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まとめ エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~5世代目・前編~ 絶対に…もういいって言わせるからよ ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜トールキンネタトークにでもどうぞ。 6280 pv 21
デロいち @dero_ichi
マーリとオズロウ 影の国の太守と世継ぎ 傴僂の王と盲目の王子 #えるどれ 「おとーはん ええにおいや!」 pic.twitter.com/KUjIyUJ8w4
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帽子男 @alkali_acid
この物語は、かわいいエルフの奴隷を代々受け継ぐ家系についてのもの。 何もせず、ただそういう家に生まれただけで、耳の尖ったきれいなお姉さんが尽してくれる。 うはうはエロエロうらやまファンタジーである。 しかも最近、耳の尖ったきれいなお兄さんまでゲットした。 ハーフエルフだけど。
デロいち @dero_ichi
敗北、半妖精のロンド― 暗殺失敗の末にくっ殺 #えるどれ pic.twitter.com/q0IuOucfam
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帽子男 @alkali_acid
半妖精の美人なお兄さんの名前はロンドー。 宵の訪れとともに濃さを増す影のような黒髪に、薄暮の灰色の双眸。 凝乳の如く白く滑らかな肌。反身の剣を思わせるすらりとした背。 半分は人間とは言っても、気品においても武勇において博識においても魔法の奥深さにおいても純血の同胞を凌ぐ。
帽子男 @alkali_acid
西の善き神々に従い東の悪しきものどもを打ち滅ぼす光の軍勢の将のひとりであり、妖精郷のひとつ深き谷を統べる領主でもある。 神々の長上たる風の男神の加護厚く、東西南北すべての風の息吹を封じた黄玉を額飾りとして帯びる。故にかまたの名を風の司。 森の妃騎士たるダリューテに並ぶSSRですわ。
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しかしロンドーはなぜか精鋭ぞろいである深き谷の妖精騎士団を伴わず、単身、あたりの景色に溶け込む魔法の衣だけを隠れ蓑をまとって、仇敵たる闇の軍勢の本拠、影の国に潜入。太守である黒の乗り手の命を狙うも、暗殺は失敗。捕虜となってしまった。
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しかも黒の乗り手の世継ぎにして、男のにおいを好む盲目の童児、オズロウが噂を聞きつけたのだ。 捕われの美丈夫、そこへ迫る邪悪な少年。 何も起きないはずがなく…。
帽子男 @alkali_acid
ロンドーが目を覚ますと、あたりは黴くさく濡れた地下牢、ではなく、清潔な寝台だった。南方の荒織でできた布団に寝かされていた。 あたりは明るい。晴れた春の終わりの野原で昼下がりに注ぐ柔らかで暖かな陽射しを和らげたよう。だがここは季節とて定かならぬ影の国のはず。
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頭上を仰ぐと光の源は天井に生えた結晶だった。 小人が築いた山の下の王国だけが持っていたという太陽の光と熱を岩壁の内側に取り込む工芸の粋。 起きて、毛皮を敷いた床に降りる。わずかに丸みを帯びた周囲の壁をうかがう。岩のような漆喰のような謎めいた質感。
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妖精の目でじっと見つめると細かな魚や貝や亀や珊瑚や波や雲の彫刻を施し、さらに上から半透明な素材を填めてあるのが解った。魅入っていると、波の音さえ聞こえてきそうだった。 目を逸らして、別の一面を見ると、身の丈ほどもある窓がついている。透き通った玻璃がはまっている。
帽子男 @alkali_acid
指で触れると艶やかだ、切り立った山の景色が望める。だが場所がどこかは解らない。室内にいるものに窮屈さは感じさせないが、かといって脱出の手がかりは与えない趣向。そっと手を滑らすと、何かの皮膜らしき滑らかな帳が下せる。 「…これが…影の国の牢獄だと…?」
帽子男 @alkali_acid
