園児RPGテキスト外伝「宵の流星と暁の詩」幕間
- Mumeinight
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それを物語るように円卓に並ぶ皆のグラスの水面がピリピリと波打つ。ジャスに付き従う異形の剣士…下半身は蜘蛛じみた金属の絡繰りに置き換えられている…『無』のヒイラギも冷静に振る舞ってはいたが胸中穏やかでない。モヨは寝ている。「さきにせつめいを…」マクズが提案。 #mmytxt
2018-11-23 21:34:37「では、彼抜きで一旦始めましょう。問題はないですか?」その方向で話が纏まりかけていたその時!「大ありだよ?」円卓の間の扉が押し開けられ、毛皮のコートを羽織り鎖を幾本もぶら下げた山賊の頭じみた風貌の男…問題の『土』のオオトリが姿を現した。 #mmytxt
2018-11-23 21:37:51それに付き従うのは赤毛に金髪交じりの軽薄そうな青年…『雷』のマキヅメ。「僕たち抜きで話を進めようとしていたとはね」とオオトリ、当然抗議の声が起こる。「流石にここまで遅刻するのはいい加減にしてほしいね」とリョウ。「そもそも貴方の部下の問題で…」ミヤコだ。 #mmytxt
2018-11-23 21:39:21だがオオトリは動じない。「それなんだけどね、僕からも話したい事があるから」彼は抗議をのらりくらりとかわし、着席する。「実はシバレリア北方でイツキが消息を絶ち、地脈通信も寸断されて使えない…どういう事かな?」「マクズさん、あれを」ミヤコがマクズに合図する。 #mmytxt
2018-11-23 21:41:58「たぶんこれとかんけいがあるのかも…」「場所はポポスノスク北部船着き場付近、時間は今日未明の三時頃だそうです」円卓の中央に立体映像が浮かび上がる。港の一角を跡形もなく吹き飛ばした、あの魔力暴走光景が。 #mmytxt
2018-11-23 21:44:35円卓に緊張とざわめきが走る。「どういうことなの…」「…アアンア…」「うむ、これは相当だな…」口には出さないが、皆110年前の事件を想起しているのだ。「まずいことになったぞ」そう呟いたのは、モヨであった。 #mmytxt
2018-11-23 21:47:03オオトリが口を開く。「あいつのことだ…僕はイツキが無事だって信じてるよ。ただ、どうしてこんな事が起きたんだい…?」彼の瞳は煮えたぎる溶岩めいて怒気をはらんでいる。それをミヤコが制した。「それを明らかにするのです、これを見て下さい」 #mmytxt
2018-11-23 21:49:42映像が少し戻り、爆発直前の様子が映し出された。船着き場で黒装束の青年とオフホワイト外套の女性が対峙している。「…イツキっ…!?」思わず歯を食いしばるオオトリ。何故なら…「あいつはよく、昔からの因縁の話をしてた…僕が七本槍になるよりずっと前のね」 #mmytxt
2018-11-23 21:51:46「あれはおとぎ話なんかじゃなかったんだ…たった一人でけりをつけに行きやがった!!」皆が、ミヤコさえその勢いに気圧され静まり返った。彼は110年前の事件の動乱に乗じて力をつけ、七本槍の座を手にしたのだ。よって『それ』を知りえなかった…。 #mmytxt
2018-11-23 21:53:41