ラブストーリーは突然に

はぐ🕊 @516hug

安田さんが私を掴んでた手を離した。『大倉来やんかったらよかったのに』それだけ言って、私たちから去っていった安田さんのその切なげな笑顔…私の脳裏にこびり付いて離れない。「安田さんの気持ちにもっと早く気付いてたら、なんか変わったのかな」2人で歩く帰り道に、そんな疑問が口から転がる。

はぐ🕊 @516hug

『なんで…そんな事』「安田さんにあんな顔させちゃ駄目だったから」「私鈍いから悪かったんだね。安田さんのことも、忠義くんのことも。」『違う俺のはお前が悪いんやなくてっ「バカだよねほんと。なんっも知らなかった。」無性に嫌気がさす。忠義くんは、私が信じよって思えた初めての人だったから。

はぐ🕊 @516hug

忠義くんと出会うまでに色々あって人間不信にもなって。でも忠義くんに出会って世界変わったと思った。「信じたいって思った」「この人に、恋してみたいって思った」『っ、』「支えたいって初めて思えたんだもん。」『っ〇〇？』タタッと踏み切りへと走った。私が渡ってすぐ、バーが締まって離れ離れ。

はぐ🕊 @516hug

「もうさー！辛いのやだからー！…辛い気持ちに私が誰かをさせるのもやだからー…バイバイだよ」ｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝ…という音に負けないよう、大きな声で伝えた。『待てって！そっち行くまでおれ絶対！どっか行くとか無し…』言葉を遮るように電車が通り、その間に忠義くんから見を隠すため物陰に隠れた

はぐ🕊 @516hug

電車が過ぎ去り、忠義くんがこっちに渡ってきて、私の名を呼んで、必死に探してる。私が隠れてる物陰を気付かず通り過ぎて、ずっと探してる。その声は…どんどん遠ざかっていった。「…これでい…」うずくまって…情けない声で泣く私は、ほんとに可愛くない。こんな時みんなならどうするの？

はぐ🕊 @516hug

「素直なれない…っ」こんな時真っ直ぐな女の子なら、ただひたすらに忠義くんを大好きなんだと強く言える女の子だったら、私ならここにいますとでも言って、自分の泣き顔を恥じらいもせず、忠義くんに見せて抱きしめてもらえるんだろな…「まだ好きなのに」ごめんね…私の心…ごめんね、私の初めての恋

はぐ🕊 @516hug

忠義くんとそうなってから、住む場所を変え数年が経った。バイトや派遣を転々として。知り合いが営むパン屋でしばらく住み込みで、お世話になる事になって、「いらっしゃいませ」朝早いけど、今まで経験した仕事の中で一番楽しいって感じてる。もう、忠義くんの事もほとんど忘れた、はず..だったのに。

はぐ🕊 @516hug

LINEも非表示にしたもん。「……もう使ってないよね」アイコン、数年間ずっと変わらないし。[〇〇ちゃん！今日ね！大量発注があったの、昼過ぎまで店閉じるから出来上がったら発注先に持って行ってくれるかな？]「あ、わかりました！」小さな、しがないパン屋だから大量発注となると店閉めなきゃなの。

はぐ🕊 @516hug

芸能人の人からとっても人気でもあるから、こうゆう大量発注も珍しくはないんだけど、私がこうゆう日にあたるのは初めて。[はい！！350個出来上がり！行先は…]「…え？待ってナミおばさん、今なんて」[なんとかってゆうアイドルさんだったかな！とりあえず東京ドームまで行って☺️]

はぐ🕊 @516hug

ナミおばさん…しっかりグループ名覚えててよね…って、何わたし。もう忘れたじゃん。もし相手があの人でも…関係ないじゃない。「行ってきます」ホカホカのパンのいい匂いを嗅ぎながら、私は車に乗り込んだ。ドームに着いてからはナミおばさんが描いた道通りに進んでくと…マネ「こちらです」「あ、」

はぐ🕊 @516hug

マネ「遠くまでありがとうございました、」「いえいえ、こちらこそありがとうございます、」マネ「僕も最近、そちらのパンを食べたんですけどめちゃくちゃ美味しかったです、さすが色んな美味しい店知ってる大倉さんは違うなあ」心臓が下に落ちた気分。「え？」マネ「？」誰って言った？聞き間違い？

はぐ🕊 @516hug

『あ！！ナミさん来たやろ！？』『むっちゃええ匂いする～！！がっちゃんどこ！？』すぐ近くから聞こえてきたその声に、ドクドクと鼓動が高まる。マネ「こっちです」おばさん、絶対届け先覚えてたでしょう？わざとだ。私を…『ナミさーんありがとう！』もう逃げられない、ね『………え、……〇〇…？』

