白エルフの夜這者のはなし

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帽子男 @alkali_acid

さておさまらないのはデイラの方。目覚めてみると全身に歯を立てたり、つねったり、叩いた跡があり、荒淫の余韻で巨躯の芯が火照る。熱のあとには寒けがして指を股にやると白濁がしたたる。

2018-09-30 00:33:15
帽子男 @alkali_acid

歯ぎしりしながら斧をかついで村へ戻ると、男達をひとりひとりにらみつける。皆唖然とするが何のことやら分からない。 女樵も詳しくは話さない。疑心暗鬼に駆られるが、答えは出ない。川下へ出かけている夫への申し訳なさと悔しさに額には血管が浮いて一睡もできない。夜は斧を側において空をにらむ。

2018-09-30 00:35:57
帽子男 @alkali_acid

だが人間いつまでも起きてはいられない。眠りが足りねば伐採にも支障が生じる。 とうとう三日目にまたうつらうつらし、やがて寝入ってしまう。朝になって起きると、狼の敷物のうえに倒れて、また歯型に玩弄の跡、面白半分に茂みまでむしられている。やはり注がれた雄の精。

2018-09-30 00:37:59
帽子男 @alkali_acid

デイラは次第に半狂乱になる。どうあっても不埒者の正体はつかめない。剛力自慢だった四肢は女をおもちゃにするのに慣れた男の手で感じやすくなりつつある。何もかもが腹立たしく涙が出そうになる。

2018-09-30 00:39:36
帽子男 @alkali_acid

あえて身を犠牲にしようと思い立ち、酒をあおって眠ったふりをする。 空いびきをかいていると、そっと近づく気配。忍び笑い。 うおっと跳ね起きたデイラは、斧を掴んで振り回すが、向こうは風のごとく消えている。しかし血の跡が。松明をとると、裸も同然の格好で追いかける。

2018-09-30 00:42:28
帽子男 @alkali_acid

肌が傷つくのもかまわず、藪を突き破って、突進していくといきなり足が罠にかかる。とっさに身を傷つけぬよう斧を放り出して、両手をすくとそれも罠。罠猟師のしかけが移してあるのだ。捕えた獲物を傷つけぬよう、しかし外れぬよう作り変えて。

2018-09-30 00:44:16
帽子男 @alkali_acid

「ちくしょう!」 力を籠めると鋳鉄がきしみ、いやな音を立てる。だがさしものデイラも、四つの罠から外せはしない。犬這いのような恰好で、罵りを迸らせようとする樵。しかし耳元でしっと制止する声。 「無茶をするな」 「お前は!」 「仲間と離れて森のそばに住むものじゃないと教わらなかったか」

2018-09-30 00:47:33
帽子男 @alkali_acid

「畜生!妖怪め!エルフめ!」 「わめくなよ。血の匂いをかぎつけて狼が来てる。ここを探し当てるぞ」 遠吠えがする。ずいぶん前にこのあたりの狼は殺したはずなのに。 「仇を討ちたいのかもな。仲間を殺した人間に」 「なんだとぉ!」 「猟師の罠にかかったまぬけな樵はおあつらえむきだ」

2018-09-30 00:49:45
帽子男 @alkali_acid

「この!いますぐ離しな!」 「しっ…大きな声を出すなって…こんな死に方は笑いものだ。ヲカシンも恥をかく」 「…あの人の!お前なんだい」 「俺が守ってやるよ。お代を払えばな」 「よくも…」 また遠吠え。

2018-09-30 00:51:38
帽子男 @alkali_acid

目の前に妖精の若者。手には真銀の短剣をもてあそんでいる。美しいがうすきみわるい。樵はただ憎々しげに睨んだ。 「どうする?」 「ぐう…お代ってのを言ってみな!」 「ただの遊びさ」 アンノールは服を脱ぎ、裸になって蹲踞し、首を伸ばして、四つん這いのデイラを覗き込み、髪を掴む。

2018-09-30 00:54:10
帽子男 @alkali_acid

「歯を立てるなよ。狼はそこまで来てる」 デイラは視線だけで刺し殺せればそうしているという上目遣いをしながら、異種の若者がつきつけてくる屹立に唇をあて、やがて後頭部を押す手に負けて喉奥まで咥え込んだ。

