【ドルフロ】うちの支部

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

―――――――――― 指揮「……確認取った。拾った地点から見ても、そこの支部に所属してた人形で間違いない」 トン「して「た」、か」 指揮「はい。して「た」、です。支部に所属していた戦術人形は416を除き全滅。指揮官は一命を取り留めましたが、今後の活動続行は不可能だろう、と」

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指揮「そこの……S16地区支部は、確認が取れた今日付けで解体と言う事になるみたい」 スプ「彼女はどうなるのでしょう……？」 指揮「それが、ね。本人が目を覚ましたので、今後の意向を聞いたんだ。コアは無事なので戦術人形として残る事は可能だけど、民生に戻る選択肢もありだよって。そしたら」

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416「ふざけた事を、言わないで」 声の方に目を向けると、そこには修復途中で包帯とガーゼだらけの、しかしその眼光にはっきりと憎悪を映し出した416の姿があった。 指揮「416……まだ修復が終わってないのに動いたら」 416「私達の支部をぶっ壊した奴らが、まだのうのうと生きているのよ」

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416「私は降りない。民生で平和に暮らすなんて真っ平御免だわ。1体でも多くの鉄血を、壊して、壊して、壊し尽くす。だから一刻も早く直して。一刻も早く私を戦場に立たせて。代わりに私が、ここで一番の成果を出すから」

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指揮「（溜め息）……そう言う事。さっきも言った通り、S16地区支部は今日付けで解体。同時に、416はうちの支部の預かりになる」 416「解っているじゃない。なら早く直して」 指揮「治すけども。そんなすぐには戦場に出しません」 416「何故」 指揮「所属支部変更の手続きに時間がかかるのもあるけど」

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指揮「うちは被害を最小限に抑え、最大限の結果を出すと言う方針です。つまり、うちに所属する事になった君にも、その方針に則った戦い方を身に着け、戦場で効果的に戦える様になって貰います。……正直、今の君は鉄血に無意味に突貫する気しかしませんので」

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指揮「うちで一番の成果を出すと言う事はそう言う事です。これを了承していただく事で、初めて私は君を歓迎する事が出来ます」 416「……………………………………………………………………………………、……解った。それが条件なら仕方ないわね」 指揮「（ほっ）決まりですね。ようこそ、当支部へ」

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―――――――――― SVD「では、改めて。ドラグノフ狙撃銃、通称SVD。本日より本支部に着任した」 416「同じく、HK416。着任します」 ふたりの戦術人形が、指揮官の前で敬礼する。416はまだ修復が終わっていない状態ではあるが、命の恩人であるSVDの顔を立てる為、こうして他の部隊員に顔を見せに来てくれた。

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指揮「よく来てくださいました。当支部は貴方方を歓迎致します。……SVDは折角来てくれたのに、碌にもてなせなくてごめんね」 SVD「あの非常事態であれば無理もない、気にしないでくれ。支部を見て回るのが先になっただけだ。改めて、無事で良かった」 416「……癪だけど、礼は言っておくわ」

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416「さしもの私も、あのままあそこに居たらどうなってたか解らなかったから。……ありがとう」 SVD「それは僥倖。これからは同じ部隊員として、共に戦うとしよう」 指揮「そうだね、ふたりは来たばかりだから、しばらくは訓練して貰う事になるかな。その間は同じ部隊の扱いになると思う」

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指揮「M14、FAL。当分の間、教育係をお願いね」 M14「は、はい！　頑張ります！」 FAL「私に指名が入るって事は、貴方榴弾使いだったの？」 416「そうよ。貴方の活躍を奪っちゃうかも知れないわね」 FAL「……ほー、言うじゃない新入り。訓練について行けなくて泣いても知らないわよ」 416「上等よ」

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指揮「はいはい、戦場でフレンドリーファイアとか始めない程度には仲良くねー。……特に深く考えずに宛てがったけど、結果的に合ってるのかな」 トン「FALはこと訓練となると味方だろうが容赦しないしな。416もあれは叩きのめされる程伸びるタイプと見た」 指揮「あー、15もそうだったなあ」

