「何も考えずに撮ったスマホ写真が思わぬところで手がかりに?!」ネタ。とはいえ数十分後に自分の行動を思い出せないナンシーはさすがに愚かすぎると思う。犯罪が起きるまでとにかく冗長なのが最大の難点。「名前の呪いからは逃れられない」オチは悪くないが、日本人にはパッと分からないと思う。
2019-02-03 06:21:35@mayu_tak ところでアガサ賞の候補に挙がっているTara Laskowskiは、アート・テイラー夫人だそうですよ。(本人のブログで、「夫婦で同年同賞の候補になっちゃった、これって史上初じゃね?」って書いてました)
2019-02-02 21:10:37Barb Goffman "Bug Appétit" を読んだ。アガサ賞短編部門候補作。感謝祭前日、ガーナーはコミュニティ・センター主催の「カップリングパーティ」に参加していた。彼が求めるのは金回りの良い、しかし自己評価の低い女性。果たして彼はケイシーという女性と知り合い、感謝祭のパーティに招かれるが……
2019-02-04 23:25:30ガーナーの目的は一体何なのかという興味から読者を物語に引き込むのがなかなか上手い。そしてそこから大ネタに向かって一気呵成・疾風怒濤の猪武者ぶりを見せるちょっとアホっぽい強引さ、嫌いじゃないよ。なお、本作もネットで無料公開されてます。 barbgoffman.com/whose-wine-is-…
2019-02-04 23:25:30Leslie Budewitz "All God’s Sparrows" を読んだ。アガサ賞短編部門候補作の四作目。 #2019SSNominee 19世紀末、テネシー州のとある田舎道で、「荷馬車のメアリ」と呼ばれ、街でも一目置かれている黒人女性(年齢はおそらく60代)とネイティヴ・アメリカンの血を引く少女ジョシーの人生が交錯する。
2019-02-05 23:51:47設定された時代・場所を考えると、社会階層の底辺に無理やり押し込められた存在である彼女たちが、自分たちの頭で考え、自分たちの手と足でその抑圧に立ち向かうという話。どちらかというと主流文学的な味が強く、ミステリ色は薄い。メアリの強烈なキャラづけが刺激的なので、シリーズが続くと面白い。
2019-02-05 23:51:47ということで、無料で読める分は一通り読んだ。最後の "A Postcard for the Dead" Susanna Calkinsは、収録されているアンソロジーを買わないと読めないので迷い中。この本に入っているブロックの短編(と思ったもの)、確認したら『泥棒は詩を口ずさむ』の抜粋らしいんだよね。なんか詐欺っぽくない?
2019-02-05 23:59:10アガサ賞短編部門読書企画、内容が正直不満足なアンソロジーを買わなければならないので挫折かと思われたが、高山真由美さんから該当短編が著者ホームページでついに無料公開されたことを教えていただき、無事読むことができた。ダウンロードは以下から。 susannacalkins.com/uploads/8/6/7/… #2019SSNominee
2019-02-10 01:10:05ということで、 Sussana Calkins ”A Postcard for the Dead” を読んだ。フロリダの高級ホテルで、主人公リリーの姉が熱愛していたはずの婚約者を殺した疑いを掛けられてしまう。自分の証言とホテルマンの目撃証言がまったく食い違う奇妙な状況で、リリーは姉に罪を着せた犯人を見つけ出そうとする。
2019-02-10 01:27:04人物がダメなら舞台もダメ、当然ながらミステリとしてもまったくダメという三重苦を背負った「出来の悪いコージーミステリ」の見本のような作品。そもそも1921年のフロリダを舞台とする理由が「そういう縛りのアンソロジーだから」「自分が歴史ものを書いているから」しかないのが最悪である。
2019-02-10 01:27:04正直なところ読む価値がない作品で、はっきり言って他の四編と比べて数段落ちる。「アガサ賞ということで、一編くらいは正調のコージーらしいものを」とジャンル決め打ちで選ばれたのかもしれないが、残念ながら的外れと言わざるを得ないノミネートであった。 #2019SSNominee
