『テイク・ア・チャンス、エヴリーシングズ・ア・ゲーム:再投下版』

手直しあり
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ジュセー @shiroboshi2

『テイク・ア・チャンス、エヴリーシングズ・ア・ゲーム:再投下版』 #S57Ninja

2019-02-21 21:03:22
ジュセー @shiroboshi2

『良いサービス』『合法な』『猥褻が一切ない』などと書かれたノボリを上げているのは、オイラン喫茶店『モモ夢』だ。シナキ・ストリートに店を構える、中規模な施設である。「実際安いです!」「あなたも!」刺激的なメイド服に身を包んだオイラン達が道行く人に声をかける。1 #S57Ninja

2019-02-21 21:06:31
ジュセー @shiroboshi2

彼女らが着るその刺激的なコスチュームには、メイド本来の役職である召使いとしての清楚さや奥ゆかしさは失われている。「安いです!」「合法なサービス!」呼び込みオイラン達は瑞々しい肌を汗に濡らしながら、呼び込みを続ける。客足は、そこそこと言ったところだ。2 #S57Ninja

2019-02-21 21:11:25
@hiiragi_r_t_d

モモ夢じゃん 実際懐かしい #S57Ninja

2019-02-21 21:12:54
ジュセー @shiroboshi2

「ウーン、マッポとかコワイじゃない」「そんなことないです!実際合法な!」「それに安いです!」「ウーン……」ドロダミ・ガナガは2人の若いオイランを前にして逡巡した。断るに断れない、そのようなアトモスフィアがある。「ウーン……じゃあちょっとだけ」「ヤッター!」3 #S57Ninja

2019-02-21 21:15:45
ジュセー @shiroboshi2

ドロダミはオイランに案内され、店内へと入った。瞬間、「「「イラッシャイマセ!」」」メイド・オイラン達が一斉に彼を出迎える声を発す。ドロダミは彼女らの姿をジロジロと見ながら、席に座った。そしてメニューを取り、広げる。宣伝通り、値段は実際安いようだ。4 #S57Ninja

2019-02-21 21:21:06
ジュセー @shiroboshi2

ドロダミは一番値段の安いものを探す。その時、「ドーモ」活発とした店内には似つかない、抑揚のない声が彼の耳に届いた。そちらを見ると、茶色い髪の若いオイラン・メイドがオジギをしていた。「イラッシャイマセ。ご注文はお決まりですか」「……まだです」5 #S57Ninja

2019-02-21 21:25:22
ジュセー @shiroboshi2

ドロダミはあまりに無表情、無愛想なその若いメイド・オイランの態度に不服そうな顔を見せながら、彼女の全身を値踏みするように見た。まだ成人していないように思える。彼は、彼女の程良い肉付きの太腿を重点的に見た。「ウーン、もう少し、もう少しで決まりますので」「そうですか」6 #S57Ninja

2019-02-21 21:33:02
ジュセー @shiroboshi2

「ウーン……こ、このこれ、これで」彼は適当に安いメニューを選んだ。「ハイ。20万です」「……は?」ドロダミはメニューを見返す。そこには間違いなく200円と記載されている。「ちょっと!何を言ってるんです?」「ハイ。視覚サービス料金です。よく見られていましたので」7 #S57Ninja

2019-02-21 21:40:19
ジュセー @shiroboshi2

彼女は素っ気なく答えた。ドロダミはわなわなと震え、叫ぶ。「ザ……ザッケンナコラー!法外だ!」「入り口に記載していますので。了承を得たということになります」彼女は丈の短いスカートを少しだけたくし上げた。「ア?」「ハイ。40万追加です。ありがとうございます」8 #S57Ninja

2019-02-21 21:44:34
ジュセー @shiroboshi2

「ザッケンナコラー!」彼は声を荒げ、席を立つ。「払えないんですか?」「常識がない!バカ!バカ!」ドロダミは彼女を罵倒した。彼女は何ら臆さず、少しだけ胸元を開ける。「ハイ。60万追加です。もう一度確認しますが、払えないんですか?」「払えるわけないだろ!」9 #S57Ninja

