千葉ガールとシティボーイ

ずっと愛してた。どれだけ遠くても 私はあなたを好きだからそばに居たのに。 …アユ、忠義、裕ちゃん、わたし。 結局みんな、ないものねだり ね。
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はぐ🕊 @516hug

「仕事も向こうだから、仕方ないよ笑」そう言いながら野菜を切っていたら、『…こっち…無理よな』「え?」ドキッとした。だって…だって…だってその言い方…なんか…。裕ちゃんをじっと見てたら、彼から目を逸らされて。でもその後ろから見えた耳…赤かった。『台本覚えてくるわ、出来たら教えて』

2018-12-01 20:55:45
はぐ🕊 @516hug

「…出来たよ」ガチャ、と部屋を開ける。「裕ちゃん、」さっきの言葉が忘れられなくて、ベッドに腰掛けて台本を読んでた裕ちゃんの背中に抱きついた。「さっきの、ってさ、その…そうゆう意味?」『………そうゆう意味、なんちゃう、』「なにその曖昧…」『俺はそうゆう意味でしか言うつもりないけど』

2018-12-01 21:04:04
はぐ🕊 @516hug

…そして沈黙。2人とも多分、顔赤い。『今俺の顔見んといて』「私も顔見ないで」チクタクチクタクと秒針の音が部屋に響いて、『……東京きぃや』ちょっと振り向いて、裕ちゃんが言ってくれたその一言で、静まってきた鼓動がまた動き出した。「東京…家賃高い」『来ればええやんけ…、俺んち』

2018-12-01 21:13:31
はぐ🕊 @516hug

いや、わかってはいたけど、確かなその言葉が聞きたかったの。「そうする」と返すと、裕ちゃんは私の手に自分の手を重ねて、うん、と言ってくれた。次の日、裕ちゃんと私が2人とも休みだった事から、『なんか色々見に行かへん?』って誘われて、ニトリやIKEAに行くことになった。

2018-12-01 21:17:59
はぐ🕊 @516hug

「あっ、ねえ!これ可愛いい」『ええやん』どんどん、裕ちゃんとの新しい家庭用品がカゴに入ってく。『お前買いすぎやって(笑)こんな要らんやろ』「いーるーのー」『ああそうなん?…ならええけど…、』ふ、と笑って歩く裕ちゃん、優しい。私も優しい気持ちになってた。けど[〇〇何してんの?]

2018-12-01 21:27:46
はぐ🕊 @516hug

「なんで、」アユ?なんで?なんでいるのここに…[本当なんだ、横山くんと寄り戻したのって。]「は…?」なんで元々知ってるみたいな口調なの…。[〇〇のせいで私めちゃくちゃなのに、なんであんただけ幸せになってんの?]「いや何…[忠義くんに別れよ。って言われたんだよ?]え…?今なんて…?

2018-12-01 21:33:32
はぐ🕊 @516hug

[忠義くん、ずっと〇〇に会いたがってるし、ずっと苦しんでるんだよ?なんで連絡取ってあげないの?それも意味わかんない。]「ね、ちょっとアユ落ち着いて」[私とは縁切ったから連絡取らないのはわかるけど、忠義くん関係なくない?]「アユ、」[忠義くん苦しんで「もう会わないから!!」

2018-12-01 21:39:35
はぐ🕊 @516hug

「忠義とは別れたの。だからもう連絡は取らない。」[なんで?]「なんでって…」[話くらいしてあげてもいいんじゃないの?]「ねえ…」[だってしょうがないじゃん!私じゃダメって言われたんだもん!]「……」[忠義くんのこと好きだから心配なの]「なら振られても諦めなかったらいいでしょ?」

2018-12-01 21:44:38
はぐ🕊 @516hug

[は?何それ。]「もう私、付き合ってる人いるから、忠義とは会わないし話もしない。…アユが忠義のこと本気で好きなら、アユが自分で頑張ってよ。…私に言って来ないで」[忠義くんが好きなのは〇〇なのに?待ってるのに?]「…っ」[…ならもういいよ。分かった。楽しい時間水さしてごめん。]

2018-12-01 21:49:54
はぐ🕊 @516hug

そう言って、アユは帰って行った。…彼女に発した言葉に…間違いは無いはず…。…無いはず…なのに、心にはモヤモヤがあって、罪悪感もあって。「…」忠義に会って、話するべきなのかな。『…〇〇、大丈夫か…』「うん!全然大丈夫だよ!もう終わった事だもん。」『…』「…」忠義…、今何してるの…?

2018-12-01 21:56:34
はぐ🕊 @516hug

結局、それからずっと忠義のことが気になってしまって、心が静かな日はなかった。だからかな、呼び寄せてしまったのかもしれない。「ありがとうございましたー」千葉での仕事を辞め、私は花屋で働いていた時、ふと店の前を通った人と目が合った。「え…」マスクつけてる彼の事、人目で分かった。忠義。

2018-12-01 22:34:15
はぐ🕊 @516hug

すぐ目を逸らして、閉店準備をしようとした。しようとしたけど、『〇〇…なんで…?』忠義も私に気付いたみたいで、店に入ってきた。「申し訳ございません、もう閉店ですので、」『〇〇っ、』ぐい、と手を掴まれて、忠義の方へ正面に向けられた。「っ、」嫌でも目が合ってしまう。『〇〇や…』

