「離してください」『いやや』「…子供ですか。」『ごめんっ仕事忙しくて、いつの間にか〇〇見えへんくなってた。〇〇は俺の事好きやから、俺がどんなんでも、絶対離れて行かへんって…どっかで思ってたんやと思う』「ずいぶんですね」『ほんまにごめん…っ』また腕の力が強くなるのにドキドキしない。
2018-09-07 18:30:49「わたし横山さんに昨日抱いてもらったんです」『っ…』やっぱり勘づいてたんだ。そう確信して言葉を続ける。「そのとき何て言われたと思います?"なんもついてないんやな"って言われたんですよ」…身体になにもついてない。そのたった一言が、鋭い刃物となって私の心を貫いて今も抜けずに刺さったまま
2018-09-07 18:41:23『俺から離れんといて…ずっとそばにおって…』また抱き締められたけど、さっきのとは違うくて、優しく。それから弱々しく。『…っ』私は彼の腕を退けて、見上げた。『横山くんのとこ行くん…』「だったら」『むり。』「どう無理なんですか」そう強気で返したら、切なげな表情を浮かべるんだね。
2018-09-07 21:02:52初めてみる表情ばかりで、戸惑ってるのは事実。でもそれより私は横山さんに会いたいの。そばに居たいの。「忠義くん。離してもう諦めてくださいよ!私は…もう安心したい。愛されたい」無償の愛も、ずっと注げるわけじゃない。限りがあるの「疲れました」そう言って、なりふり構わず部屋をでた
2018-09-07 21:16:38横山さんの家に行くと、『待ってた。』って抱き締めてくれた。落ち着く。『ズルいな、俺。』「え?」『今も昔も。』「なんのこと言っ…きゃ」『大倉と上手くいってないの知ると利用したくなるねん』上に横山さんと天井。『今がほんまにチャンスやなって、思ってるよ』そう言い、深く口付けを落とした。
2018-09-07 21:34:21横山side 次の日、会社のエレベーターで遭遇。「…」『…』少し無言の後『返してもらうから。』「どうやって?」言われたやろ?諦めてって『…』「渡さへんし。」『それは横山くん側の気持ちやろ。』「お前のその自信、壊したるわ。…まぁお互いがんばろーや、お疲れ。」今度こそ嫌いになりそうやわ。
2018-09-07 21:52:54安田side 心配してた通りになったなって感じかな。俺は。「諦めたら?」『俺がなんで〇〇の事好きになったと思う』「?」『どんな貶しても、追い払っても、アホみたいに俺のとこ来て…気ぃついたらさ、おちてた』困った顔で笑う。大倉が今度頑張るんやなって背中叩く。それに頷いたから…応援するで
2018-09-07 23:09:33横『ヤスありがとうな』安田が車で迎えに来てくれて、空港まで行く。安田の助手席にはお嫁さんの友恵。2列目の後部座席に花陽と荷物。3列目に私と横山さん。安「もう1人迎えに行く」私達が最後って言ってなかった?…「やすだ。?」見慣れた景色に車が止まり乗り込んで来たのは…『おはよ』忠義くん
2018-09-08 11:52:56なんで。なんで。なんでなんで。それが永遠ループ。『つめて〜』「ちょ、」なんで私の横に来るの。花陽のとこ…って荷物があるのね。横山さんと忠義くんに挟まれて心が重い。『パーマあてたん?』なに、なんでそんな普通に話しかけるの?『かわいい。それ好き』「は…っ?」なにその笑顔、どうゆうこと
2018-09-08 11:58:42混乱してきて横山さんを見ると、ん?って笑う。その表情を見るとキュンとする。「(ぎゅっ)」ざわつく胸の奥をかき消したくて腕に抱きついた。『すぐ着くから。』そんな私の気持ちを救ってくれる横山さん。私は忠義くんの胸元。私の指輪がネックレスとしてぶら下がってたのなんて、見てないふりをした。
2018-09-08 12:12:24「お先に失礼します」はやくここから違うとこ行こっ。忠義くんを置いて、そそくさと横山さんのとこに。「…あ。」忠義くんにお礼言うの忘れてた。…それはさすがに、だめだよね……。「あの、」『?』「お茶ありがとうございました」『んっ。』…だからなんで?なんで笑ってるのって。全然わかんない。
2018-09-08 21:53:21沖縄に着くと、既にテンションが上がりすぎてもうヤバいの!「うーみー!」横『まだ見えてへんやろ(笑)』「横山さーん」ぎゅーっと抱き着くと『ちょっ、コケるっ』なんて言いつつ、しっかり私を抱きしめ返す。そんな私達の後ろで…安「いけるん」『わかってる。これくらい』と眉を下げて笑う彼がいた。
2018-09-08 22:08:19目が覚めると、「横山さん!」思わず抱きついた。…やっぱりあれは横山さんだった。隣で、私の手を握って眠ってた横山さんがビクッと身体を震わせて「すみません起こして…」『全然やで、お腹調子どう?痛くない?』「あ、大丈夫です、みんなは?」『星見に行ってる』…と、不意打ちのキスをされた。
2018-09-08 23:20:10…行くわけない、そんなの、どうせ忠義くん待ってらんないでしょ。来るまで。なんてさ、「…知らない、行かないし…」ってベッドに横になって、1時間。「……なんで帰ってこないの。」まさかほんとに待ってるの?寝るのが大好きな忠義くんが?「…んなわけ。」そう思うけど、帰って来てないのは事実で
2018-09-09 21:14:41「……」靴を履いて、ホテルを出る。裏に回って、海へ続く一本道を歩く。ザザア…という海の音。虫の鳴く声。ほくろうのホーホー…という鳴き声。深夜は幻想的な星のカーテンが広がる。「なにしてるんですか」『〇〇』なにホントに待ってるの。「……」『ありがとう』来てくれて。ってまた笑う
2018-09-09 21:25:51『な…、座って?』「……」上手く断る理由がなくて、言われた通りに座る。…それから私と忠義くんはしばらく海の音を聞いてた。『星、めっちゃ綺麗やな』「そ、うですね」『……流れ星に、今なに願いたい?』「………」何その質問…「わかりません」『俺はさ』星空を仰ぎながら彼は言った『戻りたい』
2018-09-10 00:47:15まさかそんな言葉が出てくるなんて。「部屋戻ります」焦った私はそう言って、彼から離れようとしたけど『行かんといてっ』って聞いたことない位の消えそうな声で言うから、足が止まれば、後ろから抱きしめ『ごめん…』 わからない。なんで愛想つかさないの?チュ。とおデコに落とされた口付け。
2018-09-10 00:58:47「……」『…、』砂浜に落ちていく涙は、『〇〇…。』「なんで」…なんで私のなの?「どうなってるの」わたし泣いてるの?『好き、』「…やめて」『好きやねん』「やめてください!」『…強がり?』「違いま、」真正面から抱きしめられて、ビクッと身体が跳ねると、また忠義くんがギュッとする。
2018-09-10 01:10:50「私は横山さんが好きです」『でも来てくれた。』「それは、風邪ひくんじゃないかって思って」『心配してくれてるやん?』「だって」『だって…?』「……」『なに…?』「…っ帰りますっ」『〇〇っ!』腕からすり抜けて、一生懸命走った。足取りの悪い砂浜を駆け抜け、流れる星も涙も、ふりきって。
2018-09-10 01:21:54