日向倶楽部世界旅行編第66話「実力VS策略」

決勝トーナメント一回戦第五試合、機動力に長けたハイドロチームは、最上たちに策を持って立ち向かう。ハイドロチームの策に対し、最上たちはどう戦うのか…?
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三隈グループ @Mikuma_company

予想外のキレ方にハイドロチームの二人は困惑する。 「は?いやオレ達は今日初めてお前達を襲うんだが」 「いや待てバトラー、アタシ達の前の前くらいにギガント兄弟が仕掛けてたはず…」 そう、最上達にとってハイドロ団といえば、香港で日向にハニートラップを仕掛けた連中の事なのだ。

2018-10-17 21:37:10
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「日向さんに変わって叩きのめしてやるからな、覚悟しろ!」 怒り心頭の最上、ハイドロチームは完全にペースを乱されてしまった。 「おいオレ達誤解されてるぞ!これじゃあどう転んでも締まらねえ!」 「仕方ないだろ、どの道やり合うんだ、怒らせた分都合がいい!」

2018-10-17 21:38:21
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そんなこんなでグズグズになり、通信は切れた。 「…最上、あいつら何?」 背景を知らずに一連の会話を聞いていた足柄は、当然としか言えない言葉を吐く。それに対し最上は、間を置かずに答えた。 「女の敵です!」 「んー…?」 盛大な誤解とすれ違いの中、因縁の対決が始まった。

2018-10-17 21:39:39
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先に仕掛けたのは、ハイドロチームのボゥズ・バトラーであった。 「よし、行ってこい!」 彼は何処からともなく無数の艦載機を射出し、最上達の方へと放った。ドローンの様に複数のプロペラがついたそれらは、統率の取れた動きで空を飛ぶ。 「まずは様子見だぜ…!」

2018-10-17 21:41:13
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その数は艦娘という視点から見ても非常に多い、とにかく多い。最上達は放たれたそれを確認し、肩を竦めて言った。 「航空戦は厳しそうね」 「ですねぇ」 私情はさておいて、最上は既に冷静だ。バトラーが艦載機を主体としているのは既に予習済み、二人は特に動じない。

2018-10-17 21:42:32
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「予定通り距離を詰めるわ、準備は良い?」 足柄は艤装を操作しつつ問う、最上の答えはもちろん、イエス。 「ええ、カバーは任して下さいよ」 その答えに、足柄は口角を上げて微笑む。 「フフッ、期待してるわ…!」 そう言って微笑みに楽しさを滲ませつつ、彼女は爪の付いた主砲を交差させる。

2018-10-17 21:43:56
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そして艤装を操作し、姿勢を低くした! 「じゃあ、行くわよ…!」 足柄はグッと力を込める。 その瞬間!彼女の飛翔機構「アポロ∞」から光が漏れ出す!アポロ∞は本来、短時間の飛翔を可能とする装備。だが艦娘が空を飛びたくなる状況は、そう頻繁に訪れる事ではない。 だから!

2018-10-17 21:45:46
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「さあここで足柄が加速!凄まじいスピードだァァッ!」 水平方向への出力強化にも、対応させている!空気抵抗を減らす姿勢の足柄は、空すら飛べるアポロ∞の出力を全身に受け、弾丸の様な速度で前へ進んで行く! 「一瞬で良い、一瞬…それで十分…!」

2018-10-17 21:46:51
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当然、それは本来艦娘が出し得ない圧倒的速度、しかし姿勢制御に集中すれば、足柄はこれを乗りこなせる! 素晴らしい速度で駆ける足柄、当然これにはハイドロチームもビビる! 「速い…!だが慌てる必要はない、オレの陣形で迎え撃たせてもらう!」 バトラーは艦載機を操り、迎撃に向かわせる!

2018-10-17 21:48:08
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駆ける足柄、迫る艦載機! 「来たわね…!」 彼女は前方からのそれを確認すると、ほんの少し姿勢を変え、遅くなった世界の中で軌道を調整する!先程まで弾丸の様に突き進んでいた足柄は一転、蛇の様な変速軌道を描き始める! 彼女はその状態で、バトラーの艦載機群へ突っ込んだ!

2018-10-17 21:49:42
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「自分から来たとは自信があるらしいな、丁重にもてなしてやろうッ!」 バトラーは数珠を手元で弄り、艦載機を使役する。この数珠はコントローラーの役割を果たす、持つ球を変えることで様々な陣形を成すのだ! 彼は包囲・迎撃・殲滅に適した陣形で、艦載機に足柄を取り囲ませた!

2018-10-17 21:51:00
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無数の目の様に、大量の艦載機が足柄を睨む!並みの艦娘なら死すら覚悟する状況で攻撃が開始される! しかし! 「フフッ、甘いのよ…それは!」 足柄は圧倒的な速度を維持したまま姿勢を変え、その攻撃に立ち向かう!身体を捻り、腰を落とし、回転を加え、攻撃を避ける、避ける、避ける!

