- eguchi2018
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Boyer, Pascal. (1994) The Naturalness of Religious Ideas: A Cognitive Theory of Religion, University of California Press. 宗教の進化的研究で割と引用される本。私の世代だと、Boyer(仏音ボワイエ)と言えば「レギュラシオン理論」(ナツい)…この人も名前がパスカルだしフランス系かの?
2019-02-24 14:30:20「本書の主なテーマは、宗教的表象の重要な側面がヒトの心ー脳の普遍的な特質に制約されているというものである。本書を通じて用いられる戦術は、認知心理学や、より一般的には認知科学の関連する知見を利用することである」viii
2019-02-24 15:46:37「文化的獲得の過程は不可避的に、利用可能な文化的インプットの淘汰を作動させる。この淘汰の帰結は、ある特徴がヒトの心によってより楽しまれ獲得され伝達されやすいがゆえに何度も発生するというものである」ix
2019-02-25 09:35:23「文化人類学理論に共通する2つの落とし穴。第1に、文化的多様性への誇張された信念…第2に、大部分の文化的物事が位置する複雑なメカニズム、すなわちヒトの心の、体系的でおそらく快適で、そして確かに損害を与える無視」xi most things culturalと形容詞を後置してるのがいかにもフランス系だの
2019-02-25 09:48:50“natural”の2つの意味…非文化的であること、主観的特質を叙述していると理解され得ること 「ここで私は次のことを示したい…(1)宗教的観念の内容と組織化は…ヒトの心ー脳の非文化的特質に依存している。(2)『社会化』にもかかわらず、それらはヒトの主体により直観的に非自然的と知覚される」p.3.
2019-02-25 10:33:42「宗教的観念は部分的には、直観的に非自然的であるように思われるがゆえに楽しまれ伝達されるのだが、しかしヒトが彼らの宗教システムに含めがちな一連の観念や想定は、(非文化的な)認知的能力によって強く制約されているのである」p.3.
2019-02-25 10:43:01「宗教的な諸テーマの文化横断的ないし共時的な出現。大部分の宗教システムはまた、世代から世代へと大まかには似た形で伝達されるという意味で、印象的な通時的安定性を示す」p.4.
2019-02-25 10:46:08「文化的観念の可変性は限定されないものではない。別の言い方をすれば、ある文化的観念の生起は完全に偶然的な出来事ではない。…普遍的な認知過程が文化的観念の多様性の範囲を限定することを考慮に入れると、文化横断的な類似性や伝達の偶然性を減らすことができる」p.5. 吉川よ聞いとるかw
2019-02-25 10:59:50「人類学的探求に幾分内在的な、前理論的で本能的な形の相対主義。人類学者は文化的な違いを推理し強調するべくプロとして訓練されるので、異なる文化での似たような観念の再発を自然に過小評価する。さらに、この再発に気づく時も、しばしばそれは底流の違いを覆い隠す欺瞞的な外見として扱われる」6
2019-02-25 15:58:59「人類学の統計学・確率嫌い…ある観念が他よりも広がっているという事実、それらが非常に異なる文化的設定において再発し続けているという事実は、本質的に<統計学的>な現象である」p.8.
2019-02-25 16:23:22生成的(generative)モデルと淘汰的(selective)モデル…「淘汰的モデルは再発する特徴を、次のことを仮定することで説明する。(1)再発を生み出すのに必要だが十分ではない一連の基礎となるメカニズム、(2)基礎となるメカニズムがある場合に、それらが再発を生み出すような一連のインプット」p.9-10
2019-02-25 16:39:02「心理学は何よりも、ある観念あるいは信念の獲得に関わり、人類学は表象の広がりを観察することに専門化する。この[スペルベルの]疫学観念の重要な帰結は、心理学的過程が人類学的理論にとって直接に適切だということだ」p.12. ↓ダン・スペルベルの疫学アプローチ twitter.com/9w9w9w92/statu…
2019-02-25 16:57:35Sperber, Dan. (1996) Explaining Culture: A Naturalistic Approach, Blackwell.
2018-10-06 04:11:20「本書で示すアイデアは概ね、共進化理論やスペルベルの『疫学』のような淘汰的説明の想定と一致している。…私の主な主張は、認知と相互作用のミクロ過程が宗教的想定の拡散と伝達に強い制約を課し、それによって宗教領域で観察される諸観念の再発に至るというものだ」p.12.
2019-02-25 17:02:49「私は、<進化的>と<認知的>という、制約の2つのタイプに照準したい。…本書を通じて私は、そのような要因が文化人類学で通常想定されているよりも遥かに重要で制約的なものであると論ずるだろう」p.15. 本書が扱うのは後者の、認知的な制約
2019-02-26 02:56:47過小決定(under-determination)…「学習する主体に利用できる情報は、ある認知領域においては、成人の能力を支配する原理を推論するのに十分ではない。…獲得の過程は、ある認知領域においては、既に存在している構造に制約される。…前からある構造が学習可能性に強い制約を課す」pp.26-7.
2019-02-26 15:19:38「宗教的表象は通常は、自分たちの環境において普通は何が起きるかについての人々の観念に違反する主張や陳述を含む。…そのような出来事や状態を、特殊で普通ではなく直観に反し、その結果注意を要するものとして表象することは、明示的で接近可能な『自然の概念』を必要としない」p.35.
2019-02-26 16:32:33「直観的原理を、それが何であれ、『自然』とは何かや何が『自然』なのかや、より一般的に、環境の観察された規則性についていかなる説明が与えられ得るかについて人々が楽しんでいる明示的な表象と混同すべきではない。多くの社会で、そのような明示的な概念は単純に存在しない」p.35.
2019-02-26 16:43:19「『ボトムアップ』の影響…出来事についての人々の期待が、明示的な理論に制約される度合いはごく弱い。しかしながら、彼らの明示的な理論は一般に、彼らが直観的には『自然』と見なすであろう状況や出来事の範囲から、一般原理を抽出する試みをなすのである」p.36.
2019-02-26 16:59:46「人々はいくつかの認知手段を持つ。人々は必ずしも気づいていないが、その認知手段は、直観的期待に反しない出来事や状態から、直観的期待に反する出来事や状態を選り分けるのである。その結果生まれる区分は、文化的可変性を示す場合もあれば、示さない場合もある」p.36.
2019-02-26 17:00:18タイラー的立場とデュルケーム的立場…「宗教的信念は、タイラー的パースペクティブでは、特定の<対象>すなわち超自然的存在によって同定される。デュルケーム的理論では、宗教的信念は特定の<様式>のおかげで特別なものになる。つまり特別な魅力を発揮する」p.37.
2019-02-27 05:43:26