先生と私⑥【同期の彼】

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1 [おはよう、チビちゃん] 「あ、大倉おはよー」 [えっ…？なに？ なんなん？] 「なにが？」 [いや、怒らへんし… めっさ機嫌いいやん] 「ちょっとは女の子らしくしよーかなーと思って」 [気持ちワル… 安田先生と付き合うことなったとか？] 「違うけど、いま私は世界一幸せかも…」

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2 [そうですか] 「いや、なにがあったん？とか聞かへんの？」 [別にそんな興味ない(笑)] 「まぁ聞かれても教えられへんねんけどねー」 [はぁ… なんで同期お前しかおらんねんやろ…] 「どういう意味よ！ありがたく思いなさいよね」 病棟に向かうエレベーターの中、大倉くんと乗り合わせる。

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3 [はい終わったー、女の子らしいの(笑) そういうのはなぁ内面から滲み出るもんやねん。このまえの葉月ちゃんやったっけ？あの子みたいにさー。 そういやあの子、横山先生とチューしたって言うてたけど彼女なんかなぁ？] 「…違うんじゃない？」 開いた扉を降りる。 みんなそう思ってんのかな…

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4 [そーやんな、絶対横山先生あのモデルみたいなお姉さんのほうがタイプやもん] どっちも違うのに… 私が彼女ーって叫びたい衝動に駆られる。 『おはようさん』 並んで歩く私たちを颯爽と追い抜いて詰所に入っていく横山先生。 揺れる白衣の中にタートルネックのセーター姿の先生は今日も素敵で…

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5 みんなバタバタしてる夜勤と日勤の交替の時間帯、その日の情報収集をしてると 『悪い、ちょっと急ぎで見たいんやけど夜入院になった新患さんのCTとレントゲン出してくれる？』 探し出して先生の前のシャーカステンに挿していく。 「先生が主治医？」 『そうやねん、気になるとこがあってな』

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6 この仕事中の真剣な顔も好き… それを後ろから見てた大倉くんに呼ばれ、耳元で [ちょっとちょっと…俺分かってもうたかも… お前もしかしてさ、横山先生なん？] 「わっ…！ も…ちょっと」 大倉くんを詰所の隅に引っ張っていき 「なんでそう思ったん？」 いつも通りのやり取りなはず…

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7 [なんやろ…なんとなくやねんけど、半歩近くない？距離が…] 関係を持ったことでパーソナルスペースが変わったんだ… 「うそ？そうなん？！ ほんまにお願い、誰にも言わんといて！」 [嘘やろ？マジでなん？！ ヤバっ！テンション上がるわー！] 「しーっ！やめてほんまにお願い！」

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8 [まぁお前の態度次第やな(笑)] 「ほんまにすいません… ってなんで謝ってるんやろ」 [でもバレたくないんやったら気ぃつけや] 「うん…教えてもらわな気づかんかったわ…」 [とりあえず今日の昼飯ごちそうさまー] 「鬼ー！悪魔！ …嘘です(泣)」 『おい桜井ー、血液データも』 「はい」

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9 私と先生のやり取りを見て声を出さずに身ぶりでからかってくる。 ほら…やっぱり面倒なことになった…(泣) まだ大倉くんが男だからよかったけど… ＿＿ 午前中を乗りきって昼休み [いっぱい頼んでいい？] 「別にいいねんけどさ… ほんまに秘密守ってよ？」 [そもそもさー、いつからなん？]

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10 「まだそんなに… 1か月くらいかな」 [ってことはさ、あの二次会んときってめっちゃややこしくなかった？] 「うん… まあ」 [だから最近泣いたり挙動不審やったりしたん？ って俺の洞察力すごない？] たしかにすごいとは思いますよ。 結局昼休みのあいだ中質問攻めにあった。

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11 食べ終わってトレーを返しにいく時に入れ違いで横山先生が食堂に来る。 『おつかれさん。なんか二人で盛り上がってたなー』 [噂をすれば(笑) もー先生、なんで？(笑)] 「 …バレました」 『嘘やん、なんで？』 [見る人が見れば、距離感で分かりますよ] 『だからさーもう公表しよ？』

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12 [いや、それはやめた方がいいと思うわ。俺は実感してるよ、女の職場ほんまヤバいから] 「やんな…」 『じゃあ気を付けなしゃーないな… 大倉、バラすなよ』 [まぁ先生の態度次第ですけど… 先生ってー素敵な時計何個か持ってはりますよねー(笑)] 『お前最低やな(笑) ゆすりやん』