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数日後、そこには悪態をつきながらもばっちり訓練についていける様になった416と、それを見込んで更に訓練を厳しくしているFALの姿があったとさ。

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―――――――――― 一方、SVDの教育を任されたM14、今までスプリングフィールドに見て貰っていた事を参考に指導するが、その全てにおいてSVDが驚異的な成績を発揮するのでやや凹む。 M14「えっと……命中精度が少し低いぐらい……？　でもこれも大分……」 SVD「ふむ、であればそちらを重点的にやろうか」

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SVD「私の銃は軽さと取り回しの良さが取り柄だからな。折り畳める機構を搭載した結果、多少命中精度が落ちている」 M14「ですか。確かに、一点集中で大火力を出すRFが外したらお話にならないですけど。だったら、機動力訓練を少し削って、それを命中訓練に宛てましょうか」 SVD「そうしてくれ」

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M14「今でも十分すぎるぐらいの成績は出してますけどね……」 SVD「そうか？」 M14「少なくとも私の時よりは」 SVD「さっきから君が凹んでいるのはそれかな？」 M14「はい……。実戦に1回も出てないのに、私よりずっと巧くて速いの、凄いなって」

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SVD「まだ解らないぞ。実戦に1回も出た事がないからこそ、安定した成績が出せる可能性もある」 M14「実戦に出た事がないから……」 SVD「何事も、本番になってみないと解らないものさ。訓練では想定外のアクシデントも、無いとは言わないが限りなく少ない。けれど、戦場ではそんな事は日常的に起こる」

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SVD「例え技術が高くとも、それを想定外の事態に流用出来る応用力がなければ、戦場では良い的だ。……勿論、その様な事態を減らす為に訓練があるのだがな。その意味では、まだ1回も戦場に立った事がない私より、君の方が余程プロフェッショナルと言えるだろう」 M14「そう……ですかね」

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SVD「そうとも。偉そうな事を言っているが、私の言葉は全て受け売りだからな。私よりも、君の方が「本当の戦場」を知っている。どれだけ訓練を積み重ねても、それだけは実戦でないと得る事が出来ないのだから、君はその点を以て誇って良いのだと、私は思うよ」

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SVD「……まあ、色々言ったが、要はだな。未だ訓練生である私よりも、成績がどうだろうとそれを乗り越え、現在戦場に身を置いている君の方が、余程凄いと言う事さ。だから、君と同じところに立てる様に、これからも指導して貰えると幸いだ」 M14「こ、こちらこそ！」

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この瞬間、M14の中にあった「ちょっと怖い」と言う印象は霧散し、その後の訓練は円滑に行ったとか。 指揮「やー、何だかんだとふたりとも馴染んでくれてるみたいで良かったー」 ナガン「指揮官は心配性なんじゃよー。トンプソンも大丈夫って言ってたじゃろー？」

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何だかんだでFALの訓練にきっちり食らいついている416と、一方で自分も入隊直後にFALにしごかれたのでちょっと他人事とは思えなくなっているAR15。 SOP「そう言うの何て言うんだっけ？　フルキズが痛む？」 AR15「……傷なんて残ってないわよ」 M16「そらそうだ。指揮官がすっ飛んで来るからな」

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M16「SOPMODが言ってるのは精神的な傷の事だ。昔の辛かった訓練の出来事がフラッシュバックしてるんだろう」 AR15「べ、別に、辛くなんか、なかった」 Vector「……ベッド間違えるくらい疲れてたのに？」 AR15「うぐ」 M16「あー、あったなあ。Vectorのベッド、下だから寝やすいんだよな」

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この支部の宿舎は3つあり、第一部隊がひと部屋、第二部隊がふた部屋に分かれて使っている。 それぞれの部屋には二段ベッドが置かれていて、VectorとAR15は同じ二段ベッドの上と下に分かれて寝ているのだが、訓練後のぐたぐたに疲れて判断力が落ちていたAR15がVectorのベッドで寝てしまった事があった。