2019-02-21 21:49:56
ジュセー @shiroboshi2

「そうですか。では、カラテで」「え?」「イヤーッ!」「グワーッ!?」突如振るわれたカラテによって、ドロダミはいとも簡単に吹き飛ばされた。壁に激突し、苦悶の声をあげる。「アイエエエエ……法外だ!違法!」「合法なんです。ではこちらにサインを」10 #S57Ninja

2019-02-21 21:54:06
ジュセー @shiroboshi2

彼女は懐からペンと誓約書を取り出し、ドロダミに渡した。「後日払ってもらいます。そのサインを」「アイエエエエ……マッポに言うぞ!」「ドーゾ、ご勝手に。合法ですので、ダイジョブです。イヤーッ!」「グワーッ!」カラテが振るわれる!ナムサン!なんたる理不尽!11 #S57Ninja

2019-02-21 21:58:47
ジュセー @shiroboshi2

「サインをお願いします。イヤーッ!」「グワーッ!」カラテが振るわれる!ドロダミは泣く泣くペンを手に取る。「サインをお願いします。イヤーッ!」「グワーッ!」カラテが振るわれる!ドロダミは泣く泣くサインを書く。「誓約書に記された指定の講座に振り込んでください」12 #S57Ninja

2019-02-21 22:05:33
ジュセー @shiroboshi2

「アイエエエエ……」ドロダミは涙を流しながら弱々しく立ち上がり、誓約書をひったくると、すごすごと店を出た。「「「またのご来店をお待ちしていますドスエ!」」」メイド・オイラン達が彼を送り出すエールの声をあげる。カラテを振るった若いメイド・オイランは無言だ。13 #S57Ninja

2019-02-21 22:11:56
ジュセー @shiroboshi2

彼女のメイド服に付けられたネームプレートには『アケシ・ノノミ』と書かれている。彼女は少しだけ開けさせていた胸元を戻す。そんな彼女に声をかけるメイド・オイランたち。「ノノミ=サン、相変わらずスゴイね!」「売り上げ成績1番だよ!」「ヤッター!」彼女らは口々にノノミを讃える。14 #S57Ninja

2019-02-21 22:17:01
ジュセー @shiroboshi2

「ありがとうございます」ノノミは短くそう返すと、所定の位置に戻った。ここ『モモ夢』に彼女が勤め始めたのは、ほんの少し前のことだ。何のことはない。街中でスカウトを受け、それに応えた。何故なら、給料が驚くほどに高いからだ。服を着てカラテを振るうだけで、カネが。15 #S57Ninja

2019-02-21 22:20:36
ジュセー @shiroboshi2

彼女には安定した稼ぎがなかった。カラテを振るい、街中で強奪行為などをすれば、忽ち『追っ手』に感づかれてしまう。故に、彼女は暴力性を極力隠さねばならなかった。その為、安定した稼ぎがなく、貯金や賭博などで日々を過ごしていたのだ。『モモ夢』でのスカウトは僥倖だ。16 #S57Ninja

2019-02-21 22:25:58
ジュセー @shiroboshi2

「ノノミ=サン」自分を呼ぶ愁げな声に、ノノミは振り返った。店主であるアナカナ・ミルヤだ。彼女は『モモ夢』において最年長であり、年齢相応の落ち着きを持っている。そのバストは豊満であった。「呼び込みの方、いってくれないかしら」「呼び込み、ですか」17 #S57Ninja

2019-02-21 22:30:40
ジュセー @shiroboshi2

「そう。やったことないでしょう?ダイジョブよ、あなたカワイイなんだから」アナカナは幽かに微笑みながら、ノノミの肩を優しく叩く。「じゃあ、やってみます」ノノミは抑揚のない声、色のない表情で答える。アナカナはいつもと変わらぬ彼女の様子を見て、もう一度微笑んだ。18 #S57Ninja

2019-02-21 22:38:48
@hiiragi_r_t_d

モモ夢の穏やかな日々……オツカレサマドスエ! #S57Ninja

2019-02-21 22:46:46
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