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13 この時は笑ってたんだけど… 午後からもスムーズに仕事をこなしていたけど、定時少し前に先生の患者さんが急変して仕事が終わったのは20時くらいだった。 『二人ともおつかれ、ありがとう。こんな時間やし飯行く？』 [うっしゃー！先生俺あそこの居酒屋行きたい♪] 『お前も行くやろ？』

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14 三人で行くことになった。 先生の車で行くことになって乗り込もうとするけど、当たり前みたいに助手席のドアに触れた私に [そういうとこ気ぃーつけな。二人で乗るんやったらまだしも、三人以上おったらお前は後ろの方がええと思うわ] 「なるほど… でもそんなとこまで気にするかな」

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15 [だから感じる人は感じるって、今日の場合男の俺が前に乗るほうが自然じゃない？] 『そう言われたらそうやなーって思うけど、お前すごいな』 [なんか自分らバレるん時間の問題やと思うわ…] 「えーどうしよー…」 なんだかんだ喋りながら居酒屋に着いてカウンターに並んで座る。

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16 自然と私を真ん中にするから、 「この場合は大倉が真ん中のほうがいいんじゃないの？」 [関係性的にそれは逆に不自然ちゃう？みんなお前が先生と親しいのは知ってるから] 『なるほどなー勉強なるわ』 [とりあえず注文しよーや、腹減った！] 飲み物がきて私だけソフトドリンクで乾杯する。

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17 しばらくすると密閉された室内で暖房もかかってるから、気化したアルコールにすら反応して [ちょー待って、お前飲んでないのに顔赤いやん(笑)] 「ほんまに？めっちゃあつい…」 カーディガンの中はノースリーブでタートルネックのニットだったから躊躇ってたけど、たまらなくて１枚脱いだ。

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18 『おま…ちょっと』 [先生大丈夫、俺はこの腕見ても強調されたおっぱい見てもこいつに関してはなーんとも思わんから(笑)] 「ほんまに失礼やな、私に関してはってどういうことよ！」 [もう１枚脱いでも大丈夫やでー(笑)] 『しばくぞ』 [だいたい先生さー、なんでこいつなん？もっとおるやんか]

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19 『なんやろな… はじめはギャップに興味持って、なんかしっくりくるっていうか…』 「真面目に答えなくていいから！飲み過ぎですよ」 [へぇー…まったく理解できひんけど(笑) あのスタイルいい子よりこれがいいの？] 「気にしてること言うな！」 大倉くんの腕を叩く。 [もー痛い痛いっ(笑)]

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20 私の腕を引き 『いちゃつくな。 大倉お前は知らんだけ、こいつがほんまはどんなやつか… すごいんやから』 [うわ、なんかエッチ(笑)] 「先生言い方！ 二人とも飲み過ぎやから」 『知ってもらわんほうが助かるけど。 お前こいつの同期やから仲ええの大目に見てるけど絶対手ぇ出すなよ』

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21 [ごめん、頼まれても無理やし(爆笑)] 「コロス！」 大倉くんの首に腕を回して絞めようとするけど [ちょ…痛い痛い、やめろって！めっちゃおっぱい当たってる(笑)] 『ほんまにコロスぞ』 [先生意外とやきもち焼きやなー(笑) そんなんやったらこの前の二次会地獄やったんちゃうん？]

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22 「もうその話ええって」 [まぁお互い様かぁ、先生もたいがいやったもんなー(笑) そう言えば知らんとこで葉月ちゃんいう子とチューしたって言うてなかった？] 『うるさい、いろいろあんねん』 「… 」 [あ、マジで触れたらあかんとこやった？ごめん] 「ほんま敏感に空気読みすぎやねん」

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23 『もう腹いっぱい食うたんか？そろそろ帰んぞ』 「ほんまや、みんな日勤やんな」 大倉くんは私と同じ社宅のマンションに住んでるから、代行を呼んでみんなで帰る。 『ちょっと飲み過ぎたからもうお前んち泊まるわ』 「いいですけど…服とか大丈夫かな」 『スクラブ着てたらバレへんやろ』

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24 [だーかーら、それが甘いねんて。 先生を好きな子は出勤してくる先生のファッションチェックしてるもんやで。 俺の服貸すから…] 『そんなにか？ …おぉ助かるわ』 バレたおかげでいい協力者ができた感じ。 近くのパーキングに車を停めてマンションに向かう。 [ちゃんと変装はするんや(笑)]

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25 『こいつがうるさいから』 「家に来るのがヤバいのは私でも分かる」 [見る子が見たらコートでバレるけどな] 「えー… 疲れるわ(泣)」 5階の大倉くんの部屋に寄って服を借りてから真上の自分の部屋に帰る。 [下着も新しいのあったからあげる。 あんまりガタガタうるさくせんといてよー(笑)]