はぐ🕊 @516hug

この人に名前を呼ばれただけで、泣きそうになるのはナゼ？『なんで…』足が固まって動けない。…のは、私だけじゃないのかな、忠義くんも同じ？だから入口のとこで立ちすくんだままなの？「…忠義く」それは、一瞬の出来事。『ほんまに〇〇？』気が付けば抱きしめられてた。…でも、<忠義何してるの？>

はぐ🕊 @516hug

<あなた、誰…>格好は完全にメイクさん。そして発言や表情から分かるのは今の忠義くんの、彼女さん。「古い、知り合いで、…すみません」<…>『っ、』期待した。…また私、しかしたらこれからがあるのかもって。なんでこんなに馬鹿なんだろう。蒼い期待なんてしていい事なんて無いのに。「失礼します」

はぐ🕊 @516hug

だれかあの人に伝えて、ほんとはまだ好きですって。私が嫌になるね。…そして…『〇〇、ちゃん…っ？』「安田さん」『なんでここに…』それは私が一番に知りたい。なんで全部一気に戻ってくるの？どうして何をどうすればいいってゆうの。あの日から私はずっと…。あの日を忘れられてなんか、なかった。

はぐ🕊 @516hug

「…安田さん、、、」『…元気にしとった…？』「はい」『そっか…。』安田さんは今幸せなんだろうか。あの時は私のせいで酷く傷付けてしまっただろうから…。『…時間ある？』「え？」『ライブ終わったら、会いたいねん…』これ連絡先。って電話番号書いて、渡された。「…でも、」『連絡する』

はぐ🕊 @516hug

それから半日経った頃の私と言えば、ソワソワしてて、安田さんから連絡が来そうな時間帯だ、ってちゃっかり意識もしてる。「はぁ」もうそろそろかな…。[〇〇ちゃん、これから出るんでしょ？暖かくして行きなさいね☺️]「ありがとう、ナミおばさん。」言った時だった。携帯の画面が光って「安田さん？」 pic.twitter.com/7iO3ctfLUu

拡大

はぐ🕊 @516hug

「えっ」時間が止まった気がした。いや、止まった。「……」忠義くん、LINE変わってなかったんだ、ってことにも、「今、から…」会いたいって言われたことにも。咄嗟に反応した指がトーク画面を開けてしまったから、既読にしてしまったし、返事を…と戸惑っているのに《ナミさんの店行けば、会える？》

はぐ🕊 @516hug

どうしよう、無理だよ、こんなカッコで…って思った時に気付く。「…………なんなの、私」忠義くんのこと、すっごい好きなままなんだって。だって私なりに安田さんに会うために恥ずかしくない格好を選んだのに、忠義くんってなると、こんなカッコで会えないって思った。「彼女いるのに無駄だって」

はぐ🕊 @516hug

どうしよう pic.twitter.com/GF1tACw4aM

拡大

はぐ🕊 @516hug

このままじゃ、二人ともこっちに来てしまう。先にどちらが来るの…安田さん？忠義くん？…わたしはどちらを望むの？…わからない。時計の針の音がやけに響く。そしてお店のドアが開いた。「っ」先に来たのは…

はぐ🕊 @516hug

「安田さん」『お待たせ。』ふわぁ、と笑って私の手を引いた。『乗って？』「お邪魔します、」『敬語～』「あ、（笑）」『あと章大って呼んでほしい』「どうして、？」『距離感縮めるチャンスやん。今。』サラっとそう言ったけど、私の心にはすごく刺さった言葉だった。章大が先で、よかったんだよね。

はぐ🕊 @516hug

だって忠義くん彼女いたよね、そうだよ彼女いるじゃん。『大倉とも会った？今日』運転しながら章大が聞いた。「……なんでわかるの？」『顔に書いてある』「ウソでしょ（笑）」『いやいや、ほんまに』「………会った」『やんなぁ。……』「……」車の中での沈黙は、しんどい。

はぐ🕊 @516hug

『〇〇ちゃんて優しいよな～、だから辛くなっちゃうんやで』「…、」『俺にしたら』「え？」『まだ全然好きやねん、忘れられてないねん』「章大、え、でも私」『大倉への気持ちまるまる抱えたままでいいから』…ひどく驚いた。のは、私みたいな女が、こんな台詞、言われるなんて思ってなかったんだ。

はぐ🕊 @516hug

「…」『付き合ってみてくれへんかな…』「……ちょっと時間ほしい…」結局、私はその場で返事できなかった。ここで決断できていれば、私の苦悩は少しはマシになったのだろうか。[〇〇ちゃん、こないだ大倉くんが来たよ。…言おうか迷ったけど、ちゃんと話がしたいって言ってたし会ってみたら？]