フリージング・フジサン #4
「オマークの話ッスけど。調べはあらかたついてるンで、確認の話。広間に寝かされた人達はシトカの市民ですか?」「あなた方の侵入意図がわかりませんね」「ハイ。イイエ」「ハイ。シトカの善良な人々です。問題のない素材ですよ」「彼らからエメツを抽出する」「ハイ。画期的なリソースです」 24
2018-10-25 23:19:53「で、それがアンタらの技術というワケ」「当然パテントですね。アダナスはポスト月破砕地球のエメツ技術を……」「街を支配するシンウインターと結託して、何も知らない人たちを攫っては、機械に繋いで、搾取した」「彼らが何も知らないのは当然です。詳細を知っていれば色々問題でしょう」25
2018-10-25 23:23:39「ンー……」シキベは顎に手を当て、少し考えた。それからおもむろに銃底でイータを殴りつけた。「グワーッ!な、なにを!私は従順です!」「自分、未熟なんで、思わず手が出てしまったんスよ」「酷過ぎるでしょう」イータは憤慨した。シキベは息を吐いた。「噛み合わないッスけど、まあいいです」26
2018-10-25 23:26:59彼女はコトブキを振り返った。「どうスか?」プロコココ……ピガガーッ。モニタには「駄目です」の文字が浮かび上がった。「駄目です」コトブキが言った。「セキュリティ・ロックが強力です。タキ=サンが尽力していますが、破るのにかなり時間がかかる可能性が……」「よしなさい!」とイータ。 27
2018-10-25 23:28:51「何が目的ですか!あなた達!カネですか?何故こんなところに?」「要求するのは私ッスよ。パスワード・ロック解除してください」「……」イータは目を閉じ、俯いた。シキベは唸った。少し悔しそうにカラスを見た。「所長」「ゲーッ」カラスが腕のUNIXをタイプした。「ボディ ランゲージ」28
2018-10-25 23:32:29シキベは首を横に振って肩を落とし、気持ちを切り替えて、おもむろにイータの腕を逆向きにねじりあげた。「やめ……アイエエエエエ!グワーッ!」「パスワード・ロックを解除してください」「グワーッ!アイエエエエ!アイエエエエー!」「パスワード!ロックを!」「アイエエエエーッ!」 29
2018-10-25 23:34:38数分後、タキはいよいよ深層へのハッキングを開始していた。部屋の隅ではイータがうつ伏せに倒れ、屈辱に頬を紅潮させて嗚咽していた。「よくも……!ふ……紛争解決の手段は幾らでもあるんだ……許しませんよ……!」「アダナスの社員っていうのは皆アンタみたいなんスか?」「クソーッ……!」 30
2018-10-25 23:38:26コトブキは激しく駆動するUNIXデッキを前に、魔術師めいて手をかざし、直立している。彼女とデッキは光り輝くLANケーブルによって結ばれ、今まさに、ネオサイタマのピザタキから、タキが侵入を開始する!このふざけたエメツ抽出装置を掻き回し、広間に寝かされた人々を覚醒させるべく! 31
2018-10-25 23:41:37