんぼろであったので、住人はよく風邪やらもっと性質の悪いなにやらに罹(かか)り
帽子男 @alkali_acid
眉目秀麗な男爵の肖像に一目惚れして嫁いできた夫人も、さすがに甘い夢から覚め、うんざりして離縁を言い出すと、兄である都会の司教に泣きついてさっさと婚資を取り戻し、出ていったのだった。
帽子男 @alkali_acid
エルフの血を引く公達は、薄情な妻を呪ったあと、後添えを迎えたらしいが、財政はますます悪化し、親戚とやりとりする手紙も無心の話ばかりとなると自然に返事も減り、疎遠になっていたので、詳しい消息について知るものはほとんどいなくなった。
帽子男 @alkali_acid
とうとう男爵自身も風邪に倒れて、というか貧苦に耐えかねて儚くなると、もともと朽ちつつあった城館はついに廃墟と化した。 しかし、しばらく時が経ったあと、奇妙な噂が広がった。亡き領主には後添の落胤があり、世継ぎの印として金髪碧眼白膚、尖った耳に浮世離れした美貌を備えているという。
帽子男 @alkali_acid
このエルフの形質を宿した貴公子の名をエルウィンデルという。 崩れかけていた屋敷にはまた火が灯り、荒れ果てて人買いもよりつかぬありさまの村々を再興せんとする動きもあるという。ただ何事にも先立つものがなくてはならない。
帽子男 @alkali_acid
かくして近在の貴族や門閥のもとに次々に肖像が回り、縁談を求める手紙が届いた。 初めはいくらなんでも貧乏籤を引く家はあるまいとも思えたが、やはり妖精の血というのは、こたえられぬ魅力があるのか、やがていくつかの返事があった。
帽子男 @alkali_acid
花嫁のなり手として名乗りを上げたうち、最も目覚ましいのは、古来武勇をもってなるオルナンサ伯爵家の二の姫であろう。少なくとも金貨三百枚の婚資が見込めた。
帽子男 @alkali_acid
ハイウーン・オルナンサは齢十四にしてすでに丈は並の男を抜き、夜の滝の如く流れる黒髪に、さらに暗い双眸。雪のように白い肌と、しなやかな腕をしているという。竪琴の弦をつまびくより、長弓の弦をひきしぼるのを得意とするというが、武門の生まれにとって傷ではなかった。
帽子男 @alkali_acid
エルウィンデル・カシナンサ男爵との婚約はつつがなく成り、ハイウーン姫たっての願いもあって婚前に幾度かの顔合わせもあったが、いずれもなごやかな雰囲気のうちに終わった。
帽子男 @alkali_acid
エルフの血を引く貴公子と、戦乙女の婚姻。 王の宮殿を飾る綴れ織りのようにみめよく、詩人の唄う叙事詩の耳にひびきよい取り合わせであった。 もっとも婚約は結んでから三年で破談となったが。
帽子男 @alkali_acid
◆◆◆◆ エルウィンデル・カシナンサ男爵の本名はトムといい、本当はただの人間の農民の出だったので姓はなかった。 もっとも六歳になるまでは、ずっとエルフの血を引く古い貴族の跡取りとして育ったので事実を知ったのはあとになってからだ。
帽子男 @alkali_acid
「トム。お前を売った人買いはそう呼んでた。親から買い上げる時にトムと聞いたそうだ」 不機嫌に侍医は言った。もじゃもじゃの髭をかきむしりながら、目をすがめて。順風満帆だった計画が、いきなり沈没の憂き目にあったのは、トムの責任だと言わんばかりだった。 仕方なく男児は貧乏ゆすりした。
帽子男 @alkali_acid
侍医と称してはいるが、住所の定まっていない流れものである。半年に一度、幻聴や幻覚に悩む幼い男爵を診る名目で城館を訪れていた。 病状そのものは嘘ではない。トムは、ときどき視界が曇ったり、雑音が聞こえたりする。変な匂いを嗅いだり、舌にいやな味を覚えたりもした。
帽子男 @alkali_acid