2018-10-17 21:52:18
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「さあバトラーの艦載機群が足柄を襲うが足柄、これに全く当たりません!どうなっているんだァァッ!」 モニターに映された足柄の回避運動に、スタジアムは大いに湧き上がる! 俊敏に避け、時折対空射撃を行うその姿は、熟練の艦娘を100人集めてもお目にかかれない達人の業前だ!

2018-10-17 21:53:45
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「あんな動きが…あんなのが出来るのか、あの艦娘は!」 攻撃がまるで当たらず、それでいて艦載機は消耗、バトラーは思わず息を呑む。そんな彼に、ダイダリアが通信を送る。 「バトラー、近くに入るか?」 「いや、どうにかする!ダイダリア、お前は本命だ、狙いを定めろ!」

2018-10-17 21:55:24
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バトラーはそう言い切ると、自身の乗るサーフボード型艤装を操り、足柄との位置関係を調節する。 「もう一人の動向を把握したいが、奴を見ざるを得ん…!」 バトラーの艦載機包囲網はどんどん崩され、その中から足柄が今にも飛び出そうとしている、強獣が檻を砕かんとしている!

2018-10-17 21:56:35
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そしてそれは、すぐ訪れた! 「切れ目が見える…そこねッ!」 ほんの一瞬、艦載機の包囲網に突破口が見えた!足柄は弧を描き、攻撃を回避しながら加速!その突破口をブチ抜いた! 「さあ足柄がボゥズ・バトラーに迫ります!たった一人、艦載機もない状態で突破、まさに掟破りだ!」

2018-10-17 21:57:53
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足柄はサーフボードに乗った仏僧、ボゥズ・バトラーを視界に捉える。しかしその距離、迫ってはいるが遠い! 「クッ…力を前に戦略が破綻したか!なんて事だ!」 バトラーは迫り来る足柄を見て眉をひそめる。だが余裕はあった、慎重な位置どりが功を奏し、リカバリの効く状況ではあった。

2018-10-17 21:59:06
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最速仏僧を名乗るバトラーのサーフボード型艤装は、当然素晴らしい速度を出す事ができる。彼はその速度を利用し、足柄との距離を十分に保っていたのだ。 「間に合う…オレは最速の僧侶、速さで負けるわけにはいかん!」 彼は足柄から距離を離し、仕切り直すべく反転する。

2018-10-17 22:00:27
三隈グループ @Mikuma_company

しかし! 「逃げられると思ったかい?」 「…ッ!?」 バトラーに突如通信!それは最上の声、彼は動揺して一瞬動きが鈍る! そしてその一瞬の隙を突くように、彼に砲撃が命中した! 「ぐッ…!」 「足柄さんありがとうございます。おかげでこの通り…狙えますよ。」

2018-10-17 22:01:24
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バトラーは確かに、艦載機攻撃と慎重な位置どりにより、足柄との距離を保ち続けていた。 だが、位置に気を配っていたのは足柄も同じ!彼女は圧倒的な実力でバトラーに脅威を与え、彼の位置をコントロールしていたのだ。 そう、最上が奇襲を行える最高の位置に、彼を誘い込んでいたのだ!

2018-10-17 22:02:54
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そしてそれは成った!自身が戦況をコントロール出来ていると思い込んだバトラーは、最上の奇襲攻撃を受ける事となる!完全な奇襲は、彼に無視出来ぬ被弾を与えた! 「チッ…!守りを固める!」 だが彼も素人ではない、素早くサーフボード型艤装を外し、大盾として構えた!

2018-10-17 22:04:19
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盾となったサーフボードは最上の砲撃からバトラーを守る!頑丈、頑丈だ! 「なんだ、アレやたら硬いな…!」 瑞雲の鼓動を流した甲板を彷彿とさせる頑強さに、最上は少しばかり驚く。 「へっ、流石ハイドロ合金製、この程度ならダメージにもならないか!」

2018-10-17 22:05:36
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対するバトラーは満足げに言うと、徹底した防戦に移行、最上の攻撃から身を守る。 だが!サーフボード型艤装は彼の機動力を支えるもの、それを防御に使っている今、彼の速度は大きく低下している! それが意味するのは! 「ボディがガラ空きよッ!」 足柄が、迫る!

2018-10-17 22:06:54
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サーフボード型艤装は大盾、背後は無防備!足柄は最上と挟み撃ちの態勢を取り、ガラ空きとなったバトラーの背中に狙いを定める! が! 「…!」 彼女は何かに気付き、突如進路を転換!回避運動を付け加えた上で砲撃を行った!これが猶予となり、バトラーはギリギリ攻撃をかわす!

2018-10-17 22:08:07
三隈グループ @Mikuma_company

それと同時!海中から魚雷が飛び出し、爆発した!その場所は直前まで足柄が向かっていた場所、進路を変えなければ当たっていた場所だ! 「足柄さん!」 「平気よ、当たってないわ」 最上に余裕の表情を返すと、彼女は水面に目を向けて言った。

2018-10-17 22:09:47