ストレイトロード:ルート140(39周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビが毎日お届けしている、掌編という名の習作。今回は1901~1950。 最後のリクエスト回を除き、共通のテーマとして「壊れる」を設定していました。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1913。素焼き。 需要があるからこその供給。

2018-12-16 18:45:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

広場に造られた巨大な雪像は毎年何者かに破壊されるからと厳重に警備されていた。今年も闇夜に紛れて叩き壊されたらしいがそうは見えない。「まさかあの食べかけの部分?」藍がイメージ図を実物の横にかざした。雪で出来た巨大なホールケーキは、欠けた箇所だけ中の彩色した雪が剥き出しになっていた。

2018-12-17 18:47:15
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1914。雪像。

2018-12-17 18:47:16
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

道路の両側に大量の瓦礫が放置されている。地図の記載ではトンネルとなっている場所だが、今や青空が天井だ。周辺を調べた藍によれば、工事を予告する看板も資材もないらしい。「もう騒音対策はいらないってこと?」話す私達の前を大型車が通過した。直後、音と振動に驚いた様子で飛び立つ怪物を見た。

2018-12-18 19:21:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1915。騒音。

2018-12-18 19:21:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

不気味な姿の怪物が破壊の限りを尽くした後、街は土砂に覆われほとんど更地と化した。だが藍は生存者がいると断言した。探してみると、瓦礫が壁となり奇跡的に倒壊を免れた家が見つかった。「ここは立ち退きを迫られていたんだ」近隣住民と共に救出された家主が言う。「もう誰にも壊せとは言わせない」

2018-12-19 19:00:25
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1916。立ち退き。

2018-12-19 19:00:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

中古車を買った時点で覚悟はしていたが、構造が古いので何を交換するにも中古の部品を探すしかない。幸い藍は遠慮なく金を積む。だが金では解決しない日もある。「今度はどんな条件だったの」動かない車の助手席で雇い主は果物を食べていた。「犬を引き取れと」「その写真どう見ても犬じゃないでしょ」

2018-12-20 18:47:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1917。中古。 プレミアとは。

2018-12-20 18:47:45
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

道路横に放置された車から雑草を除けてみると、多くの部品を外された抜け殻のような姿だった。後部は大破している上に風雨を浴びて劣化が激しい。元々は大型の何かに追突され乗り捨てられたものだろうか。「どうしてそんなつらそうな顔するの」藍に背中を小突かれた。「あなたの物でも何でもないのに」

2018-12-21 19:12:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1918。追突。

2018-12-21 19:12:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

空から手提げ袋が降ってきた。路上に落ちたそれを私が拾う間に藍が風を送って調べたのだろう。私達の頭上を飛び去った怪物が足に人間を抱えていると告げた。「リュックを取るつもりで一緒に連れて行ったみたい」命令は視線一つで伝わった。私は車に戻ってハンドルを握り、藍は手提げ袋の中身を調べた。

2018-12-22 19:11:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1919。手提げ袋。 物の奪い取りやすさが人間とは違うクリーチャー。

2018-12-22 19:11:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「待って。何か落ちてる」藍の一声で急停車した時点では何も見えなかった。言われるまま外に出て異変を探すと、凍結した路面に無数の突起があった。急激な冷え込みには心当たりがある、それも助手席に。しかし氷の下に金属片を撒いた覚えまではない。確認なしに道路へ出ていたらと思うと背筋も冷えた。

2018-12-23 20:01:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1920。凍結。 冬の運転には冬ならではの危険も多い。

2018-12-23 20:01:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

冬の休日に住宅地を通ると玄関先の灯りが目を引く。一昔前は庭先や壁の照明が増える家が多かったが、近年は控えめになった。「ああいうのは外より中が大事なのよ」藍は様々な家で気合いの入った内装を見てきたという。わざわざ工事を入れる者もいるらしい。「外見より心が大事だからよね?」多分違う。

2018-12-24 20:34:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1921。内装。

2018-12-24 20:34:27
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

自動ドアが閉まる直前、誰かの叱責を聞いた。再びドアが開くと、藍と一緒に激しい言葉も廊下へ飛び出してきた。叱られた人物はあの怪物を憎む故に、それを根絶する研究に没頭しているらしい。よくある話だが、強烈な感情はいずれ自分自身を壊す。藍の原動力が同じような体験でないことを願うばかりだ。

2018-12-25 19:11:02
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1922。憎む。

2018-12-25 19:11:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「別に恨みはない」そう言って一歩。「この世界を憎む気持ちもない」また一歩。「マザーはただ守りたいだけだ。家族を、子供たちを、明日を」刺客は歌うように語る。だが刀は指揮棒に変わらない。背を向けて去る場面でも気を抜けない。「だから邪魔なものは壊すって?」「そう。どんな手を使ってでも」

2018-12-26 19:05:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1923。抜く。

2018-12-26 19:05:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

畑の隅に収穫直後らしき野菜が山積みにされていた。農園の人へ声をかけると、疲れた顔で言われた。「どうせ売り物にならないんだ。好きなだけ持っていきな」予想外の天候が作物の育ちを早め、穫れ過ぎて困っているという。値崩れの原因には心当たりがある。藍に事情を話し、買い取りの提案を呑ませた。

2018-12-27 18:45:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1924。値崩れ。

2018-12-27 18:45:27
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

デスクに壊れた端末が放置されている。派手に割れた画面は意図的な破壊のように見えた。「誰かに乗っ取られるぐらいなら、こうした方がいい」持ち主が金槌を軽く振った。藍は無意味ではないかと首を傾げたが、通信を止めるだけなら最短の手段だ。ネットワーク上にないデータこそ守りたかったのだろう。

2018-12-28 18:56:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、1925。乗っ取る。

2018-12-28 18:56:37
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