【ドルフロ】うちの支部

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

スプ「別の支部に来たからと言って、辛い事や苦しい事が減るとは限りませんけれど、それを楽しい事で塗り潰す事は可能ですわ。……ここはそう言う支部です。戦いに生き、戦いで死ぬさだめの戦術人形にも、安息と充実を。そしてこれから、貴方はそんな支部の一員となるのです」

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スプ「ですから、貴方がこれから楽しい事を沢山享受する為に、まずは支部の皆さんと仲良くなりましょう。それが私からの最初の訓練メニューですわ」 M14「……………………」 トン「スプリングフィールド。新入りが固まってる」 スプ「あら？？」

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スプ「どうしましょう、はしゃぎすぎてしまったかしら……！　RFの後輩が出来るなんて思わなくて、つい……」 トン「やっぱりな……。普段は冷静なのに、一度スイッチが入ると途端に周りが見えなくなるんだから。おーい、新入りー。大丈夫かー」（つんつん）

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トン「こいつは見ての通りこう言う奴だし、支部にもヤバ……個性的な奴らが揃ってるからな。まず空気に慣れる事、と言うのはあながち間違ってもないが」 M14「……あの」 トン「ん？」 M14「私、何をしても良いんですか？　談話室でのんびりしても？　新聞を読んでも？　……コーヒー、飲んでも？」

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スプ「……勿論です。だって、私達がしている事ですもの」 M14「（じわじわ）……こ、これから、頑張ります！　よろしくお願いします、先輩！！」 スプ「ええ、頑張りましょう！」

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―――――――――― 指揮「スプリングフィールドがM14の面倒見るって言い出した時はどうなる事かと思ったけど、良い感じに纏まったかな」 PPK「そうね。FALが出て行きたげにしていたけれど」 FAL「スプリングフィールドが一度はっちゃけ出すと止まらないのは解ってたしね。ちょっと不安だったのは事実」

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指揮「冗談抜きでうちの支部で一番のお姉ちゃんはFALだよね」 FAL「手のかかる妹が随分沢山増えたものだわ……。指揮官も含めて」 指揮「おねえちゃーん」 FAL「はぁいー」 指揮「宿題（書類整理）手伝ってー」 FAL「イヤよ」 PPK（漫才かしら……）

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UMP9「指揮官ー、ただいま戻りましたーっ！」 指揮「お疲れ様ー。怪我してない？　大丈夫？」 UMP9「あー、ちょっと掠ったのがあるかもー。ばんそーこー貰ってくるー」 指揮「あらら、行っといでー」

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―――――――――― 銃弾が掠った傷にペタペタ絆創膏を貼るUMP9。 指揮「位置取りが悪かったかなあ。鉄血の動きには注意してた筈なんだけど、ごめんね」 UMP9「だいじょうぶだよー。皆無事に帰って来れたし、すぐ治る怪我ですもん。SMGってそう言うものだし」 指揮「それトンプソンにも言われるんだよねー」

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UMP9「SGが居たら、ちょっとは楽になるかもなー、なんて思うけど。でも、私が身体張って、それで皆の負担がちょっとでも軽くなるなら、私はこれで良いかなあって思います」 指揮「……そっか。支部の皆が大好きなんだもんね、9（ナイン）は」 UMP9「うん！　だからこれからもバリバリ働いちゃうよー」

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指揮「ま、腹が減っては戦は出来ぬと申しますので、まずは作戦の疲れをしっかり癒しましょう」 UMP9「はーい」 指揮「今日はリゾットだよー」 UMP9「やったー！　指揮官のリゾットだいすきー」

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―――――――――― それはずっと前、この支部が興ったばかりの頃の話。M4がまだ鉄血に追われたまま行方不明で、第一部隊はまだ3人だけで、第二部隊にもFALとPPKしか居なかった頃。 初めて対峙したハイエンドモデル「スケアクロウ」の前に、当支部は苦戦を強いられた。

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辛くも勝利したものの、最前線で味方を守り続けていたトンプソンは、大破一歩手前の状態で帰還。すぐにリストアにかけられた。驚くべき事に他部隊員への被害は一切なく、損害を出したのは彼女だけであった。

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味方への被害を最小限に抑える事をモットーとした指揮官は、この結果に大変落ち込んだ。 傍目から見ても、ミスらしいミスがなかった上でのあの辛勝。つまり、単純に出力が負けていたのだ。そしてその事実は、相手の力量を見極めきれないまま戦力を投入してしまったとも言える。

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「ごめん、ちょっと節穴だった……」 包帯とガーゼだらけのトンプソンの傍で、まるで告解するかの様に手を組みながら、指揮官は深く溜め息を吐いた。自分に呆れているのもある。 一方のトンプソンも、その顔には呆れが浮かんでいた。作戦内容云々ではなく、今の指揮官の落ち込み様に対して。

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「思慮深いのが長所と言えばそうだがな。ここ最近ようやく解って来たぜ、アンタは一度落ち込むと際限がないんだ」 「自罰的な自覚はある……」 「そりゃ痛くなかったと言えば嘘さ。私達にだって痛覚は備わってるんだから、そこは誤魔化しようがない」

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「けど、痛い思いをしたなりに成果を上げたんだ。そこはまあ、図々しくはあるが、一言褒めてくれても良いんじゃないか、ボス？」 「……」 その一言で、指揮官は思い出した。彼女らが帰還してからと言うもの、自分の至らなさに落ち込むばかりで、彼女らを労る言葉をかけてやれていないのではないかと。

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「……そうだった。ありがとう、よく帰って来てくれました。お疲れ様」 「戦果は満足かい？」 「はい。十分すぎるぐらいです」 「そりゃ良かった。体を張った甲斐があったもんだ」 「しぶとかったよね」 「しぶといのがSMGだからな。前に出て、味方の損害を少しでも減らすのが私達の役割だ」

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「と言っても、流石にリストアで治らない怪我は負わない様に気をつけているさ。あれ以上長引いたらFAL辺りと交代して貰うつもりだった」 「スプリングフィールドが決めてくれて良かった……。あれ心臓に悪いのであんまりやらないでくださいね……」 「善処しよう」

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「……さて、ナガン達にも声をかけて来ないと。安静にしててね」 「してるさ。ガキじゃあるまいし」 指揮官が医療室を去る。その足取りは、いつも通りの軽快なものに戻っていた。 自分の包帯まみれの身体を見る。人間であれば治療に何週間も要する怪我だろうが、戦術人形には3日あれば治るものだ。

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だから、と言う訳でもなかったし、その役目は誰であろうと良かったのだろうけど。何となく、自分がやらなければ、と思ったのだ。 実を言うとナガンに何度か制止されたのだが、無視して続行した。これも命令違反になるのだろうか。他のHGがどうか知らないが、少なくともナガンは司令塔でもあるのだし。

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「……後でドヤされるなあ」 特に、戦闘中ずっと鬼気迫る表情で敵を撃ち抜いていたスプリングフィールドには、今から会うのが恐ろしい。ナガンも、PPKも、FALも、きっと自分を見たら叱るのだろうし。 けれど、不思議とそれを悪くないと感じる自分も、また居るのだった。

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【これまでのあらすじ】夜戦用部隊がひとつじゃ足りなくなって来たので、指揮官が「RFちょーだい♡」っておねだり（稟議書提出）したらSVDがやって来たんだけど来る途中でスクラップ手前の416を拾って来た。 指揮「ARが増えた」（宇宙猫顔） M4「えっと……6人目……？」※AR小隊4人+FAL+今回の416