10周年のSPコンテンツ!
13

前回の話

ツイートまとめ エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~5世代目・後編5~ 後編…後編とは何だったのか。 ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜トールキンネタトークにでもどうぞ。 3792 pv 11 1 user

以下本編

帽子男 @alkali_acid
◆◆◆◆ この物語は、エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系のウハウハご都合ドスケベファンタジーです。 今は五代目、盲目の船長オズロウ。世界中のいい匂いといい男を求めて海を押し渡り、ついに暑き香料の地に到達。地元でちょっとだけひと悶着ありましたが、無事また船出と相成りました。
帽子男 @alkali_acid
港はすでに恐怖の大王が掌握していたが、混乱はなかった。 だが戦慄と不安が横溢していた。 遠地からやってきた大王の役人が、流れものの装いを脱ぎ捨て、いつの間に運んだのか漆黒の衣をまとい、すべてを見張っていた。 沖仲仕から魚干し女まで、四つの身分を捨てる誓いを立てさせられていた。
帽子男 @alkali_acid
浜辺の神殿は開かれ、奴隷であっても出入りは自由となっていた。 礼拝の時間をそれぞれの身分が微妙にずらして顔を合わせぬようにしていたが、ある程度の目こぼしはある。 だが公衆の面前で下の身分を避けたり、店への出入りを拒んだりすれば即座に鞭打ちの罰があった。
帽子男 @alkali_acid
一介の触れえざる民を装う大王の手先が、囮となって新たな法、悪魔の法を守るかどうかを調べていた。一方で辻々で大王の息のかかった説法家が、巧みに隠した新しき教えを述べ立てていた。 地元の訛りで、それぞれの身分に合わせ、これまでの貢(みつぎ)への不満と生計にまつわる不満を煽るように。
帽子男 @alkali_acid
新たな暮らしの希望を語るように。 それから銀貨だ。 大王の銀貨があふれていた。町中に。銅貨も。 藩侯の認めた古い通貨、できの良くない貨幣は一掃されようとしていた。 たった三十日で。 さらに弓馬の民の国から船が何隻も積み荷を乗せ到着していた。 遊牧の異人は大王とは盟を結んでいるらしい。
帽子男 @alkali_acid
「恐怖の大王はとっくにこの藩国を手に入れとったんや。内情を調べ尽くし、随所に人を送り込んどった。あの戦は最後の仕上げに過ぎんかった。ウチらがのんびり眺めとる裏では、どんどん侵略が進んどったんや」
帽子男 @alkali_acid
はるか西の精霊の半島の出身、三日月の民たる香料商ディヴァは舌を巻いていた。手にした銀貨を指ではねあげては受け止めながら。 「この国を治めとった武人の一族は、慈悲深かったが、身分の下のもんの中に入り込んだ間者をまるで把握しとらんかった」
帽子男 @alkali_acid
「藩侯が病で臥せってたせいもあるやろ。若い侯子が名代で、周りは同じ年頃の親族で固めとった。もっと腹芸のでける年寄りをうっとうしがって遠ざけとったのかもしれん。そこまで抑えたうえで攻め取ったんなら、もう見事言うしかないわ」
帽子男 @alkali_acid
かたわらで聞いていた義手の海賊アルトゥーセが無精髭を掻く。ここのところ剃刀を当てるのを怠っている。 「俺の元いた土地の、双子河の中州の大公よりやり手かもしれねえ」 「恐怖の大王は誰かと比べられるような男やない。今の世で最も恐ろしい男や。せやけど…商売相手としてはうまみが多そうや」
帽子男 @alkali_acid
巨大な弩を背負い、片側に眼帯をつけた女が配下を連れてやってくる。 「お前が王の香料商ディヴァか」 訛りはあるが流暢な交易語。葦の大河の国、安息の国、精霊の半島、曙の大地西岸の三日月の王国、奴隷王国でも通じる。 「ウチがディヴァや。よろしゅう大王の名代はん」 「あたしは海賊プラー」
帽子男 @alkali_acid