2018-12-01 22:38:26
はぐ🕊 @516hug

「離してください、困ります」抵抗し、離れようとして、あくまで忠義の事をお客様として扱う私にムッとしたのか、無理矢理私の腕を掴んでまた私を忠義の方へ向けさせて。『会いたかった』と抱きしめた。「やめ…っ」ビクとも動かないくらいに強く抱き締められてて、嫌になるくらい忠義の鼓動が聞こえる

2018-12-01 22:44:16
はぐ🕊 @516hug

『ほんまに会いたかった』なんで?…なんで、なんで、今更っ。『アユと別れてん』その返答を私が何もせずにいたら、忠義がまた話を続けた。『〇〇のこと一番やって気付いたの、遅くて…、やっと気付いてんっ』『でも連絡は取れへんし、何回か家行ったけど、おらんくて…』「え、」家きてたの…

2018-12-01 22:53:01
はぐ🕊 @516hug

『…横山くんと付き合ってるん、やんな』「なんで」『アユが言うてた。…東京に居るん…いつから…?』「…ちょっと前だけど」『一緒に住んでんの?』嫌だ、自分が嫌だ、忠義に抱き締められながら、なんでも答えそうになってる自分が、吐くほど嫌だ。虫唾が走る。『〇〇…、横山くんと別れてや…、』

2018-12-01 22:58:43
はぐ🕊 @516hug

「…なんでそんなこと言えるの…?」どうして軽々しく言えるの?…どんどん涙が出てくる。私が裕ちゃんを好きになったのって、いけない事だったの?『俺ともっかいやり直して…』「離してよ…っ」胸板を叩くけど離れてくれなくて、余計力は強まる一方。『勝手でごめん…』と世界一自分勝手なキスをした

2018-12-01 23:07:52
はぐ🕊 @516hug

胸がグジャッて潰されたみたいに苦しくて、壊れそうだった。体を強く押して、忠義から離れて直後、その場から逃げ出さずには居られなかった。花屋のエプロンも、名札も付けたままで走ってた。「はぁ…」気がつけばもう見慣れた裕ちゃんの家で。「驚くかな」こんな格好で帰ってきたら、驚くよね。

2018-12-02 21:10:59
はぐ🕊 @516hug

ドアを開けたら、裕ちゃんの靴が散らばってて、いつもの様に揃える私。『〇〇?…おかえり、?』私の格好に、ただ事では無いと裕ちゃんが小走りで寄ってきた。『なんかあったん?めっちゃ走ってきたん?…変なやつに追いかけられたとか?』『大丈夫か。手めっちゃ冷えてるやん、』「裕ちゃん…っ」

2018-12-02 21:15:54
はぐ🕊 @516hug

ただ裕ちゃんを見つめただけ。それなのに『……』裕ちゃんは私を黙って抱き締めた。…抱き締めてからも、なんにも言わないけど、力がぐう…と、こもってて。「会ったの、偶然」『うん』「ちょっと話した」「…」"それから、キスされた。"…これが言えない。…結局その日、私の気持ちは乱れたままだった

2018-12-02 21:22:05
はぐ🕊 @516hug

次の日、起きたら裕ちゃんが居なくて、どこいったんだろうって部屋を見渡す。今日は昼から収録だから午前中は居るって前言ってたのにな、、と、ふとテーブルを見たら「え…?」"しばらく帰らん"とだけ書かれてた。慌てて電話をしたら「裕『おはよう。』「ね、帰らないって何『しばらくホテル泊まるわ』

2018-12-02 21:28:04
はぐ🕊 @516hug

「どうしてっ?…お仕事入ったの…?」『……。』裕ちゃん、何か言ってよ、怖いよ、お仕事なんでしょ?そうって言ってよっ『仕事じゃない』「なんで…、」手に力が入って、耳にスマホを押し当て過ぎて、耳が少し痛い。『…ちゃんと帰る』「ねえ裕ちゃんっ」『だから〇〇もゆっくり考え。大倉のこと。』

2018-12-02 21:32:48
はぐ🕊 @516hug

「考える必要ないよっ」『ほんまに?』「っえ」『…ほんまに?』裕ちゃんの言葉に、固まってたら『…な。それがほんまやん。』「待って切らないで!」『俺も考えるから。〇〇の事。』「裕ちゃっ」一方的に切られた電話。「……」私は手の力が抜けて、スマホを落とし、ソファに身を落とした。

2018-12-02 21:41:15
はぐ🕊 @516hug

数週間後 街はクリスマス目前に迫ったイヴイヴ。23日。裕ちゃんは本当に帰ってこないし、連絡も一切ない。テレビに映る裕ちゃんを見て、最近思う。「……」これが前までの普通。ちょっと前にあった出来事など、夢だったんじゃないのか、って。…でも夢じゃない。だって« ピコン»忠義からLINEが来るから

2018-12-02 22:07:37
はぐ🕊 @516hug

私は章大さんとも仲良くさせてもらっていたから、携帯を買い替えた時、LINEも教えたんだけど、何も知らない章大さんは、忠義に私のLINEを教えてしまったそうで。「はぁ」あの日、再会した日以来、週に一二回は他愛のないLINEが飛んでくるけど、ずっと無視しては削除してを繰り返していたけど…「……」

2018-12-02 22:13:25
はぐ🕊 @516hug

窓から見えた雪に、「雪」って反応した時、LINEの通知。送り主は忠義で〈外!見て!〉〈雪!〉と送ってくるから、思わずタップして、既読を付けてしまった。「(しまった…)」と思ってたら、〈既読〉〈ついた〉って2個に分けて送って来た。その反応はまるでいつかの"私たち"で、最後の文に画面を伏せる pic.twitter.com/Ap8EfRS0ZZ

2018-12-02 22:22:00
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