花と竜の浮彫を施した樫の扉の外から金具を打つ音がする。 半妖精は振り返り、ひと呼吸を置いてから穏やかに告げた。 「お入り下さい」 すると戸を開いて、小柄な客が入ってくる。 暗い膚に尖った耳、整った目鼻立ち。双眸は焦点を合わさず、すぐに見えていないのだと知れる。まだ幼い。
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「はじめまして!ワテ、オズロウ。おにーはんのごはんもってきたんよ」 勢いよく喋る少年に、美丈夫はかすかに眉をひそめてから、小さく頷いた。だがいかに返事したものか言いよどむ。 あどけない口元から人間の西方語と東夷の言葉、エルフ語にドワーフ語、暗黒語までがちゃんぽんで飛び出していた。
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口ごもっているとオズロウという子供は重ねて話しかけて来る。 「おにーはんなんて名前なん?」 「呼び名は人と所によって変わりますが、気に入っているのはアキハヤテ」 「アキハヤテ!かっこええ!ええ響きやわー。よろしゅう!アキハヤテはん」
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少年は、寝台のそばの小卓に持ってきた盆の中身を並べる。 西方ではあまり目にしない流麗な絵つけのある硬質な光沢を持つ焼きものの器に、焼き菓子やひと干しした果実、炒った椎実と荒麦を浮かべた羹などがきれいに盛り付けてある。 「ほなごはんね…匙と…串も使う?」
帽子男 @alkali_acid
「ありがとう。でもお腹は減っていません」 「えーなんでなん。病気のあとはお腹減るもんやで。ワテはもーすぐぺこぺこになるし…あー仙女はんのお菓子うまそ…ちょこっともろてええ?」 「どうぞ」 ぽりぽりとつまみ食いをする少年を、齢を知らぬ美丈夫はじっと眺める。 「ほんまに食べへんの?」
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ロンドーはあらためて皿の中身をのぞく。明らかに妖精の行糧というか陣中食に近い。 「せっかく仙女はんがおにーはん、アキハヤテはんのためにこしらえたんよ。ええにおいするし、甘かったり、すっぱかったり、すきーっとしたり、もーむちゃうまいで」 「では…一口いただきましょうか」
帽子男 @alkali_acid
虜囚は串と匙を上手に使って少しずつ料理の味を試した。 「とてもおいしいですね。作られた仙女とはどのような方ですか」 「仙女はん?ええにおいのする庭におる、ええにおいのおねーはん。ワテと仲良いで!あ、そーいえばアキハヤテはんと、よう似たにおいや」 「似たにおいですか」 「せや」
帽子男 @alkali_acid
「夏のな。朝はやくな。まだ全部咲いとらん野薔薇の花ん中にたまっとる露をぺろって舐めて、ほんで鼻んとこついたときのにおい!」 「野薔薇…影の国に野薔薇が咲くのですね」 「仙女はんのお庭なら咲くで!ワテ案内する!アキハヤテはん一緒いかへん?な?」 「…とても嬉しい申し出ですが…」
帽子男 @alkali_acid
だしぬけにオズロウは飛び上がり、扉の方を眺めやる。 「あかん。おとーはん来よる」 遅れてロンドーの尖り耳もはるか回廊の向こうからびっこを引くようなかすかな足音を聞き取る。 「またあとで!ごはん、ワテが持ってきたの言わんといて!」
帽子男 @alkali_acid
ぴゅっと暗い膚の少年は姿を消した。目が見えないとは思えない、鼠のようなすばしっこさだった。 ちな戸に錠はかかっていない。半妖精は近づいて把手を掴み、少し考えてから自ら閉めた。 しばらくして、また金具を打つ音がする。先程のように忙しくない。 ゆっくりと間隔をあけて二度。
帽子男 @alkali_acid
「お入り下さい」 傴僂の青年が入ってくる。先程消えた童児とよく似た容姿。見間違えるはずはない。影の国を統べる黒の乗り手本人だ。命を狙った刺客のもとへ、護衛も連れず現れたのだ。肩に止まった白い蝙蝠だけが供だ。 「あらためて名乗っておこう。予はマーリ。黒の鍛え手なり」
帽子男 @alkali_acid
半妖精は目を伏せて答えなかった。 「そなたが名乗りを返さずとも、我が受け接ぎし記憶が教える。深き谷の領主、風の司にして光の軍将ロンドーであろう」 魔人はさほど力も籠めず言い当ててから、静かに語句を継ぐ。 「腰をおろすがよい。そなたはまだ呪歌の余韻から立ち直っていまい」
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コメント

よーぐる @Seto_yasu1987 2019年10月15日
話が進むにつれて人なる身でダリューテを捕らえたバンダの格が上がるなあ