【書き起こし】「入管法改正案、今国会で本格的な審議開始。その問題点をチェック」 安田浩一×荻上チキ▼2018年11月12日(月)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)#ss954 #FREEUSHIKU #saveimmigrantsOSAKA tbsradio.jp/313228 ※一部整文・ケバ取りあり これより連投。
2018-11-21 19:30:34長谷部愛さん:『入管法改正案 あすから本格審議へ 安倍総理は本国会での成立を強調』外国人労働者の受け入れ拡大を目指す入管法の改正案が、明日から衆議院での本格的な審議に入るのを前に、安倍総理はきょう政府与党連絡会議で今国会での成立を目指す意向を強調しました。
2018-11-21 19:30:34安倍:政府としては、国民の皆さまにも十分ご理解をいただけるよう丁寧な説明を尽くすことで、成立を期したいと考えておりますので、何とぞ同素よろしくお願いを申し上げます。
2018-11-21 19:30:35長:一方、立憲民主党など野党6党派はきょうも国会内で、来日中の技能実習生を対象とした合同ヒアリングを実施。実習生からは低賃金や長時間労働への不満が続出しました。入管法改正案は、安倍政権が今国会の最重要法案と位置づけ、12月10日の会期末までの成立を目指していますが、
2018-11-21 19:30:35荻上チキさん:今国会目玉法の一つが入管法改正案で、あしたから本格的に審議に入ります。メインセッションに先立ちまして、スタジオにゲスト・ジャーナリストの安田浩一さんに入っていただきました。安田さんよろしくお願いいたします。 安田浩一さん:よろしくお願いいたします。
2018-11-21 19:30:36荻:僕が安田さんの本を最初に読んだのは、『ルポ・差別と貧困の外国人労働者』。実習生の問題を長らく取り上げてこられたと思うのですが、今回入管法改正案が議論されますが、安田さんはどうお感じになっていますか?
2018-11-21 19:30:36安:事実上、移民の門戸を開くというのが目的だと思うのですね。建前上そうなっているのですが、本音言いますとね、要は安価で使い勝手のよい労働者をもっと増やしたいという、産業界の要請に応えただけだと思っています。
2018-11-21 19:32:55いわば雇用の調整弁として外国人を見ている、そうした視点がどうしても気になってしまいます。実際もう日本には250万人を超える外国籍の方が暮らしているわけで、外国人労働力なくしては動かない産業なんていくらでもあるわけですよ。
2018-11-21 19:32:55ですから、当然ながら外国人は必要ですし、外国人労働力が必要だという意見も分かるし、そして何よりも外国人と暮らしていかなければ、私たちの国は動かないという状況にあるということも十分理解しています。
2018-11-21 19:32:56その上で言いますけれども、私は外国人が増えること、外国人労働者・移民が増えること、賛成です。ですけども、今移民を受け入れるだけの制度が整っているか、制度的保障があるのか、といったことに関しましては非常に懐疑的にならざるを得ない。
2018-11-21 19:32:56チキさんご存じの通り、技能実習生の問題です。低賃金、劣悪な労働条件、こうしたものを強いられることで、非常に問題の大きい制度であるにもかかわらず、今回の入管法改正はこの制度の存続を前提としているのですよね。
2018-11-21 19:32:56で、新たな在留資格として特定技能1号・2号を設けますけども、これもやはり明確に労働者と位置づけていない。労働者なら労働者と名称を付ければいいじゃないですか。あくまでも技能実習制度の延長であるかのように思えてしまう。
2018-11-21 19:32:56こうしたことに関してはきちんと議論して、つまりやってくるのは労働者、労働力なのではなくて人間なのだということを再認識する必要があるんじゃないかなと思っていますね。
2018-11-21 19:32:57荻:そうですね。例えば生活を定着するためのサポートセンターをどうしますかとか、いろいろなセクターの多言語対応ですよね。先日国会で共産党の小池晃議員が質問したことによって明らかになったことですけれども、この技能実習制度で非常に多く来られるのがベトナムの方。12万人ほどいると。
2018-11-21 19:36:16じゃあそのベトナムの方に対応できる労働相談の窓口の方は何人いるんですか、といったら「1人」だと。そういう状況があちこちにあるのですよね。
2018-11-21 19:36:16安:そうなんですよ。だから僕ら取材していて非常に困るのは、外国人労働者に関して一元的に担当する省庁ってないわけです。例えば移民庁とか移民局とか諸外国にあるわけですが、日本にはないのですね。滞在資格の問題でいうならば農水省であったり、さまざまな省庁にまたがってしまうのです。
2018-11-21 19:36:16一元的に担当する省庁すらない、外国人労働力というものを全体的に監視し管理し監督するという省庁がない、ここだけでも大きな問題ではないかなと思うわけです。要は本音では、いつか帰ってもらう雇用の調整弁が欲しいだけであって、
2018-11-21 19:36:16日本に定着し、そして私たちと一緒に暮らしていく労働者あるいは外国人というものを想定していない。ですから安倍政権は一度も移民という言葉を使っていませんよね。
2018-11-21 19:36:17荻:これは移民政策ではない、と繰り返していますね。 安:そのことを強調していますね。さらに安倍首相は国会で、不景気で人余りになった場合どうするんだ?という質問に対して「雇用契約が継続されなければ、在留資格も更新されない」と言っているのです。
2018-11-21 19:36:17つまり雇用契約がなければ帰ってもらう、ということですよね。こうした制度の落とし穴も、私たちは十分認識し議論する必要があるのではないかと思います。
2018-11-21 19:36:17荻:省庁がない、という問題も、これから新しくつくろうという発想はあるようですが、それも基本的には今の入管、つまり管理して、場合によっては捕まえて、抑留して帰ってもらうという、そうした延長線上に格上げするというような構想のみが聞かれていますよね。
2018-11-21 19:36:18安:そうですね。いわば庁に格上げするわけですよね。結局、日本における外国人政策とはなにかといわれると、現行では治安政策なんですよ。労働者政策でもなければ人権政策でもなく、治安と管理に特化した政策のみが先行している。そうした姿勢そのものを改めなければいけないと私は思っています。
2018-11-21 19:38:35荻:そうですね。今のところ移民政策ではない、という安倍政権のコメントは、僕は内実を適切に表しているなと思うのですね。つまり、本気で移民を受け入れるつもりなど毛頭ない、と。
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