訓令戦術について

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名無し整備兵 @seibihei

さて、訓令戦術について少し語ってみようか。指揮についてのまとめで気になった部分を中心に

2011-04-23 01:30:56
名無し整備兵 @seibihei

訓令戦術(Auftragstaktik)は別に特別なものではない。米軍が採用したとして注目されてはいるが、その元はプロイセン・ドイツであり、思想自体はメッケルを通じて日本にも輸入されている

2011-04-23 01:32:46
名無し整備兵 @seibihei

それは某社的には「与えられた任務を誤りなく理解し、その達成のための手段は実施者の裁量による」というところか。しかし疑問を懐く人もいるだろう

2011-04-23 01:39:03
名無し整備兵 @seibihei

「指揮下部隊に示す命令には、一点の疑義も生ぜしめぬように・・・」といわれる事がある。確かにその通り。任務分析は重要だが、分析しないと出てこない企図を示されても、はっきり言って困る

2011-04-23 01:40:46
名無し整備兵 @seibihei

とはいえ、「どこまで『はっきり示す』か」は、部隊の規模や能力によって変わってくる。一令一動は個人か少人数レベルにしか通用しない。部隊が大きくなり、能力の幅が広くなるにつれ、命令で与える幅も広くならなければならない。そうでなければ、せっかくの部隊の指揮能力を殺す事になる。

2011-04-23 01:43:22
名無し整備兵 @seibihei

任務に幅と深さを与えられていれば、目的に照らしてより積極的に任務を遂行できるし、また不利な場合でも最小限必要な目標を確保できるよう動く事ができるだろう。状況を事細かに把握して、それに応じた行動を選択できるのは、その現場で行動している実働部隊だけである

2011-04-23 01:48:23
名無し整備兵 @seibihei

これを上級部隊で掌握して統制しようとすれば、タイムラグと伝言ゲームで大混乱になる。マイクロマネジメントは霧と摩擦の前には無力だ

2011-04-23 01:49:41
名無し整備兵 @seibihei

さて、「目的を明らかにし」という文言が出てくることがある。しかしこれはどうだろうか。

2011-04-23 01:55:40
名無し整備兵 @seibihei

ここから先は某社の思考過程を離れる。

2011-04-23 01:58:59
名無し整備兵 @seibihei

確かに与える任務に幅と深さを持たせることは必要だ。しかしそれは目的が明らかであればこその話。目的まで解釈しなければならないような命令が出ているのであれば、それは命令を出した方がどうかしていると思うべきだろう。よくある話ではあるが

2011-04-23 02:00:19
名無し整備兵 @seibihei

逆に、具体的に達成すべき目標は明らかでなくていい。こちらは目的に照らして下級部隊に決定させればいい。目的はできる限り明示する必要がある。

2011-04-23 02:04:28
名無し整備兵 @seibihei

米海兵隊では、この「目的」は「敵にどんな影響を与えるか」を基準として考える。例えば「○○地域に所在する敵の撃滅」が目的となるだろう。この目的を具体化し、「敵を撃滅するためには、○○山に向かって攻撃すればいい」と判断して、目標を「○○山の奪取」とするのが任務分析だ

2011-04-23 02:08:47
名無し整備兵 @seibihei

任務分析で明らかにする項目は4W1Hになる。WHYは目的として示されるのだから、本来解釈する必要は無い。幅と深さを考慮する必要はあるだろうが。

2011-04-23 02:11:01
名無し整備兵 @seibihei

某社の任務分析で「目的を明らかにする」というのは、元々は「幅と深さの明確化」だったのだろう。それが丸投げに都合良く解釈されているのは何か経緯があるのだろうか

2011-04-23 02:15:12
名無し整備兵 @seibihei

目的を明示し、実施要領は実行部隊に任せる訓令戦術には、「実情に即応した行動が行える」「指揮下部隊・隊員のやる気を振作する」というメリットがある。しかし、もちろん良い面ばかりではない

2011-04-23 02:18:35
名無し整備兵 @seibihei

最大の問題は、「間違いの発生を防げない」というところだ。どれだけ明確に目的を示したつもりでも、伝言ゲームは必ず発生する。また指揮下部隊の指揮官の能力のばらつきにも左右される

2011-04-23 02:20:21
名無し整備兵 @seibihei

「決められたことを間違いなく実行する」のであれば、マイクロマネジメントの方が向いているだろう。それが現代戦に相応しいかどうかはともかく

2011-04-23 02:21:50
名無し整備兵 @seibihei

したがって訓令戦術は、ある程度以上に訓練が行き届いた部隊でないと使いこなせない。逆に言うと、訓令戦術に適応するため各級指揮官に期待される能力は高くならざるを得ない

2011-04-23 02:26:13
名無し整備兵 @seibihei

(まさにそれが理由で、我が社の中の人たちはマイクロマネジメントが大好きなのかもしれないが)

2011-04-23 02:27:22
名無し整備兵 @seibihei

この問題の解決法は大きく分けて2つある。一つは(特に幹部の)教育訓練の徹底により、有能な指揮官を確保する事。

2011-04-23 02:28:57
名無し整備兵 @seibihei

もう一つは、こちらの方が困難かもしれないが、「部下を信頼する事」。訓令戦術とは、「目的を明示して実行を任せてやれば、その目的の為に邁進してくれる」という信頼があるからこそ成立する

2011-04-23 02:30:30
名無し整備兵 @seibihei

逆に「こうは言ったけれど、ちゃんと実施してくれるだろうか。抜け漏れがあるんじゃないか」と心配して、事細かに干渉するようであれば、訓令戦術は機能しない。そして部下は指示待ちで動かなくなる

2011-04-23 02:32:16
名無し整備兵 @seibihei

間違いが発生する事を織り込み済みで、「実行を任せる」信頼関係が無いと、訓令戦術は骨抜きになる。これは、特に平時の行政的な業務で起りがちだ。そしてその感覚を戦場に持ち込むとどうなることやら。

2011-04-23 02:36:26
名無し整備兵 @seibihei

実行の監督も大事である。ただし、その監督は「目的に沿っているか否か」が判断基準になる。場合によっては、命令で与えていない行動も、目的達成に必要であって実行していることもあるだろう。そこを勘違いして「命令ではこうだ」と縛るのは本末転倒

2011-04-23 02:40:48
名無し整備兵 @seibihei

米海兵隊は、ベトナムの敗戦の反省で「訓令戦術」とそれを実施できる質の高い将校の育成に努力し、現在に至る。さて、某社はどうなのだろうか。「敗戦」を経験するまで変わらないのだろうか。

2011-04-23 02:47:01