女の海賊と聞いてアルトゥーセことダボハゼはぎくりとする。 ディヴァはにこやかだ。 「海賊か。ウチらまじめな商人の天敵やわ。いっぺんも捕まったことないけどな」 「今は大王の海軍の将でもある。大王の国と取引する船は護ってやる」 「取引せんかったら?」 「皆殺しだ」 「ほなするわ」
帽子男 @alkali_acid
大王の名代は、薄く伸ばした銀の手形をよこす。 「銀は錆びよる。金がええな」 「大王の国は銀が豊かだ。うまく手入れするんだな。だがともかくこれでお前は大王の香料商だ。大いに稼げ。ただし奴隷を商ったら国元まで追ってかかわったものを皆殺しにする」 「ウチが商うのは香料だけや」
帽子男 @alkali_acid
「どうだかな…大王は世界の北西の阿修羅などと言うが、あたしはお前らこの南の海を分け合うとつくにびとの方が厄介だと思っている。特に精霊の半島や安息の国の連中は、おかしな教えを奉じているしな」 「ウチらの教えはよその国には迷惑かけん」 「今はな。魔法使いだそうだな」 「…何の話やろ?」
帽子男 @alkali_acid
「ごまかすな。船を見れば解る。船長のほかは乗員もなしに動く船がほかにあるか。しかも尋常ならざる船足だ」 「ウチのことよう知っとるようや」 「調べたんだよ。髭も生えん子供のころから船長として七つの海を渡ってきたらしいな」 「そっちこそ魔法使いがおるやろ」 「いいや。羅刹がいるのさ」
帽子男 @alkali_acid
「そらたいしたもんや。恐怖の大王は悪鬼羅刹まで従える。まさに地上最強やな…せやけど、大王がおらななったらどないすんのや」 「はっ。大王様は永遠だ」 「永遠に生きる人間などおらん。精霊に体を譲ったかて、いつかは朽ちよる。まして大王は誰かに自分の体を渡すような男やない」 「…ふっ」
帽子男 @alkali_acid
プラーの傷の入った顔が凄味のある笑みを浮かべると、肩から弩をおろした。 もちろん矢は番えていないが、鈍器としても凶悪そうだ。 「聞いてどうする?」 「ただの興味や」 「そうか。答えてやろう。新たな大王を選ぶ。選びの祭りがあり、それぞれ名高い将や顔役、組合頭が大王に名乗りを上げる」
帽子男 @alkali_acid
「ほー選びの祭り。そら血筋に頼らんで王を決めるには悪くない手かもしれん。じぶんら法を壊す言う割には新しくこさえた法に厳しい。うまくいくやろ…せやけど…ウチが聞いたのはそういうことやない」
帽子男 @alkali_acid
ディヴァはいきなり地元の触れえざる民の言葉に切り替える。 「今の恐怖の大王の武と胆。あれがのうなったらどないして国をまとめよる」 「ふん。よそもののお前が大王様を語るか」 「ええ男や。ウチがおうた中でも一、二を争うええ男。それ以上は知らん。けどじぶんが大王に惚れ込んどるのは解るで」
帽子男 @alkali_acid
強面の海賊が一瞬硬直したちまち面差しの血色を増した。 「ほ、ほざけ」 「申し訳ない。ウチも品がいい方やない。好いた惚れたの話はすぐ口から出てまうんや…まだ大王は妃は迎えとらんの?」 「大王様はあたしら全員の兄貴だ!!!!」 「あらー。そら兄と妹はよう結ばれんなー」
帽子男 @alkali_acid
プラーの後背にいる荒くれたちが一瞬にやりとするが、噴き出したものはいなかった。 「こ、この…」 「重ね重ね申し訳ない。ほな、商売の話や」 「…待て、お前、取り消せ」 「何や?兄と妹が結ばれんちゅう話か?新しい法でもそこは変わらんのちゃうか?」 「…ち、違う」
帽子男 @alkali_acid
「あんたらが大王に心底惚れ込んどるちゅう話か?ウチかてええ男と思うのや。同じ旗の下におるじぶんらが惚れ込むのは当たり前ちゃうんか」 「違う!」 「なら何や」 「…ぐう…み、皆殺しにしてやる!!」 「理由も解らんで殺されたないわ。大王かてそういう殺しは好かんやろ」
帽子男 @alkali_acid
歯ぎしりした海賊はいきなりとなりにいた副官の肩を叩いた。 「おい!ここは任せたぞ!!この馬鹿が大王様を侮辱したら遠慮なく叩き殺せ!」 「…お頭?」 「もう手形は渡した!あたしはほかの船の検めに回る!」
残りを読む(451)

コメント

スゥ。ニャオロン(似鳥龍オルニトミムス) @_2weet_sue 1日前
料理の「鉄人」アンググwそらそーやゎとしかwww