園児RPGテキスト外伝「宵の流星と暁の詩」幕間

無銘海姫 @Mumeinight

―遠い昔、ミヤコガルドの何処か― #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

騎士装束の男と女が泉の前にたたずむ。「緊張…してるのかい」「違う…と言えば嘘になりますね」水面には白亜の足場が浮かび、泉の中央に鞘ごと刺さった剣へと二人を導く。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「まずは僕が行こう」男が泉の中央へと歩を進め、剣の柄に手をかける。剣が微かに光った…彼はそのまま柄を握りしめ、剣を抜こうとする…その刹那、拒絶するかのように眩い輝きが辺りを照らした。彼は歯を食いしばったが、剣を抜く事はできない。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「次は私が…」女が同じように柄に手をかける。やはり剣が微かに光った…彼女も同様に柄を握りしめ、剣を抜こうとする…再び眩い輝きが辺りを照らす。だがその輝きは少しずつ、苛烈なものから優しく包み込むようなそれに変わっていく。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

柄は彼女の手に馴染み、やがて容易く鞘から刀身が抜けていった…そして彼女はそれを捧げ持った。光り輝くクリスタル刀身の聖剣を。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「何故だ…何故僕は…」男は膝から崩れ落ちた―― #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

――ミヤコガルド某所・円卓の間―― #mmytxt

moyo @moyoko9000

そういうのは後から行った方がお得なんだ！ そうだろうか男かわいそう #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「失われた聖剣の事を知っていますか」「聖剣…？」「それは円卓の光であり、それに相応しき者を選ぶ裁定者でした」ミヤコがオオトリに告げる。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「じゃあ、まさか…！」「110年前…あの事件までは『光』の座はクリナゴさんのものでした」「はつみみなんだけど…」口を挿んだのはマクズだ。「…ええ、正式な引継ぎは行われませんでしたからね。あの動乱の中失われた聖剣の残滓が、あなたを導いた」「……」暫くの静寂。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

それを破ったのは、やはりオオトリだった。「知ってて黙っていたのか！僕だって七本槍の一人だぞ！！」「聖剣をめぐる一連の事件はむやみに口にするべきではない…そういう理由です」ミヤコが諭す。「不吉だと判断した…のけものにはしていない」モズも助け船を出す。 #mmytxt

moyo @moyoko9000

光だったなんて知らなかったぜ #mmytxt

柊 @hiiragi_r_t_d

もずとりフォロー関係性……　#mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

しかしオオトリの憤りは収まらない。「話を聞けばわかるよ、聖剣に選ばれたのがクリナゴでイツキは選ばれなかった。そして…！」「…今までに至る二人の長き因縁が始まりました」「だが皆その真実を僕に隠してきた…長い間ね。これは許せないよ」オオトリが席を立った！ #mmytxt

moyo @moyoko9000

せば円卓いるんだから剣もあるはずたしかに #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「何をするのです！？」杖を構え制止するミヤコ、だがオオトリも動じない。「重要な問題をずっと隠していた！これは七本槍の隠蔽体質…それだけじゃないぞ、円卓を支配し僕を追放しようと企んでいるんじゃないか？」何たる事か！彼はミヤコに因縁をつけ主導権を握る作戦だ。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

剣呑な文言に再びざわめき出す円卓。七本槍やその部下のほとんどはあの事件以降ミヤコがまとめ上げた現体制を支持している…それもひとえに彼女の人望によるものだ…だがもし、ミヤコが何らかの野心を以て今の七本槍を作り上げたとしたら？オオトリの言葉が真実だとしたら？ #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

110年前のそれを想起させる事件が起こった事で不安が病魔の如く皆を蝕んでいる。「オオトリの発言にも一理あるな」とジャス。「ミヤコさんを信用しないってわけ…！？」リョウが詰め寄る。「否、各々隠し事が多すぎはしないかと言っているのだ」「ジャスお前はどうだ」モズ。 #mmytxt

柊 @hiiragi_r_t_d

イツキについでうさんくさそうで隠し事が多そうなのはお前だぞジャス！　#mmytxt

moyo @moyoko9000

チーム円卓いっつも荒れてる大好き #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「まあ、せいぜい粗探ししているといいよ、僕は自分の部下の事で手一杯だからね」そう言ってオオトリはマキヅメと共に退出していった。「…何という…！」歯がみするミヤコ。すぐにマクズに目配せし、対応策をとる。「マクズさん、シバレリア北方のコセンさんに通信を」 #mmytxt

柊 @hiiragi_r_t_d

めっちゃ寒そうなところにいるねコセン　#mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

『力』のコセン…ミヤコの弟子であり、大鎌術と剣術を使いこなす生粋の戦士だ。現在は魔物の活動活発化を調査するためシバレリア方面に派遣されている。「つながった」二重写しめいてぶれて見えたマクズの姿が元に戻り、同時に襤褸装束に面皰姿の青年の立体映像が円卓に映る。 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

先に口を開いたのはコセンだ。「光映像通信という事は、やはり火急を要する問題なのですね」「ええ、そうです。ポポスノスクでの爆発事件の事は知っていますね？」「はい、センセイ。丁度それを調査していた所です」「その件で円卓会議を招集しましたが、少々問題が」 #mmytxt

無銘海姫 @Mumeinight

「それはどのような？」双方が神妙な面持ちになる。「オオトリさんが会議を途中退席、恐らくそちらに向かっています」「…またあいつか…」思わず毒づくコセン。「目的は行方不明のイツキさんの捜索と思われます。性急な行動に出る可能性があるので注意してください」 #mmytxt