しかしそれは、侍医が診療と称するあれこれの処置をしたあとに起きるのだ。 「ふん。俺のおかげでエルフの血を引く若様になれたんだぞ。ちょっとぐらい目や耳がおかしくなるぐらいなんだ。文句があるか」 侍医がにらみつけるので、子供はまた貧乏ゆすりをして首を振った。
帽子男 @alkali_acid
どかか遠い異国から調達したという、瞳の色を青く染める目薬を差したり、肌を白くする粉をまぶしたり、耳の形をとがらせるための金具をはめたりして、農民の子のトムはエルウィンデルになったのだ。
帽子男 @alkali_acid
「畜生。大水で橋が流れたりしなきゃ、間に合ったんだ」 だが侍医は半年に一度の往診に遅れ、”治療”が途切れたところを、運悪く許婚の機嫌うかがいに来ていた伯爵家のハイウーン姫一行に見られてしまった。 トムの双眸は斑が入った灰色、髪の毛は砂色で、肌もしみそばかすだらけになっていた。
帽子男 @alkali_acid
とがった耳もだいぶ丸くなっており、どう考えても、村の辻で泥まみれになって遊んでいる百姓の子供と変わらない。 別人と言い張ればよかったのだが、トムは愚かしく、覚え込まされたエルフ文字を宙に指で書きながら、エルフ語の読みを誦じていた。意味はまるで分かっていなかったが。
帽子男 @alkali_acid
その方がいささかなりとも箔がつくと、男爵家、否、男爵家をよそおった詐欺団は考えたのだ。 「ふん!オルナンサだと!ご立派な伯爵家!こっちを手討ちにするだのなんだの、奴等だってほめられたもんじゃあない。唖(おし)の娘を押し付けようとしてきたんじゃないか」
帽子男 @alkali_acid
ハイウーン姫は言葉が発せない。耳は聞こえるが、なぜか舌だけが回らないのだ。 トムは、いつも手振りで話しかけてくる背の高い女の人について思い描き、貧乏ゆすりを止めてにこっとした。 侍医はかっとして、作りものの男爵の頬をひっぱたいた。 「お前がもっとうまくふるまえば」
帽子男 @alkali_acid
ごろごろと転がった男児は泣き出したが、侍医は小さな尻にもう一蹴りくれて舌打ちした。 「くそ!くそ!まったくついてない!カシナンサ男爵家の再興に俺がどれくらいつぎ込んだと思ってる!ええおい!」 喚きたてる大人のそばで、トムはうずくまったまま身をゆすり、声を立てずに涙を落とした。
帽子男 @alkali_acid
「まあいいさ。こんなところで終わる俺じゃない。おい、いくぞ。いつまでも若殿様気分でいるんじゃない」 侍医はトムの襟首をつかんでひきずり起こすと、荷馬車の後ろに放り込み、藁で隠すと、帽子を目深にかぶって御者台につき、驢馬に鞭をくれた。
帽子男 @alkali_acid
「ふん。伯爵家なんぞ田舎貴族の目の届かん都会まで出れば追いついてこれもんか、”町の空気は自由に”だ。分かるか?都会に入り込めば俺は助かるんだ」
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コメント

ikazuchiboy @ikazuchizoku 2019年1月24日
TDNはエルフだったら許されていた…?
鹿目久憲(しか) @0sika0 2019年1月28日
題名が最近のラノベだけど、童話みたいで、心がとても幸せになるお話。
田中 @suckminesuck 2019年1月28日
異世界おじさん好きです
hatikaduki @hatikaduki 2019年2月5日
登場人物が多くて七リーグ靴が出てくるのでDWJのハウルっぽいですけど、純朴な男の子の冒険譚というあたりはロイド・アリグザンダーっぽさも感じますね。
むつぎはじめ @Six_D 2019年2月6日
最近この方面で高名になっており嬉しい