10周年のSPコンテンツ!
0
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
ソロモン海域。 焼けるような赤と光が混ざり合った空には、鉛色の雲が浮かび、病的な斑点模様を描き出している。 企業連からは深海棲艦の本拠地と見なされているこの海域に近付く者は、その全てが容赦無い攻撃によって海の藻屑へと変えられる。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
航空機ですら例外無く攻撃の対象であり、今までに何機もの機体が深海棲艦の艦載機によって撃ち落とされている。 かつてのクレイドルの航行ルートにおいても、ソロモン周辺の空域は通過禁止エリアに指定されていた。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
それより高い空域を目指せば、待っているのはかつて企業がばらまいた罪。地球を包みこむアサルトセルの大群である。 ありったけの艦娘、AC、ネクスト、アームズフォートを投じた企業の努力を否定し、弾き返し続け、ソロモン海域は今日に至る。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
その禁域の上空を、一機の大型ヘリが通過していく。 とっくに撃墜されていてもおかしくはない。しかし、ヘリは我が物顔で飛行し続ける。 直下の海面にはイ級一隻すら浮かんでおらず、これから新たに深海棲艦が浮上してくる様子も無い。そのヘリだけが、孤独に死の海を進み続ける。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
ヘリの操縦者である重巡洋艦鳥海は、海域に突入してからの三時間、身体の震えを抑え続けていた。 突入時に感じた死への恐怖は、今や彼女を取り巻く不気味なほど静かな空気が見せつけてくる異常にかき消されている。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
ヘリの後部座席に座る自分の提督は、こうなる事をわかっていたのだろうし、恐らくこれから目的地へ到着するまで提督と鳥海の命は保証されているのだろう。 そう自らに言い聞かせても震えは止まらない。何度もこの異常な状況について提督に説明を求めようと考えたが、できなかった。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
後部座席にいるもう一人の乗員。無個性なスーツに身を包んだその女が放つ威圧感が、そうさせなかった。 「お弁当で持ってきたサンドイッチあるけど、一個食う?」 「遠慮しておきます。貴方だけでどうぞ」 #ギガベース日誌
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
企業連代表、キャロル・ドーリー。 彼女を乗せたヘリの操縦を任されるというだけで相当な負担である上に、いきなりルート変更を命じられた挙句、その先はソロモン海域。 何故、一端の民間提督である提督がこんな人物と面会をする? そもそも、あれは本当にかの企業連代表なのか? #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
何もかもがわからない。何もかもが恐ろしい。理解したくない。 鳥海の精神状態は、フルチャージされたレーザーライフルの銃口を向けられた軽量機パイロットのそれに近かった。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
「おい鳥海」 「はっ、はい」 「何か見えたか?」 「いえ、何も」 「あっそ。多分その内、”何か”見えるから、そしたらすぐ知らせろよ」 提督、デューンが操縦席の近くまで乗り出して来たかと思うと、すぐに後部座席へと戻っていく。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
デューンが言う”何か”を見落とさない為に、鳥海は眼前に広がる光景に全神経を動員する。見張り員がいれば少しは楽になっただろうにと、己の状況を呪いながら。 そして数分後、その”何か”は姿を現した。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
その”何か”は、巨大な柱状の構造物であった。 それを包んでいた霧が急に晴れたかと思えば、中から現れたのは天を突き上げる巨大な建造物。何らかの迷彩の類を疑ったが、それを証明するものはない。不意に現れたとしか、形容しようがなかった。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
塔まではまだ数キロ離れているにも関わらず、その周囲には地獄のような空とは対照的な緑色の光が煌めいている様子が見受けられる。 「て、提督!」 「おお、あれか。周囲にヘリポートがあるって聞いてるから、そこに降ろせ」 「あれは一体」 「お前が知る必要は無い」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
デューンに睨まれ、鳥海は喉を潰されたような気分になる。デューンは俗に言う少年提督である。しかし、彼が時たま自分へ向ける濁った眼は、提督でなければ教育機関に通うような年齢の人間が持てる眼とは、少なくとも鳥海には思えなかった。 「そういえばさぁ、鳥海」 「は、はい」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
「僕の前の秘書艦も、鳥海だったんだけどさ」 「え……」 「深海棲艦が本土に襲撃をかけてきた時、今のお前みたいに僕を乗せたヘリを操縦させてたんだけどさ、深海棲艦のあのタコ焼きみたいな艦載機に頭をぶち抜かれて死んだんだよね。ちゃんと前を見てなかったから」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
「あいつの脳とか、髪の毛へばりついた肉とかがヘリん中散らばって、僕に絡みついて、気持ち悪くてしょうがなかった。お前はそうならなくて本当に良かったよ」 「……はい」 デューンは鳥海の頭を雑に撫でた後、後部座席へと戻っていった。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
構造物の周囲を10分ほど旋回し、鳥海はふもとから続く陸地上にヘリポートを発見した。 細心の注意を払い、丁寧にヘリを着陸させる。デューンは自分が戻ってくるまでヘリの中で待機するよう鳥海に伝え、キャロルと共にヘリを降りた。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
ヘリから降り、塔へと歩いていく2人。その2人の後姿をコックピットから確認し、鳥海は緊張の糸が切れたのか大きく項垂れる。 顔を上げる鳥海は、キャロルと歩いていたデューンが懐から何かを取り出した事に気がついた。 「提督……?」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
「どうするおつもりですか?あの重巡。我々がここに来た証拠は一切残せないと申し上げた筈ですが」 「わかってるっての。ほれ、これ何だと思う」 デューンが軍服の胸ポケットから取り出したものは、いかにもなスイッチだった。 「耳塞いだ方がいいよ」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
デューンは躊躇なくスイッチを押す。彼の思惑通り、ヘリは閃光を放ち、間髪入れずに大爆発を起こす。 爆発の衝撃に煽られ転倒するデューン。2人へ向け飛来したヘリの破片を、キャロルは素手で受け止める。 「ひぃ、爆薬が多すぎたかな」 「……大丈夫ですか」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
口には出さないものの、キャロルの目は”馬鹿が”とでも言いたげな視線をデューンに突き刺していた。 「よろしかったのですか?改二化処置まで施した秘書艦だったというのに」 「また造ればいい。設計図は企業連に請求しとく」 「手配しておきましょう……おや、貴方ですか」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
いつの間にか、デューンとキャロルの背後に、1隻の艦娘が立っていた。 その艦娘、駆逐艦吹雪は、貼りついた様な笑みを浮かべながら、口を開いた。 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
「ようこそ、タワーへ。待ちくたびれたよ、2人とも」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
「悪いね、散らかってて」 大量のMT、AC、艤装、特殊兵器が転がる、暗い通路。 艦娘吹雪は、慣れた様子でガラクタを押し退け、人が通れる幅を確保している。 「二人ともどうしたんだい?さっきから黙りこくって」 #ギガベース日誌_Re
再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
吹雪の後ろで道が開くのを待っていたキャロル・ドーリーとデューンは、"タワー"の内部に案内されてから一言も言葉を発していなかった。 沈黙を先に破ったのはデューンだ。 「お前、財団だよな?何のつもりだ?そんなもの使わなくたって、不便無いだろ」 #ギガベース日誌_Re
残りを読む(68)

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?