エマは高校入試をこんな風に解いていく

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uroak_miku @Uroak_Miku

第六部は高校入試という儀式を分析するわけですが、どうしよう、国語の試験問題からいくべきか。

2018-10-25 02:23:59
uroak_miku @Uroak_Miku

kyoiku.metro.tokyo.jp/admission/high… 平成30年度の都立高校入試問題・国語。東京都はマークシート式か。

2018-10-25 02:27:06
uroak_miku @Uroak_Miku

3⃣は小説の読解。小学生のときは無二の仲良しで、中学では部活動などで距離ができて、友人グループが別々になった級友への心の距離が、とあるきっかけで「私」の中でふっと縮まるというお話。

2018-10-25 02:32:01
uroak_miku @Uroak_Miku

いろいろ四択問題が仕掛けてあるのですが、要するに中学生のあるべき姿(というか心情)として一貫性のあるものを選び出せというわけです。

2018-10-25 02:33:47
uroak_miku @Uroak_Miku

小学校と違って中学校は、それなりに現実の影が教室のなかに忍び寄ってくる。どんなに仲良しだった相手でも、やがては歩む道を違えていくわけで、その予告編となるのが中学校。これはすなわち、のーてんきな幼年期を終えて、来るべき現実に軟着陸する心づもりをせよという、出題者からのメッセージ。

2018-10-25 02:37:15
uroak_miku @Uroak_Miku

4⃣は評論文。「意思→実行」という素朴な人間観ではなく、「もやもやとした心情→意思→実行」こそが人間の本質であると語っている。なんか明治期に日本に輸入されたドイツ哲学の日本的焼き直しという印象。旧制高校的教養主義の匂い。西田幾多郎臭いというか。

2018-10-25 02:42:46
uroak_miku @Uroak_Miku

面白いのはこの4⃣、最終問で小論文を書かせるのですよ。 pic.twitter.com/8Oe1DeNhPE

2018-10-25 02:46:13
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uroak_miku @Uroak_Miku

私のエマならこう書くのだろうか。「私は小さいときから日本の時代劇が大好きで、やがて日本語のままで視聴するようになった。日本の文化への興味や憧れが次第に大きくなっていって、日本語を習いたいという意志にまで育った」

2018-10-25 02:52:36
uroak_miku @Uroak_Miku

ああ、彼女にこの小論文をやらせてみて気が付いた。これは受験生を<個>にするための設問なんだなって。なにしろ「意志」を語れ、ですからね。<内面>と呼んでもいいか。この問題を解かせるなかで、脳内バーチャルな授業を思い浮かばせ、強引に中学生活を個々の受験生に総括させるわけです。

2018-10-25 02:55:40
uroak_miku @Uroak_Miku

朝に15分の読書をさせる指導ってあります(ありました)よね。読書とは<個>であり<孤独>である行為。毎日15分間、宇宙船外でひとりで宇宙遊泳させるようなもので、こうやって自分自身の身の程をわきまえさせていく。「独りの貴様はしょせん何もできない、この程度の存在なのだから身の程を知れ」

2018-10-25 02:58:52
uroak_miku @Uroak_Miku

仲間とうだうだつるむ日々に、少しずつ現実の影が忍び寄る。やがては別々の道を歩き出す。いちいち日々のなかでそういうことを中学生は考えない。ゆえに高校入試問題のなかで、このテーマを突き付けるわけです。「中学生であるうちにお前はそういうことを日々考えていたはずだ、そうだといえ」と。

2018-10-25 03:02:05
uroak_miku @Uroak_Miku

高校入試のなかで、中学の三年間の総括を強引にやらせるわけですよ。「お前は三年の日々のなか、こういうテーマについてこつこつ考えていたはずだ、考えていたよね、考えたことがないのなら今これから急いで考えなさい!」と。

2018-10-25 03:04:04
uroak_miku @Uroak_Miku

5⃣が古典。古文と漢文が同時にテーマとなる。この二つがあってこそ現代文が生まれたという論旨。日本文化の肯定論です。古典を大切にしましょう、と。

2018-10-25 03:07:13
uroak_miku @Uroak_Miku

「国語」なんてものは明治期の混乱のなか、半官半民で開発された闇鍋言語であることをいかに隠蔽して、日本のことば\(^o^)/論に収れんさせるかが、この5⃣の真のテーマだと見抜けるかなエマ。

2018-10-25 03:10:24
uroak_miku @Uroak_Miku

3⃣がやはり中学生が主人公の小説。いろいろな四択があって、あるべき中学生の姿が浮かび上がるようなものを選べというわけです。 受験生はすでに中学を卒業しているわけだから「あるべき中学生」どころか「あるべきだった中学生」像なわけですが、この試験問題のなかでは受験生はまだ中学生とされる。

2018-10-25 03:16:30
uroak_miku @Uroak_Miku

面白いですね高校入試のなかで各受験生は中学生としての自分を生きなおすわけですよ。

2018-10-25 03:26:11
uroak_miku @Uroak_Miku

どういったらいいのかな、試験問題のなかにだけ存在する、幻の中学校、幻の同級生、幻の青春を、試験時間のあいだだけ体験するのです。

2018-10-25 03:28:25
uroak_miku @Uroak_Miku

4⃣は評論文。マルクス経済学っぽい入り方をしているけれど、結局は「ひとは社会なくしては生きていけない」という凡庸な結論に着地する。

2018-10-25 03:31:37
uroak_miku @Uroak_Miku

『日本人は何を食べてきたか』という出典タイトルからもわかるように、これは日本文化の肯定論です。

2018-10-25 03:32:48
uroak_miku @Uroak_Miku

もっとも試験問題としてはそこまでは踏み込まないで終わる。そして先の5⃣と同じくこの5⃣も「あなたの意見を、学校の授業のなかで述べてみよ」で締めくくられる。試験問題の中にのみ存在する、幻の中学校で幻の中学生をやってみろという指示です。

2018-10-25 03:35:05
uroak_miku @Uroak_Miku

模範的中学生をちょっとやってみろ、という指示。

2018-10-25 03:36:20
uroak_miku @Uroak_Miku

「てきとーに自分語りを挿みながら、教師の注文にそったものをこしらえてみな」

2018-10-25 03:37:22
uroak_miku @Uroak_Miku

6⃣は古典。やはり先の6⃣と同じ裏テーマ。「国語」は明治期に急ごしらえされたものにすぎないという、あまり愉快ではない事実を、いかに迂回して国語を肯定するかというお話です。

2018-10-25 03:39:28
uroak_miku @Uroak_Miku

平成28年度。kyoiku.metro.tokyo.jp/admission/high… ああ、これも3⃣は「あるべき中学生」像を四択から浮かび上がらせるのがテーマ。

2018-10-25 03:42:34