2019-02-10 01:31:18次はエドガー賞の候補作を読んでいきます
さて、アガサ賞が一通り終わったので次はエドガー賞の候補作に移る予定。エドガー賞候補作は残念ながらネット無料公開されているものがアート・テイラーの他にない。とりあえずバラ売りされているものから攻める予定。長編のおまけについている奴はどうするかなあ。流石に長編読む気力はないよ。
2019-02-10 01:49:18Paul Doiron "Rabid" を読んだ。2019年度エドガー賞短編部門候補作。既に九作が発表されているマイク・バウディッチシリーズに連なる作品(第一作『森へ消えた男』はハヤカワ・ミステリ文庫所収)である。意外や(?)これ一作で十分楽しめる上、シリーズにも手を伸ばしたくなる良くできたスピンオフ。
2019-02-10 15:11:23物語の中心にあるのは、マイクの前任の猟区管理人にして師匠であるチャーリーが30年近く前に巻き込まれた事件。鬱蒼とした森の中にある粗末な家でヴェトナム帰還兵がコウモリに咬まれたことに端を発し、彼のベトナム人の妻とチャーリーの妻であるオーラの交流の果てに起こった、陰惨な結末までを描く。
2019-02-10 15:11:23チャーリーの視点からマイクへと語られた物語に残った「微妙な陰り」が、オーラの視点から語りなおされることによって昇華され、メイン州の森の奥に隠された「呪わしき地」の意味を再認させる。端的で落ち着いた言葉で語ることで逆に読者の背筋を寒からしめる辺りに、作者の上手さを見た。
2019-02-10 15:11:23父のいないマイク(この辺りの事情は第一作で語られる)にとって、両親にも等しい親しみを感じさせるチャーリーとオーラ夫妻の「秘密」を打ち明けられることの意味も含め、しっかり作り込まれているのが嬉しい。なるほど日本では知られていないが、こういうところにも名手はいるのだ。 #2019SSNominee
2019-02-10 15:20:19ただ "Rabid" は分量がちょっと多い(電子版オリジナル出版だが、データ上は50ページと書かれている)という点だけは付記しておく。まあ、多くても少なくても、受賞してもしなくても、現状の出版状況では翻訳の機会はないんだがな。
2019-02-10 15:14:21Lisa Unger ”Sleep Tight Motel” を読んだ。エドガー賞短編部門候補作。何かに追われるように、赤いマスタングを駆り疾走する女。深夜のハイウェイから見えた看板に導かれるように彼女が辿りついたのは、不思議な雰囲気の青年がたった一人で経営する古めかしくも小奇麗なモーテルだった。
2019-02-10 20:08:34端的に言うと、「世にも奇妙な物語」に出てきそうなお話。延々と彼女を追いかけてくる「罪と悔恨」の物語といかに折り合いを付けるかが本作のキモ。彼女の過去が描かれると同時にモーテルでは次々に奇妙な現象が起こるが、「ある要素」を呑みこませることで読者を「納得」させてしまう。なるほど丁寧。
2019-02-10 20:08:35犯罪小説かつ(ロマンスで色付けした)心理小説でもある本作だが、その「ある要素」によってジャンル的にミステリからは逸脱してしまっているので、エドガー賞に相当するかどうかは不明。とはいえ、こういうロマサスは、翻訳されさえすれば読者は必ずいると思うのだが如何。 #2019SSNominee
2019-02-10 20:08:35昨日英国から届いた本から一編、Val McDermid "Ancient and Modern" を読んだ。2019年度エドガー賞短編部門候補作。主人公の「私」と恋人のアランがスコットランド北部を旅行した時の思い出が語られるが、折に触れて「でも、コリンにはこのことはなにも話さなかった」という謎の文章が差し込まれる。
2019-02-20 09:07:40コリンとは誰なのか、そしてこれから何が起こるのか……孤独な男が何十年も前に作り上げたという「隠者の城」とスコットランド北西部の美しい風景を借景とした丹念かつ入念な作品。登場人物の心情を書かせては流石に名手だが、短編ミステリとしては出力不足の感が否めないのは残念。 #2019SSNominee
2019-02-20 09:07:40