2018-09-30 00:55:58
帽子男 @alkali_acid

妖精の悪党は、淫らな笑みを浮かべて見下ろしながら、歯を食いしばって星々を見上げると、思い出したようにほっそりしたしかし筋肉質の片腕をもたげ、いきなり持っていた短剣をなげうった。離れたところで獣の悲鳴が聞こえる。

2018-09-30 00:57:26
帽子男 @alkali_acid

「まだいるぜ…五頭ぐらいな」 「…んむっ…んっ…んっ…」 「はやくしてくれないと、短剣をとりにいけない」 「んぅっ…!」 「へただな…いいか…そら…こぼすなよ」

2018-09-30 00:58:57
帽子男 @alkali_acid

欲望を吐き出すと、エルフはするりと闇に消える。またどこかで狼の断末魔の叫びが上がる。 暗がりからずるずると頭を割られた毛皮の躯をひきずって夜這い者が戻ってくる。 「重いもんだな…そら」 目の前に獣の屍をほうる。

2018-09-30 01:00:42
帽子男 @alkali_acid

刃についた血をなめながら、アンノールはまた嗤う。 「夜は長い。こいつらもあきらめる気はない。もう少し遊ぶか」 「この…悪党…!」 「口は別の使い方をしてくれよ。今度はもっと上手にさ、人間」

2018-09-30 01:03:00
帽子男 @alkali_acid

一月してヲカシンがたっぷりの実入りと、妻への贈り物をもって帰ってきたとき、デイラは何も言わずに抱き着いた。 「どうしたんだ」 「何も…聞かないどくれ」 「でもな…俺にできることがあるなら」 「ないんだよ…それにもう終わったから」 「…デイラ」 「ヲカシン…ヲカシン…」 「おい…ちょっ」

2018-09-30 01:06:11
帽子男 @alkali_acid

大女はのっぽの夫を真新しい狼の敷物に押し倒し、服を引き裂くように剥いでまたがると、狂おしくつながり、乱れに乱れた。 「好き…好き…あんたが好き…あんただけを好きだから…!!」 「ああ…俺もだデイラ…俺も…ぉっ…」 「ぅう…ぅぁああ!!」

2018-09-30 01:07:50
帽子男 @alkali_acid

以前にもまして夫にべったりになった妻はほどなくして子宝を授かる。すこやかな女の子が産まれる。もちろん妖精には似ていない。異種の契りはそうたやすく混血を結ばないのだ。

2018-09-30 01:09:20
帽子男 @alkali_acid

アンノールは二度と樵の村を訪れなかった。一度落とした獲物を何度も転がすのにさほど執着はない。だいたい、しょせん人間など射貫くにたやすい的だ。 「やっぱりエルフの方が面白いな」 ふと立ち寄った同族の村で、見かけるは小さな弟子をもてあます魔導師。豊満な胸や尻、くびれた腰が気をそそる。

2018-09-30 01:12:22
帽子男 @alkali_acid

悪党の眼がまたきらりと光を放った。

2018-09-30 01:12:39
デロいち @dero_ichi

エルフの白魔導士 魔導師 ミュゼ 大魔導師 メリン かけだし魔導士 ニム 運動不足 pic.twitter.com/BhgxRViFjO

2018-01-14 23:26:15
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エルフの奥方をナイトクロール

帽子男 @alkali_acid

消えた少年エルフの母たる奥方は嘆くのをやめられない。 「夫はオークにまつわる不吉な予言を調べるため、西方への旅に出て帰らない。せめてここにいてあの子を探してくれたら」 同情するように話を聞く赤髪の流れもの。 そうかそうか大変だとそっと身を寄せ、こっそり鍵を蝋板に押し付ける。

2019-05-02 16:46:37
帽子男 @alkali_acid

型をとった鍵を作らせようとコボルドの知り合いに。 「ドワーフでもなきゃ作れんぜ」 「いねえのかよ」 「堕落したドワーフのお供をしてる知り合いがいる。まだガキだそうだが腕は確かだと」 「なんでもいいよ」 酒をおごってうんと言わせる。

2019-05-02 16:48:11